第219回国会 衆議院 文部科学委員会 第4号 令和7年12月5日(7/8)

子ども・教育
国会情報(会議録)
【衆議院】 219回 質問: 平林晃 回答: 松本洋平恒藤晃西條正明合田哲雄茂里毅 開催:2025/12/05

3行解説

POINT
  • この議論は、日本の科学技術の力が昔より下がっている問題について、今後どうすればよいか議論したものです。
  • 質問者は平林晃議員で、研究者の自主性・研究費・博士号取得や外国人留学生への支援などを文部科学省などに質問しました。
  • 答弁者は恒藤晃(内閣府)・西條正明(文部科学省)・松本洋平(文部科学大臣)・合田哲雄(文科省高等教育局長)らで、基礎研究や研究環境の改善、安定した予算確保、人材交流拡大などに取り組むと回答しました。

3分解説(くわしい説明)

日本の科学技術の今とこれから

この会議では、まず平林晃(ひらばやしあきら)議員が、日本の科学技術が1995年から比べて世界の中で下がっていることについて質問しました。内閣府の恒藤晃さんは、「科学の力を測るときによく使われる有名な論文の数が、20年前は世界4位だったけど、今は13位まで下がってしまいました」と答えました。研究者の数や開発のお金も他の国より増え方が小さく、博士の人数もあまり増えていないと説明しました。

研究をよくするための対策

平林議員は、「研究者が自分でやりたいことを思い切りできるようサポートすることが大切ではないか」と提案しました。文部科学省の西條正明さんは、「今後の計画(第七期基本計画)では、研究者がもっと自分のやりたい研究に集中できるよう、研究のお金や応援を増やす計画が含まれています」と答えました。また、若い研究者にも研究が魅力的に感じられるように、研究環境をもっとよくしたいと話しました。

安定したお金の確保や人の交流の問題

国立大学へのお金(運営費交付金)が最近は増えていないことや、大学が人材交流をもっと活発にできるように対策を聞かれました。松本洋平文部科学大臣は、「最近の物価や人件費アップに合わせてお金を増やすよう頑張ります」と答えました。合田哲雄さん(文科省)は、運営費の配り方をもっと分かりやすくし、大学が安心して運営できるよう仕組みを考えると言いました。

また、大学と会社との人の行き来(人事交流)を進める事業について、文科省の西條正明さんは、「働き方や雇われ方の仕組みを工夫し、もっと交流できるよう支援します。自治体などと一緒にやることも考えています」と説明しました。

博士号取得者や外国人留学生への支援

博士号を持っている人を増やすための政策や、職員が博士を取れるよう応援することについて、文科省の茂里毅さんは「博士を持つ人の採用や、働きながら博士号を取る職員への支援をさらに増やしていきます」と話しました。

外国人留学生の支援では、SPRINGという奨学金が日本人限定となる点について「他にも外国人向けの新しい支援制度を用意するので、日本を選んでもらえるよう努力します」と西條正明さんが説明しました。

この議論のAIによる評価

議論自体の評価

ChatGPTGeminiClaude
良い議論良い議論まあまあ良い議論

本議論は、日本の科学技術政策に関する現状と課題、今後の方策について、事実や指標、制度の詳細、市場環境や研究現場の実感を踏まえた精度の高い議論がなされております。質問者は具体的かつ論理的に質問しており、回答者も制度・統計・現行政策に基づき丁寧に答弁しています。揚げ足取りや個人への非礼な発言等も見られず、議会質問の適切性や政策形成に資する価値が非常に高いと評価できます。

日本の科学技術力の相対的低下という深刻な構造的課題に対し、統計データと現場感覚の両面から建設的な質疑が行われています。30年間にわたる科学技術基本計画の総括から、次期(第7期)計画への反映、国立大学の基盤的経費の確保、人材流動性の向上、博士人材の育成まで、多角的な議論が展開されました。単なる批判に終始せず、物価高騰への対応や補正予算の具体的な使途など、実効性のある施策を確認している点が高く評価できます。

この質疑は、日本の科学技術力の相対的低下という客観的課題を正面から扱い、具体的な統計データに基づいて現状を分析している点で一定の水準を保っています。質問者が自身の大学教員経験を踏まえて問題の実態を描写し、先人(広中平祐、坂口志保、北川進)の事例から教訓を抽出しようとする構成は、政策的な示唆に富んでいます。

しかし、議論全体としては次の点で限定的です。まず、提示された課題(基礎研究への投資不足、研究者の自主性の重要性、運営費交付金の安定確保)に対して、質問者も回答者も既に共通認識を持っており、新たな見解対立や深掘りが生じていません。質問が「正しい方向性の確認」に留まっており、「なぜこの状態が続いているのか」「誰の抵抗があるのか」といった根本的な問題構造の追及が不足しています。また、産業・科学革新人材事業やSPRING制度など、実装段階の施策については建前的な応答に終わっており、現場での実行可能性の検証が十分ではありません。

質問者の評価

ChatGPTGeminiClaude
良い質問良い質問良い質問

質問者は、日本の科学技術政策の30年を振り返り、指標の推移や国内・国際状況、制度設計、現場の体験をもとに多角的に課題の本質へ切り込む姿勢が見られます。定量的・定性的視点のバランスや、先人のエピソード、外部政策動向を踏まえ、建設的かつ実務的な提案や確認要求も盛り込み、議会質問としての価値が高いです。一方、やや主観の挿入や答弁の簡潔さを求める場面もありますが、全体として論点の明確さ、政策への具体的なインパクトを担保しており「良い質問」と評価します。

質問者の平林委員は、26年間の大学教員としての実体験を背景に、研究現場の多忙さや「自主性」の重要性を説いており、質問に強い説得力があります。特に、文部科学省自身が博士号取得者の採用や現職職員の学位取得をどの程度進めているかを問うた場面では、政府の方針と実行力の乖離を鋭く指摘しています。また、外国人留学生への支援制度変更が国際的なメッセージとしてどう映るかという視点も、国益を考慮した重要な指摘です。

平林晃議員の質問には複数の強みがあります。第一に、30年間の基本計画歴を自身のキャリアと重ね合わせることで、抽象的な「相対的低下」を個別の実感として立体化させています。大学教員の多忙さ、限られた時間の中での研究継続という具体的状況描写は、聴き手に問題の切実性を伝えます。

第二に、ノーベル賞受賞者の事例から「好きなことに取り組む」という実行可能な教訓を抽出し、現在の「ミッション志向」「司令塔機能」という方針との緊張関係を指摘している点は優れています。これは単なる批判ではなく、「政策の方向性は必要だが、その下で研究者の自主性をいかに確保するか」という建設的な問い方になっています。

第三に、質問が複数の層を扱っています。基礎的な予算問題から、国立大学の配分メカニズム、産学連携の人材交流、博士人材育成、留学生受け入れといった多角的な観点を提示することで、科学技術政策の多面性を捉えています。

ただし、弱点として、各項目への質問が相互に関連せず、むしろ羅列的になっている側面があります。また、複数の課題を扱うために個別の掘り下げが浅くなり、例えば「クロスアポイント制度が機能しない理由」について具体的な制度設計上の問題を特定するまでには至っていません。さらに、質問の最後に「これが簡単ではない」と自ら述べながらも、解決策についての具体的な提案を持たないまま「しっかり進めていただきたい」と一般的な要望に終わっている部分があります。

回答者の評価

ChatGPTGeminiClaude
良い答弁まあまあ良い答弁普通の答弁

内閣府・文部科学省・大臣らの答弁は、統計データや各種政策、方針内容、実際の制度運用例、今後の対応方向を踏まえ、論点ごとに事実と政策の根拠を示しています。それぞれの質問に対し論点に沿った回答となっており、過不足なく専門的な説明がなされています。一部、質問者の希望ほど簡潔でなかったり、現状数値の明示が弱い場面もあるものの、全体として受け手にとって有益かつ中立性の高い「良い答弁」と評価します。

大臣および政府参考人は、日本の科学技術力の低下という不都合な事実を認めつつ、令和7年度補正予算での421億円の計上など、具体的な数字を挙げて対応策を示しています。運営費交付金の配分ルールにおける「安定性」と「インセンティブ」の両立という難しい課題に対しても、一定の方向性を示しました。ただし、文部科学省職員の学位取得状況に関する答弁については、質問者から「不満である」と指摘された通り、具体的な数値や実態の開示においてやや具体性を欠く場面が見られました。

複数の省庁関係者が応答していますが、全体的に特徴を述べます。

まず、内閣府の恒藤審議官の最初の応答は、データに基づいた現状分析として水準を保っています。トップテン補正論文数の低下、研究開発費の伸びの鈍さなど、具体的な指標を示しており、読み手が状況を理解しやすくなっています。

文部科学省西條局長の応答は、有識者会議の提言内容や第七期基本計画の骨子案といった、進行中の政策プロセスを説明する形になっています。内容としては間違いではありませんが、質問者が指摘した「かけ声だけではダメ」という課題に対して、「提言に含まれている」という確認に留まり、それが実装段階でどのような困難に直面するかについては応答していません。

松本洋平大臣の応答は、施策の実例(補正予算での421億円の計上、高市総理の指示)を示しており、政治的な推進姿勢を示唆しています。ただし、これが恒常的な当初予算にどう繋がるかについて明示的な見通しを示していない点は限定的です。

合田高等教育局長の応答では、国立大学法人等改革基本方針の内容説明に多くが費やされており、既に認識されている課題と現在検討中の方向性の説明が大半です。「最低限必要と考えられる教育研究をベースとした経費については、安定性をより向上させた仕組みにする」という文言は政策意図を示していますが、現在の配分制度がなぜこの形になっているのか、その背景にある何らかの政策判断についての説明がなく、単に「今後検討する」という保留状態に見えます。

茂里官房長の博士人材に関する応答は、現状数値(117名の博士人材、総合職採用者の10%超)を示していますが、質問者が追求しようとした「文科省職員自身が働きながら博士号を取得する事例がどの程度あるのか」という問いには直接応答していません。むしろ「採用時と採用後の研修の両面で取り組む」という抽象的な方針表明で終わっており、現状把握の不十分さが露呈しています。これに対して質問者が「現状をもう少しクリアにお答えいただきたかった」と指摘している通り、答弁の精度が落ちています。

全体として、回答者側は「制度設計上の課題は認識している」「改善に向けて検討中である」という段階的な説明に終始しており、問題がなぜ解決しないのか、あるいは解決を妨げる構造的な制約が何なのかについては明らかになっていません。


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