存立危機事態及び重要影響事態における空港・港湾に係る大臣の指示に関する質問主意書

外交・安全保障
国会情報(質問主意書)
【参議院】 219回 質問: 福島みずほ 回答: 高市早苗 質問日:2025/11/12 回答日:2025/11/21

3行解説

POINT
  • 国会で、危険な状況のとき空港や港をどう使うかについて、政府と福島みずほ議員のやりとりがありました。
  • 福島みずほ議員は、戦争や大きな危機が起こったら、国の決まりにそって大臣が空港や港の使い方を地方に指示できるか質問しました。
  • 内閣総理大臣・高市早苗さんは、そういう特別な場合にはほかの法律ですでに決まりがあるので、その法律で対応し、地方自治法の規定で指示を出すことは想定していないと答えました。

3分解説(くわしい説明)

危機のときの空港や港の使い方についての議論

この国会のやりとりは、国にとってとても大切な危険な出来事(たとえば戦争や日本にとって命や平和が危ない大きな事件など)のときに、空港や港をどう管理したらよいかを話したものです。特に、大臣(防衛大臣や国土交通大臣)が、空港や港を管理している地方の役所(市や県など)に、特別な指示ができるのかが取り上げられました。

質問をした人と質問の内容

福島みずほ議員は、「存立危機事態や重要影響事態」という、とても危ない状況では、法律に基づき大臣が地方に特別な指示(たとえば自衛隊や外国の軍隊に空港や港を優先的に使わせるなど)を出せるのかどうかを聞きました。もし出せるなら、どんな指示を考えているのかもたずねました。

政府の答え(高市早苗 内閣総理大臣)

政府側、答弁者の高市早苗 内閣総理大臣は、「とても危ない状況」にもいろいろな場合があるので、一つに決めつけることはできないと前置きしつつ、下記のように説明しました。

  • 「戦争や存立危機事態、重要影響事態」などは、すでにそのための特別な法律で決まりがしっかりあります。
  • だから、地方自治法で決めた『大臣が地方に特別な指示を出す』という仕組みは、こうした事態には使うことを考えていません。
  • こういった特別な危機のときは、他の法律(たとえば『事態対処法』や『重要影響事態法』)で対応します。

つまり、政府は「危険なとき空港や港について大臣が地方に命令するか」という質問に対して、すでに特別な法律で決まっているから心配はいらないし、地方自治法ではそういう指示は出さない予定、と説明しています。

この議論のAIによる評価

議論自体の評価

ChatGPTGeminiClaude
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議論のテーマは、緊急時の法運用や大臣による指示権限といった、国の安全保障や地方自治の観点から非常に重要な領域を扱っています。質問者は事実関係を明確に問うており、回答者も現行法令や制度に即した答弁を行っています。しかし、質疑の応酬としては、質問の深掘りや関連する科学的・法的根拠をより明確に示す余地があり、やや表層的な整理に留まっています。礼節を欠く部分や揚げ足取りなどの問題は見受けられません。

この議論は、地方自治法改正によって新設された「国の指示権(第二百五十二条の二十六の五第一項)」が、安全保障関連の有事(存立危機事態・重要影響事態)においてどのように運用されるのかという法解釈の境界線を明確にしたためです。質問者は既存の政府答弁の曖昧な箇所を突き、回答者はそれに対して「地方自治法に基づく指示は想定していない」という明確な否定(切り分け)を行いました。法治国家における行政権の行使範囲を確定させる、実務的かつ建設的なやり取りとなっています。

この質問主意書は、法的な論点を明確に整理し、政府の制度設計における重要な法的空白や矛盾を指摘しています。具体的には以下の点で優れています。まず、質問の構造が論理的です。地方自治法改正に関する政府答弁を出発点として、「事態対処法等で定められている武力攻撃事態等」の範囲を確認し(質問一)、その上で存立危機事態・重要影響事態が地方自治法の指示権限の対象となるか(質問二)、さらに具体的な指示内容の想定(質問三)へと段階的に掘り下げています。次に、実務的重要性が高い論点です。空港・港湾という具体的インフラを例示し、自衛隊や米軍の優先利用という安全保障上の実質的問題に踏み込んでいます。これは地方自治体の管理権限と国の安全保障上の必要性が衝突しうる領域であり、事前の法的整理が不可欠な事項です。また、憲法的価値である地方自治の本旨(憲法92条)と国の安全保障の要請との調整という、高度な憲法問題を含んでいます。政府の答弁も、質問一には明確に肯定し、質問二・三には「想定していない」と明言することで、法適用の範囲を明確化しています。これにより、存立危機事態・重要影響事態では既存の特別法(事態対処法等)が適用され、地方自治法の一般的指示権限は用いないという政府方針が公式記録として確定しました。この議論により、将来的な法解釈の基準が示され、地方自治体も対応方針の予測可能性を得られます。立法事実の記録としても価値があります。

質問者の評価

ChatGPTGeminiClaude
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質問の構成は丁寧で、現行法の趣旨・用語・運用上の疑義を丁寧に指摘しており、実務運用への影響など国政上の意義も大きいと考えます。しかし、二番目と三番目の問いでは分類や想定事例の明確化を求めているにもかかわらず、質問内容がやや冗長で整理が不足している部分があります。また、現場の具体的な運用事例や、影響を受けるステークホルダー別の視点があれば、より実務的で有益な質問となったと評価できます。質問は法的適用範囲の確認であり、法制度担当者や自治体に価値が高いですが、一般国民向けの説明性や即効的なインパクトという点では限定的です。

質問の構成が非常に論理的です。まず地方自治法の条文と過去の政府答弁を引用して議論の土台を作り、次に「武力攻撃事態等」の定義を確認した上で、新法の指示権が及ぶ範囲を三段階で問うています。特に、防衛大臣や国土交通大臣による空港・港湾の優先利用指示という具体的な懸念事項を提示することで、政府から「想定していない」という重要な言質を引き出した点は、議会質問として高い実効性を持っています。感情的な言葉を排し、法解釈に徹した態度は適切です。

福島みずほ議員の質問は、議会質問として高い水準にあります。
第一に、法的精密性が際立っています。地方自治法252条の26の5という具体的条文を引用し、先行する国会答弁(令和6年5月23日)との整合性を問う形式は、政府を拘束する公式見解を引き出す技術として適切です。
第二に、段階的質問設計が優れています。質問一で概念の外延を確認し、質問二で包含関係を問い、質問三で具体的適用場面を想定するという三段構成は、政府に曖昧な答弁を許さない構造になっています。
第三に、実務的想像力があります。「空港・港湾」「自衛隊及び米軍の優先的な利用」という具体例は、抽象的議論を現実の行政場面に接続し、地方自治体の実務担当者にも有益な情報を提供します。
第四に、憲法論的視座を持っています。地方自治法の指示権限拡大が地方自治の本旨を侵害しないかという根本的懸念から出発し、安全保障法制との関係を問う姿勢は、憲法的バランスへの配慮を示しています。
形式面でも、引用条文の正確性、質問の明瞭性、礼節ある文体など、議会質問として模範的です。揚げ足取りや感情的表現はなく、純粋に法的論点を明確化しようとする姿勢が貫かれています。
唯一の改善可能性としては、質問二と三をより明確に分離し、「含まれる場合」という仮定形式を避けて、包含関係と指示権限行使の可否を別個の質問として立てることで、さらに精密な答弁を引き出せた可能性があります。

回答者の評価

ChatGPTGeminiClaude
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回答は法的な規定や政府方針に忠実ですが、各論への丁寧な解説や想定事例の具体提示がほとんどなく、一般的な文言整理にとどまっています。特に第二問・第三問に関しては、『想定していない』という答弁にとどまり、その根拠や過去の運用事例をもって具体性を付与する努力は見られません。法令の解釈としては妥当なものの、国民や自治体担当者などの実務または説明責任という観点ではやや不親切です。したがって、質問者が期待した実務運用の具体的説明や可能性の事例など、より踏み込んだ説明が求められたと判断します。

質問者の意図を的確に把握し、曖昧さを残さずに回答しています。特に「二及び三について」の回答では、地方自治法の指示権が「特定の事態を除外しない」という一般論を維持しつつも、存立危機事態や重要影響事態については「事態対処法」や「重要影響事態法」といった特別法が優先されるべきであることを示唆し、地方自治法に基づく指示を明確に否定しました。これにより、行政組織間の役割分担と法の適用優先順位を整理した、責任ある答弁となっています。

高市早苗内閣総理大臣の答弁は、概ね適切ですが、完全に明瞭とは言えない部分があります。
肯定的評価点は以下の通りです。
質問一への回答は簡潔明瞭で、「御指摘のとおり」と認めることで、武力攻撃事態等に存立危機事態・重要影響事態は含まれないことを公式に確認しました。これは重要な法解釈の確定です。
質問二・三への回答も、「想定していない」と明言することで、地方自治法の一般的指示権限は用いず、特別法で対応するという政府方針を明確化しました。これにより法適用の予測可能性が向上します。
また、「特定の事態の類型を除外するものではない」としつつ「規模、態様等に即して判断されるべき」と述べ、地方自治法の柔軟性を確保しながらも、「関係法令に基づき対応が行われる」と特別法優先の原則を示した点は、法技術的にバランスが取れています。
しかし、改善の余地もあります。
第一に、「想定していない」という表現は、法的義務なのか政策判断なのかが曖昧です。「法律上、地方自治法の指示権限は行使できない(特別法が優先するため)」と法的根拠を示すか、「政策的に行使しない方針である」と明言すべきでした。
第二に、質問三の「具体的な指示内容」への回答が不十分です。「想定していない」で済ませるのではなく、仮に想定する場合の内容について一定の説明をするか、なぜ想定不要なのかをより詳細に説明すべきでした。
第三に、特別法(事態対処法、重要影響事態法)と地方自治法の関係について、特別法優先の原則や、両法の役割分担についてより明示的に説明すれば、法的構造がより明確になったでしょう。
全体として、政府の基本方針は示されましたが、法的論理の精密さという点では、質問の水準に完全には応えきれていない印象があります。


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