第219回国会 衆議院 文部科学委員会 第4号 令和7年12月5日(2/8)

子ども・教育
国会情報(会議録)
【衆議院】 219回 質問: 荒井優 回答: 松本洋平塩見みづ枝小林万里子望月禎 開催:2025/12/05

3行解説

POINT
  • 文部科学委員会で、私立高校や給食の無償化、学校改革の在り方などについて質問と答弁が行われました。
  • 質問者は荒井優議員(立憲民主党)で、主に無償化の財源、私立高校への情報公開の義務、学校が変わりにくい理由、教育現場の多様性と自発性の大切さについて尋ねました。
  • 主な答弁者は文部科学大臣の松本洋平氏、初等中等教育局長の望月禎氏、高等教育局私学部長の小林万里子氏で、それぞれ政府の今の考えや現状、今後の方針について答えました。

3分解説(くわしい説明)

私立高校・給食の無償化に関する議論

荒井優議員は、最近話題になっている「私立高校と給食の無償化」について文部科学省の考えを質問しました。給食の無償化については、交付税というしくみを使ってお金を用意する案がありますが、それだと地方によっては実質的に税金が増えることになる団体も出てくる可能性があると心配されています。担当の塩見みづ枝初等中等教育局長は、「今は色々な政党で本格的な議論が始まったばかりで、自治体や関係者からも意見を集めているところです」と答えました。つまり、まだ具体的な仕組みは決まっておらず、各党の話し合いを見て対応するとしています。

私立高校の無償化と学校経営の透明性

私立高校の無償化については、「無償化が本当に始まるのか?期間限定なのか?、財源はどうするのか?」といった疑問が学校関係者や保護者から出ていると荒井議員が述べました。また、無償化になると多くの税金で学校を運営することになるため、「私立高校の経営状況の公開」を義務づけるべきではないかと提案しました。小林万里子高等教育局私学部長は、現在は大学などを運営する学校法人は公開義務があり、高校だけの法人にはインターネットでの公開が努力義務(やってもやらなくてもよい)になっていると説明しました。今後も積極的な情報公開を進めるよう努力する方針だと答えました。

学校が変わりにくい理由や、「自分らしさ」を大切にする教育について

荒井議員は、学校が「なかなか変わらない組織だ」と感じる理由や、学校で生徒自身が自分の意思を持ち、個性や多様性を認められることの大切さについても質問しました。望月禎初等中等教育局長は、「日本の学校は戦後から『全人的な教育』(勉強だけでなく人として成長する教育)をずっと大切にしていて、変わる部分と変わらない部分が両方ある」と説明しました。また、生徒が自分の意見を持ち、先生としっかり話せる学校が元気だと感じることや、校則の見直しなどで生徒の声を取り入れる動きがあることなども紹介しました。

多様性と「自分で考え行動する」ことの大切さ

最後に松本洋平文部科学大臣は、色々な生徒が一緒に学ぶ学校で「違いを認め合うこと」や、「自分で考えて成長すること」がとても大切だと答えました。例えば、子どもたち1人1人が好きなテーマで勉強する「はかせタイム」の学校の例を紹介し、目を輝かせて自分のことを話してくれる生徒の姿に感動したと話しました。大臣はまた、「独立自尊」という、1人1人が自分で考えて行動することの大切さを、教育や文科省の職員にも大事にしてもらいたいと強調しました。

この議論のAIによる評価

議論自体の評価

ChatGPTGeminiClaude
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本議論は、私立高校および給食の無償化という政策の基本設計や財源、運用実態への質問から始まり、現場の学校経営や教育現場の課題、さらには組織論や学校文化、教育理念にまで踏み込んで議論が展開されています。国会質疑として、政策の実効性・透明性・公平性・理念にまで踏み込んでいる点、多角的な課題認識と現場視点を交えている点で、非常に価値ある議論であると評価できます。質問・答弁の応酬も丁寧であり、国民・保護者・教育現場関係者・政策担当者にとって示唆に富む内容となっています。

この議論は、教育無償化という「財源・制度」の具体的な課題から、学校組織の在り方という「教育の本質・哲学」に至るまで、多角的な視点で行われています 。質問者は現場での経営経験を基に、制度の不備や現場の空気感を具体的に指摘しており、それに対して大臣も自身の視察経験や教育理念を交えて答弁しています 。政策の表面的な確認に留まらず、日本の教育が抱える構造的な課題(組織の硬直性や情報の透明性)に切り込んでいる点において、非常に建設的で質の高い議論であると評価できます 。

この質疑は、政策の実装段階における具体的な課題を指摘し、教育現場の実態に基づいた問題提起を行っている点で価値があります。荒井委員は私立高校無償化と給食無償化という大型政策について、単に賛否を述べるのではなく、以下の具体的な論点を提示しています。

一つ目は、交付税措置による財源確保が不交付団体にもたらす実質的な負担増という技術的問題です。この指摘は地方自治体の首長から直接聞いた懸念であり、政策設計の精度を高めるために不可欠な視点です。

二つ目は、扶養控除削減による財源確保が、公立高校に子どもを通わせる世帯に実質増税をもたらす逆進性の問題です。これは政策目標と手段の整合性に関わる重要な指摘です。

三つ目は、税金で運営される私立学校の財務情報公開義務化に関する制度的な提案です。現行制度の不備を指摘した上で、改革の必要性を論理的に説明しています。

四つ目は、学校組織の「変わらなさ」に関する本質的な問いです。予算や制度設計だけでなく、学校文化や組織風土に切り込む試みは、教育政策における多次元的な思考を示しています。

これらの議論は、政策立案者が実装時に検討すべき具体的で実現可能な課題であり、国会質疑として適切な水準を保っています。

質問者の評価

ChatGPTGeminiClaude
良い質問良い質問良い質問

荒井議員は事実や現場感覚を根拠にした具体的な質問を繰り出し、行政の現状認識や政策設計の透明性、また制度的改善点の指摘(例:私立高校の財務情報公開の義務化提案)にも踏み込んでいます。質問の内容は政策議論の本質を突いており、主観的感想に偏り過ぎず構造的問題や利害関係者(国民、保護者、学校経営者など)への波及を意識しています。また、学校の現場経験に基づく具体的事例や、組織論・理念の問いかけなども加味され、議会質問としての質は高いと評価できます。稚拙さや揚げ足取り、礼節を欠く部分も見られません。

質問者の荒井委員は、以下の3点において優れた質問を行っています。

  • 時事性と具体性:給食や私立高校の無償化について、報道されている懸念点(交付税措置による実質増税や扶養控除見直し)を素早く取り上げ、政府の見解を質しています。
  • 専門性と実効性:自身の私立学校経営経験から、知事所轄学校法人の情報公開の不備という、実務上の盲点を突いています。
  • 本質的問いかけ:予算の話に終始せず、学校の「空気感」や「独立自尊」といった教育の根本に触れ、大臣から人間味のある答弁を引き出すことに成功しています。 全体として、論理構成が明確で、揚げ足取りではなく、より良い教育環境の構築を目指す姿勢が貫かれています。

荒井委員の質問は複数の強みを示しています。

まず、質問の具体性が高いです。交付税措置の影響、扶養控除削減の逆進性、私立学校の財務情報公開義務化という三つの政策課題をそれぞれ異なる視角から問うており、各々が実装時に直面する現実的な問題です。

次に、本人の実務経験に基づいた質問である点が重要です。私立高校の経営経験から、財務諸表の悪化や経営危機の実例を述べることで、制度設計の重要性を説得力をもって主張しています。

また、政策目標と手段の整合性を問う視点があります。「総理が目指しているものとは違う方向」という指摘は、政治的な対立というより、政策の理想像と現実の乖離に関する客観的な問題提起です。

さらに、単なる反対ではなく建設的な改善案を提示しています。財務情報の公開義務化により「保護者や有権者の選択に資する」という前向きな論理構成になっています。

ただし、一点の課題があります。最後の「独立自尊」に関する質問は、前半の政策的な具体性から離れ、より哲学的・理念的な領域に移行しており、質問者自身の思想的背景を述べるウェイトが増しています。この部分は個人の教育哲学の表現に近く、国会質疑としての「具体的な政策課題の提示」という本来の機能からはやや外れています。

回答者の評価

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文部科学省の担当者および大臣は、各質問に対して制度的な根拠、現行法・方針、現場や社会の実情に即して具体的かつ丁寧に説明しています。不明瞭な点や今後検討・取り組むべき課題については率直に現状を伝え、前向きな姿勢を示しています。また、大臣の答弁は単なる杓子定規な回答にとどまらず、現場視点や教育の理念的意義に触れており、自身の経験や最近の学校訪問エピソードを交えることで、実感を持って政策推進の意欲を伝える工夫がなされています。全体として、国会答弁としても誠実で質が高いものです。

回答者、特に松本大臣の答弁には、単なる官僚答弁を超えた「当事者意識」が見受けられます。

  • 誠実な姿勢:給食無償化等の制度面については、現状の議論状況を正確に伝えつつ、課題を認識していることを示しています。
  • 具体的エピソード:学校の変革に関する問いに対し、前日に視察した小学校での具体的な体験(はかせタイム)を語り、子供たちの熱量を自身の言葉で表現しています。
  • 理念の共有:福澤諭吉の「独立自尊」という問いに対しても、自身の指針や省のミッションを交え、教育者や職員への期待を込めた前向きなメッセージを発信しています。政府参考人の答弁も、改正私立学校法の現状と課題を適切に整理しており、全体として整合性の取れた丁寧な回答が行われています。

文部科学省関係者の答弁を評価します。

正当な答弁としての側面:

塩見政府参考人の給食無償化に関する答弁は、現在の制度設計段階での政府の立場を明確に示しています。「三党合意」と「実務者による検討チーム」の進行状況を述べることで、文科省が単独では判断できない状況を説明しており、責任回避というより現実的な説明となっています。

小林政府参考人の私立学校法改正に関する答弁は、既存の制度設計の論理と最近の改正内容を詳細に説明しており、荒井委員の指摘に対して「大規模な知事所轄学校法人に対しては計算書類等の情報公開を義務づけた」という具体的な進展を示しています。

望月政府参考人の「生きている学校」に関する答弁では、抽象的なレベルにとどまりながらも、校則見直しや児童生徒の意見聴取といった具体例を挙げており、質問の内容を理解していることが伝わります。

課題のある側面:

給食無償化に関しては、複数の委員が「答弁では精いっぱい」と認識するレベルの回答しか得られていません。これは答弁者の限界を示していますが、その限界を明確に示していないため、重要な政策課題が曖昧なままになっています。

私立学校の財務公開に関しては、既に改正法が施行されたという説明がなされていますが、荒井委員が指摘した「県所轄学校法人の公開がほぼ努力義務である」という実質的な課題に対して、十分な対応の道筋が示されていません。文科省が「引き続き周知徹底を進める」というのは改革への主体的な取り組みというより、現状維持に近いものです。

松本文部科学大臣の答弁には、政治家としての個人的な姿勢や価値観が示されており、「独立自尊」という哲学的な問いに対しては、その考え方を「個別の教育理念についてのコメントは避けたい」と慎重に距離を置いています。一方で、上目黒小学校の視察経験を交えた説明では、子どもたちの主体性や多様性を認める学校文化の重要性を具体的に述べており、後半の質問に応じた形になっています。

しかし、前半の政策的な具体的課題(交付税措置の不交付団体への影響、扶養控除削減の逆進性)に対しては、大臣は直接的な答弁を行っておらず、これらは政党間や政府内での検討が進行中であることに委ねられています。


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