高市早苗内閣総理大臣による上野賢一郎厚生労働大臣への労働時間規制の緩和検討指示に関する質問主意書

労働政策
国会情報(質問主意書)
【参議院】 219回 質問: 石垣のりこ 回答: 高市早苗 質問日:2025/10/28 回答日:2025/11/07

3行解説

POINT
  • 労働時間のルールを緩くするかどうかについて、石垣のりこ議員が質問し、高市早苗内閣総理大臣が答えたやりとりです。
  • 石垣のりこ議員は、高市首相が上野賢一郎厚生労働大臣に労働時間規制を緩くするよう指示した具体的内容や理由、労働者の考えなどを質問しました。
  • 内閣総理大臣高市早苗は、上野大臣への指示の内容・考えや、労働者の残業したい理由・今後の検討方法などについて答弁しました。

3分解説(くわしい説明)

やりとりの背景

2025年10月、高市早苗内閣総理大臣が上野賢一郎厚生労働大臣に「労働時間を決めるルール(規制)を緩くすることを考えてほしい」と指示したことがニュースになりました。労働時間のルールは、働く人が体や心をこわさず、生活もしっかりできるように決められていて、今は「残業はふつう月45時間まで」などの上限があります。

石垣のりこ議員の質問

石垣のりこ議員は、以下の4つの点について質問しました。

  • ① 高市首相が上野大臣に出した指示の具体的な内容
  • ② なぜ首相の大切な話(所信表明演説)でこの話が出なかったのか(優先順位は低いのか、批判があったからかなど)
  • ③ 労働時間のルールを緩くしてほしいと思っている人の理由を政府は分かっているのか
  • ④ これからも「過労死ライン」(働きすぎて体をこわす基準)を超える可能性があるかどうか

高市内閣総理大臣の答弁

  • ① 指示の内容は「健康を守ることと、働く人の選択を前提に、労働時間の規制を緩くできないか考えてほしい」というものでした(上野大臣の記者会見の発言通り)。
  • ② 所信表明演説は内閣(政府)が話し合って決める内容であり、上野大臣に出した指示とは別ものだから、演説では触れませんでした。
  • ③ 政府が調査した結果、「残業をもっと増やしたい」と答えた人は全体の約11%で、その中では「残業代をもっともらいたい」が一番多い理由でした。そのほか「自分のペースで仕事したい」「スキルを上げたい」などもありました。
  • ④ 労働時間の上限については、まだ検討の途中で今ははっきり言えませんが、「過労死ライン」を超えないように、さまざまな声を聞きながら検討する必要がある、と考えています。

まとめ

今回のやりとりでは、石垣議員が「働く時間のルールを変えること」について国民の疑問を代表して質問し、高市首相が「健康や働きやすさを大事にして、広く意見を聞いて慎重に考えていく」ことを答えました。

この議論のAIによる評価

議論自体の評価

ChatGPTGeminiClaude
まあまあ良い議論普通の議論まあまあ良い議論

本議論は、労働時間規制の緩和という社会的影響の大きい政策判断について、国会の手続きを通じて具体的指示の有無と内容、政策決定経緯、労働者意識の実態、今後の健康リスク指針の維持を確認しており、重要性や問題提起の明確さが評価できます。質問は指示内容・政策過程・労働者の実際のニーズ・健康リスクとの関係と多角的ですが、個々の項目ごとに「これ以上は今の時点で述べられない」といった答弁や事実説明止まりが多く、現状の政府側の具体的な意図や方針は回答から読みにくい点で、議論として深まりにやや乏しさがあります。しかし構造的な立て付けは適正です。

本議論は、新内閣の発足直後における政策方針の不整合(大臣への指示と所信表明演説での言及の有無)を突き、労働政策の方向性を確認するという、議会におけるチェック機能として標準的な役割を果たしています。質問者は「過労死ライン」や「賃金と労働時間の相関」といった具体的かつ重要な論点を提示しており、回答者も統計データ(アンケート調査結果)を引用して事実関係を回答しています。ただし、政策の核心部分については「検討中」や「予断をもって答えることは困難」という典型的な政府回答に留まっており、大きな進展や新たな事実の掘り起こしには至っていないため、この評価としました。

この議論は、労働時間規制という重要な政策課題について、具体的なデータと法的根拠に基づいた質疑応答が行われています。以下の点で一定の価値が認められます。

良い点:

  • 質問者が具体的な法的根拠(平成30年法律第71号)と現行の労働時間規制の数値(月45時間、年360時間等)を明示している
  • 過労死ラインという重要な安全基準との関連性を指摘している
  • 政府の調査データ(PwCコンサルティング委託調査)が回答で提示され、実証的な議論の基礎が提供されている
  • 政策の優先順位や所信表明演説との整合性という、政治的説明責任に関わる質問が含まれている


改善の余地がある点:

  • 質問三では「大半は賃金が安いから」という前提を質問者が断定していますが、これは検証を要する仮説であり、質問としてはやや誘導的です
  • 回答が全体的に「今後検討する」という留保に終始し、具体的な政策方針や判断基準が示されていません
  • 質問四への回答は実質的に回答を回避しており、過労死ラインを超える可能性について明確な政府見解が示されていません


議会質問として、重要な政策変更の可能性について必要な論点を提起していますが、実質的な政策議論の深化には至っていないため、「まあまあ良い議論」と評価します。

質問者の評価

ChatGPTGeminiClaude
良い質問良い質問まあまあ良い質問

石垣議員の質問は、行政トップと閣僚の間の政策指示の中身とその公表過程の齟齬、働き方改革の原則・健康被害リスクとの整合性、また「さらに働きたい」という層の実態把握などについて詳細かつ多面的に問い、立法・行政監視の観点でも国民的関心事項に鋭く切り込んでいます。背景となる法制度や国際的潮流、社会的文脈を踏まえた上で具体的なファクトベースの質問になっており、議事録上の価値が高いです。

質問者の石垣氏は、総理大臣が大臣へ出した指示の内容と、公の場(所信表明演説)での発言の乖離を的確に指摘しています。また、単に「規制緩和反対」と唱えるのではなく、「なぜ労働者が労働時間を増やしたいと考えるのか」という動機(低賃金の補填など)に踏み込んで問いを構成している点は、実態に即した質の高い問い立てといえます。さらに、命に関わる「過労死ライン」を基準に据えることで、政策の限界線を明確に引こうとする意図が読み取れ、議会質問としての論理性が高いです。

評価できる点:

  • 法的根拠と現行制度の具体的数値を明示し、過労死ラインという安全基準との関連を指摘するなど、事実に基づいた質問構成になっています
  • 総理大臣の発言(「ワーク・ライフ・バランスという言葉を捨てます」等)と政策指示との整合性を問う質問は、政治的説明責任を問う上で適切です
  • 所信表明演説で言及されなかった理由を問う質問二は、政策の優先順位と政治判断のプロセスを明らかにする意図があり、議会質問として妥当です
  • 質問三で労働者の実態把握を求めている点は、政策立案の基礎として重要です

問題点:

  • 質問三の「大半は、賃金が安いから残業を増やして手取り収入を増やしたいと考えており」という記述は、質問者自身の推測を前提として組み込んでいます。これは誘導的であり、中立的な事実確認の質問としては不適切です
  • 質問四は「過労死ラインを超えてはならないと考えるが」という質問者の価値判断を前提にしており、政府見解を問うというより、質問者の立場への同意を求める形になっています

全体として、重要な政策課題について必要な論点を提起していますが、一部に質問者の立場を前提とした誘導的表現が見られるため、「まあまあ良い質問」と評価します。

回答者の評価

ChatGPTGeminiClaude
普通の答弁普通の答弁微妙な答弁

答弁側は、記者会見等で公表済みの事実や公式発表、アンケート調査結果などを用い、形式的には適切に回答しています。しかし、質問者が知りたかった本質、「なぜ所信表明で政策言及しなかったのか」や、「今後過労死ライン超過も視野にあるのか」といった政治的・政策的判断の核心には正面から答えていません。また、質問者の問題意識に対して、制度の現状説明や今後の検討プロセスへの言及にとどまっており、抽象的・一般的で踏み込みが浅いです。一方、答弁として逸脱や揚げ足取り、礼節を欠く点はなく、答弁資料としての不備も見受けられませんでした。

回答者の高市総理大臣(内閣)は、質問者の指摘に対して真正面から詳細な方針を語ることは避けていますが、第3問に対して厚生労働省の委託調査結果を具体的な数値(%)とともに引用して回答している点は、客観的根拠(エビデンス)に基づいた丁寧な対応と評価できます。一方で、第2問の「所信表明で触れなかった理由」や第4問の「過労死ライン超えの可能性」については、手続き上の説明や「予断を許さない」といった定型的な拒絶に終始しており、政治的な誠実さの観点からは物足りなさが残ります。

評価できる点:

  • 質問三への回答では、令和5年のPwCコンサルティング委託調査の具体的なデータ(残業時間を増やしたい理由として「残業代を増やしたいから」が67.5%等)を提示しており、実証的な根拠を示しています
  • 上野大臣の記者会見での発言を正確に引用し、発言の記録に基づいた回答をしています

問題点:

  • 質問一への回答は、大臣の記者会見の発言をそのまま引用するのみで、「心身の健康維持と従業者の選択を前提にした労働時間規制の緩和」という抽象的表現の具体的内容が全く示されていません。「具体的な内容を示されたい」という質問に対して、これは実質的に回答していません
  • 質問二への回答は、「閣議で検討した」「今後議論する」という一般論に終始し、「なぜ所信表明演説で言及しなかったのか」という質問の核心に答えていません
  • 質問四への回答は「現時点で予断をもってお答えすることは困難」としながら、過労死ラインを超える可能性について政府としての基本的立場(例:「過労死ラインは労働者保護の重要な基準であり、これを超えない方針」等)すら示していません。これは労働者の生命・健康に直結する重要な質問であり、「今後検討する」では不十分です

国を代表する立場としての適切性:
回答全体が「大臣が述べているとおり」「今後検討する」という定型的表現に終始し、内閣総理大臣としての明確な政策判断や方針が示されていません。特に労働者の生命・健康に関わる過労死ラインという重要な基準について、政府の基本姿勢を明示できていないことは、国民の不安を解消するという点で不十分です。
総合的に、形式的には回答していますが、実質的な情報提供や政策方針の明示がほとんどなく、議会質問への誠実な対応とは言い難いため、「微妙な答弁」と評価します。


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