地方公共団体による介護職員の直接採用に関する質問主意書

社会保障
国会情報(質問主意書)
【参議院】 219回 質問: 塩村あやか 回答: 木原稔 質問日:2025/10/21 回答日:2025/10/31

3行解説

POINT
  • テーマ:将来の介護職員が足りなくなることに対して、「地方自治体が介護職員を公務員として直接採用するのはどうか」という質問と、政府の答えのやり取りです。
  • 質問者(塩村あやか議員):介護職員を公務員として採用すれば、給料の安定や若者の雇用につながるのではないか、また倒産の心配も減るのではないかと質問しました。
  • 答弁者(国務大臣 木原稔):その案はまだ具体的に検討しておらず、実施の判断は難しい。民間を含む多様な事業者が介護サービスを提供するという現在の制度との関係からも慎重に考える必要がある、と答えました。

3分解説(くわしい説明)

質問主意書では、将来の介護人材が不足する見込みがあることから、地方公共団体(都道府県や市町村)が、介護職員を直接、公務員として採用するという新しい方法について政府に質問しています。

1. なぜこの話が出ているのか?

日本では高齢者が増え続け、2040年ごろには介護を必要とする人がとても多くなる見通しです。一方で、働き手の人口は減ってしまうため、介護の仕事をする人が足りなくなることが大きな問題となっています。
そして、介護職員の給料の低さや将来の不安が、仕事を続けるのをむずかしくしている面も指摘されています。

2. 塩村あやか議員の質問のポイント

塩村議員は、次のような点を政府に聞いています。

  • 地方自治体が介護職員を直接採用し、公務員として働いてもらう方法はどうか?
    → 給料が安定し、人材が集まりやすくなるのでは?
  • 公務員化した場合の課題は何か?
  • もし自治体が独自に採用した場合、政府は財政支援をするのか?
  • 公務員並みの安定した雇用を提供すれば、若者が地方で働く魅力が増えるのではないか?
  • 介護事業者の倒産が増えており、介護職員は未来に不安を抱えやすい。
    → 公務員として雇えば、この不安が減るのでは?
  • 地方で介護職員が増えれば、家族の介護のための離職(仕事を辞めること)も減り、社会全体の損失も小さくなるのでは?

3. 国務大臣・木原稔氏の答弁のポイント

木原大臣は、次のように答えています。

  • 介護職員を公務員として直接採用する案は、今のところ具体的な検討をしていない。
    → そのため、実施するときの課題などについて詳しく答えるのは難しい。
  • 介護保険制度では、いろいろな事業者(民間企業など)がサービスを提供することが大切とされてきた。
    → 公務員化のような大きな制度変更は「慎重に検討が必要」。
  • 介護人材の確保については、給料アップや ICTによる負担軽減など、現在行っている対策を続けていくと説明。
  • 若者の雇用の安定や倒産リスクの解消など、公務員化によるメリットを否定しないが、やはり制度全体を考えると慎重に決める必要があると繰り返し説明。
  • 介護離職を減らす効果があるかどうかも、同様に「検討していないので答えにくい」と回答。

4. まとめ

今回のやり取りは、
「介護職員を公務員として自治体が直接採用する」という新しい案について、必要性や可能性を問い、政府は“まだ検討していないので判断できない”と答えた
という内容です。

政府は、現在の介護保険制度では「多くの民間事業者がサービスに参加すること」が大切だと考えており、この枠組みとの関係で慎重になっている様子がうかがえます。

この議論のAIによる評価

議論自体の評価

ChatGPTGeminiGrok
普通の議論微妙な議論普通の議論

本件の議論は、介護人材不足という社会的に重要な課題を扱っており、テーマ自体は政策的価値が高いです。しかし、政府側が「現時点では検討していない」「詳細は答えられない」という回答を一貫して繰り返したため、実質的な論点の深まりは限定的でした。質問者が複数の角度(雇用、地方創生、倒産リスク、介護離職の経済損失など)から丁寧に問題提起しているにもかかわらず、答弁は制度上の一般論に留まり、議論としては前進が小さいため、「普通の議論」と評価するのが妥当です。

この議論は、介護職員の直接採用という特定の解決策について、その是非や課題を問う質問と、それに対し「具体的な検討や評価を行っていない」という政府の姿勢を示す回答で構成されています。

質問は、深刻な介護人材不足という喫緊の課題に対する一つの具体的な方策(地方公共団体による介護職員の直接採用・公務員化)を提起し、そのメリットを多角的に示しています。これにより、この問題の重要性を浮き彫りにする価値があります。

しかし、回答は、質問の核となる提案に対し「慎重な検討が必要」としつつも、具体的な検討状況や、過去の答弁(持続可能性の課題)の詳細な理由(課題)についての説明を避けました。結果として、質問者が提起した「財源の持続可能性」など具体的な課題の深掘りができず、議論が深まらなかったため、「微妙な議論」と評価します。

質問は介護人材不足という社会的に重要な課題を扱い、具体的な政策提言を含んでいますが、政府側は具体的な検討状況や課題分析をほとんど示さず「慎重に考える必要がある」という繰り返しに終始したため、建設的な議論の深化にはつながりませんでした。結果として、国民や現場が求める具体的な方向性は示されませんでした。

質問者の評価

ChatGPTGeminiGrok
良い質問まあまあ良い質問良い質問

質問者は、将来の介護職員不足という確実に到来する社会課題に対して、エビデンス(推計値、倒産件数、検討会の内容、自治体採用の歴史など)に基づき、多角的に問題点を提示しています。また、「財政支援の有無」「若者の定着」「倒産リスク」「介護離職の社会損失」など、政策効果を多面的に検証しようとした質問構成は、議会質問としての質が高いです。特に、抽象論ではなく具体的な論点に落とし込んでおり、議事録ベースで読んでも読み手が理解しやすい内容となっています。
一方で、相手が答えないことが予測される「検討していないことの詳細を問う」質問が含まれており、答弁を引き出しにくい部分はありますが、政策提起としての価値は十分高いです。

質問者は、介護人材不足という社会的に重要な問題をテーマに選んでいます。また、単に問題を指摘するだけでなく、「地方公共団体による介護職員の直接採用・公務員化」という具体的な解決策を提示し、そのメリット(安定した賃金水準の保障、雇用の安定性、地方創生、労働生産性への寄与など)を多角的に整理して質問しています。これは、質問の論理性と建設性を高めています。

特に、過去の政府答弁(持続可能性の観点から一般化は難しい)を踏まえ、「介護職員を公務員化する場合の課題を詳細に示されたい」と問うた点や、措置制度下での給与保障の例を持ち出した点は、議論を深めようとする意図が見られ、質問の質を高めています。

ただし、提示した解決策が介護保険制度の根幹に関わる変更であり、その実現には膨大な財源と制度変更の課題が伴うため、そのデメリットや具体的な財源確保策まで質問者が深く言及していれば、さらに「良い質問」になったと言えます。

  • 誰にとって価値があったか: 介護職員、介護業界の倒産に不安を感じる人々、地方の雇用創出に関心のある自治体職員や住民、介護離職による経済損失に関心のある企業経営者や経済産業省。
  • 誰にとって価値がなかったか: 直接採用の具体的な検討状況を知りたかった人々。回答が「検討していない」ため、具体的な前進は得られませんでした。

質問は最新の統計データや過去の答弁、他省庁の資料、倒産状況、経済損失の見込みなど豊富な根拠を挙げており、論点が明確に整理されています。特に「公務員化の財政的持続性」「地方創生との関係」「倒産リスク回避」「過去の措置制度との比較」など、多角的かつ具体的に問いかけている点で、議会質問として非常に質が高いです。揚げ足取りや感情的な表現は一切なく、礼節も保たれています。

回答者の評価

ChatGPTGeminiGrok
普通の答弁微妙な答弁微妙な答弁

回答者である木原稔大臣の答弁は、文体は丁寧であり、礼節を欠く態度や揚げ足取りなどは見られませんでした。しかし、答弁の大部分が「検討していないため答えられない」「慎重な検討が必要」という表現に終始し、質問者が提示した具体的論点(財源、雇用安定、倒産リスク軽減の可否、制度上の障害)についての実質的回答が不足しています。
既存制度の枠組みに触れている点は最低限の回答として理解できますが、質問が多角的であったことを踏まえると、論点整理や政府としての現状分析の提示が乏しく、政策論として読み手が得られる情報は限られます。
ただし、必要以上に政治的色を持たせたり、質問者を否定的に扱ったりはしておらず、形式的には問題のない答弁であるため、「普通の答弁」と評価するのが適切です。

回答者は、質問の核となる「直接採用」や「公務員化」について、「現時点では具体的に検討及び評価は行っていない」ため、課題の詳細を示すことが困難であると回答しました。

これは、国会での質問主意書に対する回答として、事実に基づいた現状を示すという点では正直なものですが、深刻な社会問題に対する具体的な提案に対し、「検討していない」という回答に留まったため、政府としての積極的な姿勢や、将来的な政策の方向性を示すことができませんでした。

また、過去の答弁で触れた「持続可能性」の具体的な課題について「詳細を示すことが困難」としたのは、政策議論の停滞を示すものであり、国民への説明責任という観点からは低い評価となります。

「多様な事業主体による多様なサービスの提供」が介護保険法のねらいであるという規制改革についての第二次見解(平成11年12月14日)を引用し、慎重な検討が必要としている点は、政府の基本的な考え方を説明しており、一定の価値はあります。しかし、財政的支援の質問に対しても「具体的な内容等によるため、一概にお答えすることは困難」と回答するなど、具体的なコミットメント(約束)を避ける姿勢が目立ちました。

  • 誰にとって価値があったか: 介護保険制度の多様なサービス提供主体を重視する立場の有識者や事業者。政府がその原則を堅持する考えを示したため。
  • 誰にとって価値がなかったか: 介護人材不足の具体的な解決策を求めている質問者や国民、過去の答弁の具体的な課題(財源)について詳細な説明を求めていた人々。

政府側は「現時点では具体的に検討していない」「慎重な検討が必要」という表現をほぼすべての質問に対して繰り返すのみで、以下の点が欠けています。
・地方公共団体が直接雇用した場合の財政シミュレーションや試算 ・過去に一部自治体で行われた類似事例の評価
・介護保険制度の多様な事業者参入原則と公的直接雇用の両立可能性に関する具体的な検討状況
・財源確保が難しいとする根拠の提示 これらは国会答弁として求められる最低限の説明責任を果たしているとは言えず、質問に対して実質的に答えていない状態です。特に「一概に答えられない」「困難である」という言い回しを多用しており、国務大臣としての答弁としては具体性・説明責任の点で不十分です。


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