第219回国会 衆議院 災害対策特別委員会 第3号 令和7年12月4日(5/11)

災害対策
国会情報(会議録)
【衆議院】 219回 質問: 緑川貴士 回答: あかま二郎横山征成成田浩司 開催:2025/12/04

3行解説

POINT
  • この質疑は、熊(くま)が人里に出てきて起きる被害への対策と、被害を受けた人や企業への支援について、国会で議論されたものです。
  • 質問者は緑川貴士委員で、熊被害を災害として認めて特別な支援を求めたり、熊を寄せつける果樹の早い除去や専門家の人材育成など、現状で足りない対策や支援について質問しました。
  • 答弁者のあかま二郎大臣(防災担当)、横山征成政策統括官(内閣府)、成田浩司審議官(環境省)は、熊被害への新たな支援や法改正は今後検討する姿勢を示しつつ、現在はクマ被害対策パッケージによる対応や、関係省庁・自治体で連携して進めることが重要と答えました。

3分解説(くわしい説明)

熊による被害をどう対策するかの話し合い

熊が人の住んでいる場所にやってきて、人やお店、観光地などに大きな被害を出していることが、国会で話し合われました。今回の質問をしたのは、緑川貴士委員です。緑川委員は、熊被害でお客さんが減ったりイベントが中止になったり、子どもたちが外で遊べないなど、秋田県をはじめとした地域がとても困っている現状を伝えました。緑川委員は、この被害を「災害」と同じように国として考えて、特別な支援ができるようにしてほしいと求めました。

政府の考えとかいけつ方法

防災担当のあかま二郎大臣は、熊被害は大きな問題だけど、今の法律の「災害」の定義にはまだ入れるのはむずかしいと答えました。ただし、国としていろいろな省庁が協力して、「クマ被害対策パッケージ」という決まりを作って、被害を減らせるようにしていくことが大切だと話しました。今後、現場の声も聞きながら見直しや追加の対策も考えていくとしています。

緑川委員はさらに、すでに起きた被害についても救済が足りないこと、また、中小企業や個人が保険でカバーできない損害・けがの補償、熊に襲われて亡くなった方へのお見舞金など、公的な支援が少なすぎると指摘しました。内閣府の横山征成政策統括官は、今までこのようなニーズを検討したことはなかったが、今後関係省庁と協力して考えていくと答えました。

熊を寄せつけない、専門家を増やす

他にも、熊をおびき寄せる原因となる果物の木などが、持ち主がわからない土地に残っていて対応が遅れてしまう問題があること、熊対策の専門家が特に熊が多い東北地方で足りていないことなども問題となりました。環境省の成田浩司審議官は、果物の除去などにお金を出す仕組みはあるが、「財産権」という権利がからむので、新しい特例はよく検討する必要があると答えました。また、専門家を増やすために大学などと協力して人材育成したり、自治体への支援を拡大する方針も伝えました。

  • 熊被害が広がって地域や個人が困っていることが国会で話し合われた
  • 国や地方自治体、関係省庁が協力して対策をしているが、新しい支援や法律の見直しはこれから検討
  • 被害を減らす工夫や、専門家をふやすため大学などと連携した育成制度、自治体支援も進める予定

この議論のAIによる評価

議論自体の評価

ChatGPTGeminiClaude
良い議論まあまあ良い議論まあまあ良い議論

議論全体を通じて、質問者は被害の具体実態や制度の課題を具体的かつ多角的に提示しており、科学的根拠や法制度上の論点、実務上の支障など、政策論点を明確に浮き彫りにしているため、議会質問として大いに価値があります。回答側は、法制度や現行パッケージ、財産権の補償・制約、既存施策の運用現状、今後の検討意向など、現実的根拠と行政としての課題認識・対応範囲を誠実に答弁しており、政策実装上の制約も説明しています。双方のやり取りは礼節を保ちつつ、個別事象と制度政策双方に柔軟に焦点を当てています。よって「良い議論」と評価します。

質問者は、秋田県在住の立場から、深刻化するクマ被害が地域経済や住民生活に与える影響を具体的に示し、これを「災害級」として国の公的支援の対象とするための具体的な方策(法解釈、政令改正、特例措置)を提案しました。また、所有者不明土地問題や専門人材不足といった中長期的な課題についても、具体的なデータ(専門職員数)を提示し、具体的な対応を求めました。この「喫緊の支援」と「中長期の対策」を両輪で議論しようとする姿勢は評価できます。

一方、回答者(あかま国務大臣)は、現行の「クマ人身被害対策パッケージ」の実行を最優先とし、「災害」の定義の厳格さを盾に特例的な支援の検討や法解釈の変更に踏み込むことを避けました。しかし、横山政府参考人(内閣府政策統括官)は、弔慰金、見舞金、援護資金などの個別制度の適用について「検討する」と前向きな姿勢を示し、成田政府参考人(環境省)も、専門人材育成や個体数推定の統一化について具体的な施策(交付金拡大、生態調査開始)を答弁しました。

大臣答弁の慎重さにより議論の進展は緩やかでしたが、政府参考人から具体的な検討開始や施策拡大の言質が得られた点で、一定の価値ある議論であったと評価します。

この議論は、クマ被害という新興の社会問題に対して、具体的な事例と法的フレームワークの検討を組み合わせた点で価値があります。質問者が秋田県の現地状況(観光キャンセル、店舗営業への影響、児童の外出制限)を詳細に述べることで、問題の深刻さを可視化しました。また、被害者支援(弔慰金、見舞金、援護資金)の適用可能性や、財産権と公共の福祉のバランスに関する憲法的議論など、複数のレイヤーからアプローチしています。

しかし、評価が「良い議論」に至らない理由は、政府答弁の曖昧性に対して質問者の詰めが十分でない点です。特にあかま大臣が「クマ被害対策パッケージの実行」を繰り返すだけで具体的な支援制度言及を避ける姿勢に対して、質問者は最終的に譲歩してしまい、政府のコミットメント獲得に失敗しています。また、個体数推定の統一化に関する後半の質問は政策提案色が強くなり、対政府とのやり取りというより一方的な要望表明になっています。

質問者の評価

ChatGPTGeminiClaude
良い質問良い質問良い質問

質問者は、単なる問題提起にとどまらず、現場実態・国民生活への直接の影響、法令解釈の可能性や制度趣旨の疑義、関係法令の条文解釈や政令レベルでの実務的な対応方法、それによる支援措置の現状と不足点などを具体的かつ多面的に問い、立法政策的な論点整理や実務上の改善提案、さらには科学的エビデンス(個体数推計・PTSD等)に基づく政策要望を精密に行っています。質問は行政の縦割りや既存制度の硬直さ、現実の支援不足に対する住民・企業への公的補助の要否、現行法の運用の柔軟性、人材配置の合理性など、立法・行政両面に有用な内容でした。本質的論点を突いており「良い質問」と評価します。

  • 具体的な被害状況の提示: 自身が居住する秋田県の事例として、宿泊・観光のキャンセル、屋外イベント中止、飲食店への影響、子どもの発育・心理的負担といった多岐にわたる深刻な被害を具体的に示し、問題の切実さを強調しました。
  • 論点の明確さと具体性:
    • 短期的・喫緊の課題として、災害対策基本法上の「災害」認定または特例措置による「公的支援(弔慰金、見舞金、援護資金、セーフティーネット保証4号の適用)」の必要性を明確に提起しました。
    • 中長期的課題として、所有者不明土地に残された誘引物の除去の迅速化、専門職員数という具体的なデータを基にした東北地方への人材確保の優先支援、個体数推定手法の統一化とデータの一元管理を提案し、具体的な政策提言を行っています。
  • 法的・政策的根拠への言及: 災害対策基本法第2条1項の**「その他の異常な自然現象」、施行令第1条の「政令で定める原因」、そして「公共の福祉」**の概念など、法解釈や制度改正にまで踏み込んだ提案は、非常に質が高いと言えます。

これらの質問は、クマ被害に苦しむ地域住民や事業者、そして現場で対応にあたる自治体職員にとって、公的支援と抜本的対策を求める非常に価値の高いものでした。一方、現行の制度や予算、パッケージを所管する行政当局にとっては、制度の再検討や新たな予算・人員の確保を迫る点で、高い負担と価値を持つものとなりました。

緑川委員の質問は以下の点で質が高いです。第一に、日本銀行総裁の発言を引き合いに出すことで、経済的な深刻さを客観的に示し、単なる地域問題ではなく国家レベルの課題であることを提示しました。第二に、秋田県での具体的な被害状況(飲食店の忘年会キャンセル、児童の心理的負担、市町村職員の疲弊)を列挙し、数字ではなく生活実感で影響を説明した点が説得力を持ちます。

第三に、法的側面での提案が複数提示されています。災害対策基本法第2条第1項の「その他の異常な自然現象」への法解釈としての包含、あるいは施行令第1条への政令改正による対応など、段階的な実現可能性を示唆しています。これは政府に複数の選択肢を提供し、「できない理由」を限定する戦略的な質問設計です。

ただし、最後の個体数推定に関する質問は、政策提案が細かくなりすぎ、質疑というより政府への要望リストになっており、質問の一貫性がやや損なわれています。

回答者の評価

ChatGPTGeminiClaude
まあまあ良い答弁普通の答弁あまり価値のない答弁

回答者は、制度の範囲や現行措置、法的根拠、行政判断の限界などについておおむね誠実かつ簡明に答弁しています。また、今後の検討の必要性を否定することなく、現状施策を中心に据えつつも、新たな論点については関係省庁と調整する意向を示しています。一方で、パッケージ未対応部分や現場から提起された支援不足、要件運用の柔軟性や特例措置の創設、他省庁や現場調整の主導的姿勢などについてはやや消極的・形式的な印象が否めず、具体的約束や柔軟なイノベーション対応にはやや慎重に過ぎるため「まあまあ良い答弁」と評価します。

  • 国務大臣(あかま国務大臣)の答弁:
    • 終始一貫して「クマ人身被害対策パッケージ」の着実な実行を強調し、当面の対策に注力する姿勢を示しました。これは大臣の責務として理解できますが、法解釈の変更や特例的支援の可能性についての正面からの検討開始を拒む答弁に終始しました。「災害」の定義を厳格に捉えすぎることで、地域経済や個人生活への深刻な影響という質問者の指摘を、制度論を盾に受け止めきれていない印象を与えました。
  • 政府参考人の答弁:
    • 横山政府参考人(内閣府)が、弔慰金や見舞金などの個別の公的支援制度の適用について「関係省庁とも確認し、対応を検討させていただきたい」と答弁し、これまで検討されてこなかったことを認めつつ、検討開始の言質を取られた点は、議論の進展として評価できます。
    • 成田政府参考人(環境省)は、専門人材育成について交付金の使途拡大(人件費支援)を具体的に挙げ、個体数推定についても東北地方からの生態調査開始や統一的な統計手法の推進を答弁し、具体的な施策の拡充を示しました。
    • 所有者不明土地については、「財産権との調整」を理由に慎重姿勢を示しましたが、既存制度の所管省庁と検討すると述べています。

大臣答弁の慎重さ(現状のパッケージに終始)と、政府参考人答弁の具体性(支援制度の検討開始、専門人材支援の具体策)が混在し、結果として政策を前に進める兆しが見えたため、「普通の答弁」と評価します。特に大臣は、被災地の切実な声に、現行制度の枠組みを超えた特例措置を検討する「英断」を避けたため、被災者にとっては価値の低い答弁であったと言えます。

あかま大臣の答弁には以下の問題があります。第一に、著しく繰り返し性が高く、本質的な新情報をほぼ提供していません。「クマ被害対策パッケージの推進」「関係閣僚会議」「被害最小化」といったフレーズが何度も登場し、実質的な進展がありません。

第二に、質問者の具体的な提案に対する検討意思が曖昧です。例えば弔慰金・見舞金・援護資金の対象化に関して、横山政府参考人は「これまで具体的に検討するまでに至ってはございませんでした」と述べており、これは政府が問題を認識していなかったことを示唆しています。問題が指摘されて初めて検討が始まるという受け身的な姿勢は、国会質疑における政府の先制的責任を放棄しているに等しいものです。

第三に、法的根拠についての検討が不十分です。「災害対策基本法の定義にいきなり行くわけにはいかない」という抵抗は、政令改正というより軽微な手段の検討提案には応答しておらず、技術的に実現不可能な理由を示していません。

横山参考人の「制度それぞれはそれぞれの趣旨がある」という答弁も、既存制度の枠内での検討に留まり、特例措置という新たな選択肢の可能性を真摯に検討する姿勢が感じられません。

成田環境省参考人の答弁は、比較的前向きな施策提示(補正予算での人件費支援、東北地方での生態調査開始)がありますが、所有者不明土地での誘引物除去に関しては「財産権との調整」を理由に慎重姿勢を示しており、質問者が提示した「公共の福祉との関係」という憲法的論拠を正面から検討していません。

全体として、政府答弁は現状維持と既存枠組みの操作で対応しようとする姿勢が強く、新たな法的或いは予算的措置の実現可能性についての建設的な検討が不足しています。


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