マンションの管理適正化に関する質問主意書

住宅政策
国会情報(質問主意書)
【参議院】 219回 質問: 塩村あやか 回答: 木原稔 質問日:2025/10/21 回答日:2025/10/31

3行解説

POINT
  • 内容:古くなったマンションの管理や建て替えがうまく進むように、どうすればいいかについての質問と、政府(国土交通省など)の考え方のやり取りです。
  • 質問者:参議院議員 塩村あやか/内容:マンションが老朽化し管理が悪くなる前に、実態調査・住民への周知・専門家の活用・賃貸の人の参加などをどう進めるのか、政府に具体策を質問しました。
  • 答弁者:内閣総理大臣臨時代理・国務大臣 木原稔/内容:国は定期調査や説明会、法律による新しい仕組み、専門家派遣制度の整備などで、マンション管理の改善に取り組む方針を答えました。

3分解説(くわしい説明)

日本では、長く使われた古いマンションが増えており、住んでいる人の高齢化も進んでいます。
管理がうまく行われないまま放置されると、外壁が落ちるなど危険になり、住人や近所の人に被害が出るおそれがあります。そのため、国はマンション管理をよくするための法律を改正しました。しかし、まだ課題が残っているとして、参議院議員の塩村あやか議員が政府に質問をしました。

●質問のポイント(塩村あやか議員)

塩村議員は次のような点を政府に尋ねました:

  1. 老朽化マンションの実態をつかむ調査をしているか。
    放っておくと廃墟のようになってしまうマンションが増えるおそれがあるため、国がきちんと状況を調べているのかを質問しました。
  2. 管理不全を防ぐための、20〜30年先を見据えた対策が必要ではないか。
    長期的に見て、住民が高齢でも安心して管理が続けられる仕組みづくりを求めました。
  3. 住民だけでなく、賃貸に出している「貸主」や住んでいる「借主」も管理に関わるように、国として促すべきではないか。
  4. 管理の大切さをもっと広く周知し、説明会の開催など数値目標を決めて進めるべきではないか。
  5. マンションの管理水準の二極化(熱心なマンションとそうでない所の差)をどう解消するか。
  6. 管理会社に任せきりにせず、専門家(マンション管理士)を派遣する制度を国として支援し、広めるべきではないか。

●政府の答え(答弁者:内閣総理大臣臨時代理・国務大臣 木原稔)

政府は次のように回答しました:

  1. 国は5年ごとに「マンション総合調査」を実施しており、空室の割合や所有者不明の部屋など、管理の状態を把握している。
  2. 法律の改正により、都道府県が管理組合に報告を求めたり、所有者が不明な部屋に管理人を選ぶ制度を整えたので、まずはその周知を進める。
  3. マンションの管理は区分所有者(部屋の持ち主)が主体的に行うべきものであり、貸主は借主に規約を守らせる義務がある。国は標準管理規約の周知に努める。
  4. 改正法の説明会を令和7年内にすべての都道府県で開催し、シンポジウムも毎年開いている。今後も説明会などを続けて区分所有者の意識向上を進める。
  5. 専門家の助言を得られるように、マンション管理適正化支援法人の登録制度を作り、地方公共団体による専門家派遣事業も支援している。今後も支援を続ける。

この議論のAIによる評価

議論自体の評価

ChatGPTGeminiClaude
まあまあ良い議論まあまあ良い議論まあまあ良い議論

この議論は、老朽化マンションの管理不全という社会的に重要で、今後さらに深刻化が予測されるテーマについて、質問者が多面的に課題を提示し、政府の対応を確認している点で一定の価値があります。質問内容は、実態調査、住民の意識、賃貸住戸の扱い、専門家の活用、二極化防止など幅広く、問題を立体的に捉えています。一方で、質問は政策提案としては良いものの、具体性を求める部分が政府にとって答えにくい抽象的な問いも含まれており、そのため答弁側が一般論に留まりやすくなっています。答弁は法律上の新制度や既存施策の説明に偏り、個々の質問に対して踏み込んだ数値的・定量的な回答が十分とは言えず、議論の深まりには限界がありました。そのため、「良い議論」と評価するには一歩届きませんが、政策テーマとしては有意義であり「まあまあ良い議論」と判断します。

分譲マンションの老朽化と管理不全という、国民生活に深く関わる重要な社会課題と、それに対応するために成立した改正法という具体的な政策をテーマにしているため、議論の土台は非常に重要性が高いです。質問者は、法律の成立後も残る経済的負担居住者の意識という本質的な課題に焦点を当てており、問題提起は具体的で適切です。

一方、政府の回答は、質問者の具体的な提案(例:「20年、30年先を見据えた抜本的対策」)に対して、既に成立した改正法の周知と推進という現状維持・既定路線の対応に留まる部分が多く、将来的な課題解決に向けた新たな一歩抜本的な方針を示すには至っていません。そのため、議論全体としては、問題の重要性と質問の質の高さに比べて、回答が政策の「深掘り」や「次の段階」を示すことができておらず、「良い議論」にはなりませんでした。

この議論は、日本社会が直面する重要な政策課題について、具体的なデータと将来予測に基づいて問題提起がなされており、一定の価値があります。

評価できる点として、質問者は築40年以上のマンションが20年後に3.3倍になるという具体的な数値や、70歳以上の世帯主が約55%という高齢化データを示し、「二つの老い」という分かりやすい概念で問題を整理しています。また、廃墟化の予防、住民意識の向上、管理の二極化、管理会社への依存という4つの論点を体系的に提示しており、質問の構成は論理的です。

一方で課題もあります。質問者が「廃墟化する可能性が高い」「増えていくことは明らかと考える」と断定的に述べている部分は、根拠となるデータが示されていないため、やや主観的な印象を与えます。また、「二十年、三十年先を見据えた抜本的対策」という表現が抽象的で、具体的に何を求めているのかが不明確です。

答弁側も、既存の調査や法改正の内容を説明していますが、質問者が求めた「廃墟化の実態調査」については直接的な回答がなく、「数値目標を設定した取組」についても明確な方針を示していません。「意味するところが必ずしも明らかではない」と質問の不明確さを指摘する一方で、その不明確な部分を補完する姿勢も見られません。

結果として、重要な政策課題について議論はなされたものの、具体的な政策の方向性や数値目標については十分に深まらず、「まあまあ良い議論」に留まったと評価できます。

質問者の評価

ChatGPTGeminiClaude
良い質問良い質問まあまあ良い質問

質問者は、老朽化マンションの管理に関する以下のような複数の実務的・制度的課題を整理したうえで、政府に対策を求めています。
・廃墟化リスクを把握するための実態調査の必要性
・資力が乏しい住民の存在など、建替え・修繕が進みにくい背景
・賃貸化の進行による管理負担の分散問題
・区分所有者の意識低下への対応
・専門家活用の不足
これらはいずれも現場で生じている実際の問題であり、その意味で質問の社会的価値は高いと言えます。また、質問者が想定している問題の因果関係も概ね明確で、読み手が問題意識を理解しやすい構成になっています。

一方で、「二十年、三十年先を見据えた抜本的対策」という表現のように抽象度が高すぎる部分があり、政府が具体的数値を示して回答しにくい質問も含まれていました。とはいえ、議会質問としての本質的価値は十分にあり、政策の見直しを促す内容であったため「良い質問」と評価します。

質問者は、定量的な現状認識(ストック数、築40年以上の割合、20年後の見込み)から議論をスタートさせており、課題の緊急性と規模感を正確に伝えています。特に、「二つの老い」(マンションの老朽化と居住者の高齢化)という問題の本質を捉えた表現は秀逸です。

また、改正法が成立した事実を前提としつつ、「決議要件が緩和されても経済的負担は変わらないため、建替え等が進むとは限らない」と、政策の限界を鋭く指摘している点が高く評価できます 。具体的な質問内容も、以下の通り多角的かつ実効性の高い提案を含んでいます。

  • 廃墟化傾向を把握するための実態調査の必要性。
  • 賃貸物件化している場合の賃貸人・賃借人双方の管理参加を促す必要性。
  • 管理意識向上のための数値目標を設定した周知徹底の提案。
  • 専門家派遣など地方公共団体の先進事例の活用・支援強化の提案。

これらの質問は、区分所有者、管理組合、地方自治体、管理会社といった関係者全てにとって価値のある、実務的かつ建設的な内容です。

質問者の塩村あやか議員の質問には、評価できる点と改善が必要な点があります。

評価できる点として、第一に、マンション管理という国民生活に直結する重要課題を取り上げています。約710万戸、国民の1割以上が居住するという規模感を示し、社会的重要性を明確にしています。第二に、建物の老朽化と居住者の高齢化という「二つの老い」という概念で問題を整理し、将来予測(20年後に3.3倍)も示しており、問題の深刻さが理解しやすくなっています。第三に、4つの具体的な論点(廃墟化予防、住民意識、管理の二極化、専門家活用)を体系的に提示し、それぞれに対策を求めています。

一方で改善が必要な点として、第一に、「廃墟化する可能性が高い」「増えていくことは明らかと考える」という断定的表現が、十分なエビデンスなしに使われています。これでは政府が「そのような傾向は確認されていない」と答弁すれば議論が終わってしまう可能性があります。第二に、「二十年、三十年先を見据えた抜本的対策」という表現が抽象的すぎて、政府が答弁しにくい質問になっています。実際に答弁側も「具体的に意味するところが必ずしも明らかではない」と指摘しています。第三に、「説明会やセミナーの開催回数等の数値目標を設定した上で取組を推進するべき」という要求は具体的ですが、なぜ数値目標が必要なのか、どの程度の規模が適切なのかという根拠が示されていません。

この質問は、マンション管理の専門家、管理組合の関係者、高齢のマンション居住者、地方自治体の担当者にとって価値があります。一方で、質問が抽象的な部分があるため、具体的な政策立案を求める実務家や、明確な数値目標を知りたい管理組合にとっては、やや物足りない内容となっています。

回答者の評価

ChatGPTGeminiClaude
普通の答弁普通の答弁普通の答弁

回答者(木原稔 内閣総理大臣臨時代理)の答弁は、全体として落ち着いており、礼節を欠く態度や揚げ足取りの姿勢は見られませんでした。しかし、内容面では次のような特徴があります。

・質問項目に対して形式的に回答している
・実施済みの調査や既存施策(マンション総合調査、説明会実施、専門家派遣制度など)の説明が中心
・質問の中で求められている「今後の新しい方針」や「具体的対策」に対しては踏み込んでいない
・質問者の問題提起に対し、定量目標や追加施策などの新規提案が示されていない

特に「抜本的対策の意味が必ずしも明らかではない」と述べ、質問の具体性不足を理由にして一般論へと答弁を誘導している部分は、議論を深める姿勢としてはやや消極的です。ただし、明らかに不適切な態度や稚拙さはなく、法律改正の内容を丁寧に説明している点は評価できます。

以上から、答弁の品質は可もなく不可もなくであり、「普通の答弁」と判断します。

回答は、質問者が求めている政策的な深掘りや新規施策の提示に消極的で、政策の現状と既存の取り組みの解説に終始している点が主な減点理由です。

  • 質問一の二の「20年、30年先を見据えた抜本的対策」という問いに対し、回答は「意味するところが必ずしも明らかではない」と質問の核心を避けた上で、既定の「基本的な方針」と「改正法の内容」を繰り返すに留まっています。
  • 賃貸人・賃借人の管理参加の問い(質問二の1)に対しては、「区分所有者で構成される団体又は法人であることから、その活動は、当該区分所有者において主体的に行われるべき」と原則論を述べ、一歩踏み込んだ促進策を示すことはできていません。
  • 管理意識の周知徹底(質問二の2)については、「改正法の内容に関する説明会を全ての都道府県で開催することとし、現在、順次実施している」と、実施回数の数値目標の設定という質問者の具体的な提案には直接答えず、実施予定の取り組みを述べるに留まっています。

しかし、答弁は質問の論点(実態調査、改正法の周知、専門家の活用)に対して全て回答しており 、虚偽や不適切な表現はありません。また、専門家活用については、改正法で創設された「マンション管理適正化支援法人」の登録制度や、「マンション総合対策モデル事業」での地方自治体支援といった具体的な既存施策に言及しており、情報提供としての価値はあります。このため、「普通の答弁」と評価しました。

誰にとって価値があったか:

  • 質問者にとっての価値: 重要な社会課題についての政府の公式見解と現行の政策を確認でき、今後の議論の基盤を固めることができました。
  • 国民にとっての価値: マンション所有者(区分所有者)は、管理状況の把握(マンション総合調査)や、所有者不明物件の管理制度、管理士などの専門家活用のための具体的な支援制度の存在(支援法人、モデル事業)を知ることができ、自身のマンション管理の参考になります。
  • 価値がなかった人: マンションの老朽化問題に対し、現行の政策の枠を超えた新しい、あるいは「抜本的な」対策を期待していた人にとっては、回答は満足のいくものではなかったでしょう。

木原稔国務大臣の答弁は、標準的な政府答弁の範囲内に留まっています。

評価できる点として、第一に、国土交通省が5年に1回実施している「マンション総合調査」について具体的に説明し、空室戸数割合、総会開催状況、管理規約の有無などの調査項目を明示しています。これにより、政府が一定の実態把握をしていることが確認できます。第二に、改正法の具体的な内容(報告徴収の規定、裁判所による管理人選任制度)を説明し、令和7年度予算の「マンション総合対策モデル事業」など、実際に取られている施策を示しています。第三に、説明会を令和7年内に全都道府県で開催することや、シンポジウムを毎年開催していることなど、具体的な取組を示しています。

一方で不十分な点として、第一に、質問者が求めた「廃墟化するマンションの実態調査」については、既存の「マンション総合調査」の説明に留まり、新たな調査の実施や、廃墟化リスクに特化した分析については言及がありません。第二に、「二十年、三十年先を見据えた抜本的対策」について「具体的に意味するところが必ずしも明らかではない」と指摘するだけで、政府として長期的な政策ビジョンを示す機会を活用していません。第三に、「説明会やセミナーの開催回数等の数値目標」については「関係者のニーズを踏まえつつ」という一般的な表現で回避しており、数値目標を設定する意思があるのかどうかが不明確です。第四に、多くの答弁が「周知徹底に努めてまいりたい」「支援に努めてまいりたい」という定型的な表現で終わっており、具体的な行動計画や予算規模、達成目標などが示されていません。

この答弁は、政府の現行施策を知りたい人や、法改正の内容を確認したい実務家にとっては一定の価値があります。しかし、具体的な政策の拡充や新規施策を期待していた質問者、数値目標や達成時期を知りたい管理組合関係者、長期的な政策ビジョンを求める政策立案者にとっては、情報量が不足しており価値は限定的です。

全体として、必要最小限の情報提供はなされているものの、政策課題に対する踏み込んだ議論や新しい方向性の提示には至っておらず、「普通の答弁」と評価できます。


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