第219回国会 衆議院 災害対策特別委員会 第3号 令和7年12月4日(7/11)

医療政策
国会情報(会議録)
【衆議院】 219回 質問: 石井智恵 回答: あかま二郎牧野たかお鎌原宜文林正道 開催:2025/12/04

3行解説

POINT
  • 大きな災害が起きたときに船を使った病院(病院船)の準備状況や、川の氾濫(はんらん)を防ぐためのデジタル技術利用について議論がありました。
  • 質問者は石井智恵委員で、病院船準備の進み具合や人工知能(AI)による防災対策の現状と課題について質問しました。
  • あかま二郎防災担当大臣、鎌原宜文内閣官房審議官、牧野たかお国土強靱化担当大臣、林正道国土交通省水管理・国土保全局長が、それぞれ現状や課題、今後の取組について答弁しました。

3分解説(くわしい説明)

災害時に使う「病院船」の準備について

石井智恵委員は、大きな地震や災害が起きて道が使えなくなったときに、船で医療を届ける「病院船」について質問しました。最近、愛媛県で原子力災害を想定した訓練が行われたことも紹介され、特に道が通れない場所では病院船が役立つと話しました。今は、国が病院船を自分で持たず、しばらくの間は民間の大型フェリーなどを借りて使う予定です。

あかま二郎防災担当大臣は、令和8年(2026年)1月から病院船の運用がはじまる計画で、医師や看護師の確保、船や必要な器具の準備、関係団体や船会社との協力について話し合いを進めていると答えました。また、実際に動く訓練も行い、しっかり準備をしていると述べました。

鎌原宜文内閣官房審議官は、病院船を使うときはたくさんの人や組織の協力が必要で、特に港や航路が安全かどうかをすばやく確認する必要があると説明しました。医療を担当する人が船の中で効率よく働ける工夫も大切だと強調しています。船会社や関係者と練習や話し合いを進めているとのことです。

デジタル技術やAIで川の氾濫などの防災を強化

石井智恵委員は、愛媛県や島根県などでAI(人工知能)が川の水位を24時間見張ったり、水門を自動で操作したりする取組が始まっていることを紹介し、デジタル技術で災害への備えが進んでいることについて国の考えを尋ねました。

牧野たかお国土強靱化担当大臣は、防災やインフラを守るためにはAIや新しいデジタル技術が大事だと答え、河川や天気情報のシステム強化など国も積極的に進めていくと説明しました。

林正道国土交通省水管理・国土保全局長も、人口が減って高齢化している今、できるだけ人手をかけずAIや自動化で川の安全を守る取組(自動水門や情報のデータ化など)を進めていると答弁しました。国はこうした新しい技術を使って、みんなの安全を守っていく方針です。

この議論のAIによる評価

議論自体の評価

ChatGPTGeminiClaude
良い議論まあまあ良い議論まあまあ良い議論

本議論は、大規模災害時の病院船の運用やデジタルを活用した防災対策など、きわめて社会的・政策的な重要性が高い課題について多角的な観点から質疑応答が行われております。質問者は現場経験を踏まえており、実態と政策の接点を把握した的確な質問を展開しています。これに対し、回答側は現状の進捗や抱える課題、今後の具体的取組方針を丁寧に説明しており、議会質問として高い水準にあると評価できます。政策形成や現場の関係者、市民の疑問への答えとなるポテンシャルも十分もっています。

議論は主に「大規模災害における病院船」と「豪雨災害などからの流域治水対策のデジタル活用」という二つの災害対策に関する重要なテーマに焦点を当てており、それぞれ具体的な課題と国の取り組みについて質問と回答がされています。質問は、病院船の運用開始に向けた準備状況や課題、そして治水対策におけるデジタル技術の活用と省人化という、具体的な施策と課題に切り込んでいます。回答も、現時点での具体的な進捗(閣議決定、協定締結への協議、訓練実施など)や課題認識(連携体制、港湾状況の把握、人材育成など)を示しており、内容の具体性は担保されています。ただし、質疑の深掘りが全体的に浅い点や、質問者が国の保有する病院船の導入を要望するに留まり、具体的な予算や長期計画に関する詰めた議論にまでは至っていない点が、「良い議論」とするには至らない理由です。

この議論は、災害対策という公共性の高いテーマで、以下の点で一定の質を示しています。質問者が具体的な事例(愛媛県での原子力総合防災訓練、能登半島地震での災害医療支援船、今治市のAI監視システム、島根県美郷町の自動ゲート実証実験)に基づいて課題提示しており、相応の準備と地域知見が反映されています。回答者も概ね現状説明と今後の方針を述べており、全体として議論が成立しています。

ただし、制約があります。質問が単なる事例紹介と現状確認に止まり、政策的な検証や予算面での議論が深掘りされていません。特に病院船について「国の保有が必要」という主張がありながら、その実現可能性や優先順位についての突っ込んだ議論がありません。回答者側も「進めてまいります」といった抽象的な回答が多く、具体的な財源確保や実装時期の詰めが不十分です。したがって、良好な意思疎通が図られた一方で、政策形成に直結する深い議論には至っていません。

質問者の評価

ChatGPTGeminiClaude
良い質問まあまあ良い質問まあまあ良い質問

質問者は、自身の医療現場経験や地域事情を背景に、制度の現状および将来的な課題を具体的に提示しています。また制度論だけでなく、現場の実態・運用上の課題、そして政策的方向性や国際比較まで踏み込んでおり、議会での政策論議の質を高めています。それだけでなく、自治体・被災者・医療従事者・政策決定者など幅広い関係者にとって価値ある問いとなっております。一方、冒頭の自己紹介部分は要点から外れるものの、全体の流れに支障はありませんでした。

質問者は、愛媛県出身、医療現場経験という自身の背景を生かし、「災害医療」と「デジタルを活用した防災対策」という緊急性の高い二つのテーマを選定しています。

  • 病院船に関する質問は、原子力総合防災訓練の事例や能登半島地震の教訓、さらには海外事例(マーシー号)にも言及するなど、問題提起の背景が具体的で適切です。運用開始に向けた準備状況、実動訓練での課題点、民間船舶活用の具体的な課題(資材運搬、使用エリア)など、実務的な側面に焦点を当てており、課題の整理ができています。最後に国の保有船導入を要望しているのも、長期的な視点からの提言として適切です。
  • 流域治水に関する質問も、西日本豪雨災害や東日本大震災の教訓に触れ、AI監視システムや水門自動開閉の実証実験など、具体的な地方の取り組みを例示することで、デジタル化・省人化の必要性を明確にしています。 全体を通して、問題意識が明確で、国民の命に関わるテーマを取り上げている点で価値が高いです。一方で、具体的な課題に対して「国としての支援を是非よろしく」といった要望に留まる箇所や、国の保有船導入に関する財源や時期など、政府の具体的な方針を深く引き出すための質問には至らず、一歩踏み込みが足りない点があります。

質問の強みとしては、以下が挙げられます。質問者は医療現場の経歴を活かし、病院船運用の医療的課題や現場ニーズに的確に言及しています。複数の地域事例を用意し、視覚的資料(資料1~3)を活用することで、聴き手の理解を助ける工夫がされています。特に「民間フェリーの一時借用における契約や長期化への対応」「被災していない自治体からの応援体制構築」「医薬品調達の官側支援」など、実務的な課題設定が適切です。

一方、弱点も存在します。病院船について「国の保有が必要」と述べながら、なぜ当面民間活用なのか、国保有にどの程度の期間と予算が必要かといった制約条件の質問がありません。デジタル化についても「進めてほしい」という応援的な質問に終始し、他自治体の独自開発による「ばらつき」や「標準化」といった政策的課題への切り込みが浅いです。質問というより陳情に近い部分が散見されます。

回答者の評価

ChatGPTGeminiClaude
良い答弁普通の答弁普通の答弁

回答者(大臣、政府参考人等)は、進捗状況や具体的な課題、今後の方針について事実と根拠を基に簡潔かつ明確に説明しています。あいまいに希望的観測でごまかすことなく、検討中の事項や協議状況など現実的な工程をわかりやすく提示しており、政策遂行の透明性も確保できていると判断できます。また、丁寧な言葉遣い・国会答弁としての礼節も維持しており、議会記録としても十分な質を満たしています。

国務大臣(あかま氏、牧野氏)および政府参考人(鎌原氏、林氏)による答弁は、質問の論点に対して真摯に回答しており、事実に即した内容です。

  • 病院船に関する答弁は、運用開始時期(令和8年1月)、整備推進計画の閣議決定、具体的な準備状況(医療従事者・船舶の確保、協力協定の締結協議、資器材の備蓄、実動訓練の実施)を具体的に説明しており、現時点での進捗が分かります。また、課題として多様な関係者間の連携、航路・港の状況確認、人材育成を挙げ、課題認識が共有されていることが示されています。
  • デジタル活用に関する答弁も、デジタル・AI技術活用の重要性を認識し、第一次国土強靱化実施中期計画への位置づけや、具体的な対策(予測精度の向上、情報基盤プラットフォームの構築、フラップゲートへの切替え、樋門開閉の自動化検討)に言及しており、国の推進体制が示されています。 しかし、全体として「やっていること」や「課題認識」の羅列に留まり、「質問者が抱える具体的な懸念」や「国民が知りたい実効性」に対して、踏み込んだ具体策や今後のロードマップを示すには至っていません。例えば、病院船の民間船舶活用における「協定締結」の具体的な内容(借り上げの優先順位、費用負担など)や、「国による支援」の具体的な中身については、一般論的な回答に留まっています。また、国土交通省の答弁はやや冗長で、委員長から「簡潔にお願いします」と促される場面もありました。したがって、内容が正確であるものの、質問の意図を汲み取り、国民への説明責任をより果たしたと言える「良い答弁」とするには、具体性が不足しています。

回答の強みは、複数の省庁担当者が現状説明を比較的詳しく行っている点です。特に鎌原内閣審議官は「関係者間の連携」「航路・港湾情報の迅速把握」「人材育成」といった船舶活用医療の複合的課題を体系的に説明しており、課題認識が具体的です。林国土交通省次長もフラップゲートやAI活用、データ基盤プラットフォームなど複数の施策を並挙しており、取組の広がりが伝わります。

しかし、以下の点で答弁の質は「普通」止まりです。あかま防災担当大臣の答弁は「年内に協定締結」「万全を期する」といった時間軸と一般的な方針を述べるのみで、具体的なボトルネック(医療従事者確保の困難性、予算規模、民間事業者の協力インセンティブなど)への踏み込みがありません。各省の回答も「検討を進める」「構築を進める」といった進行形表現が多く、現時点での実現度や実装スケジュールが曖昧です。特にデジタル化については、国が標準フォーマットや財政支援をどこまで担うのかについての明示がなく、自治体が「しのぎを削って独自開発」している現状への対処方針が不透明なままです。


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