第219回国会 衆議院 安全保障委員会 第2号 令和7年11月18日(8/8)

外交・安全保障
国会情報(会議録)
【衆議院】 219回 質問: 赤嶺政賢 回答: 小泉進次郎茂木敏充 開催:2025/11/18

3行解説

POINT
  • 沖縄の水道水で見つかった「PFAS」という汚染の問題について、原因調査ができないまま県が大きな費用を負担しそうになっていることをめぐる話です。
  • 質問者:赤嶺政賢議員が「汚染源を調べるため米軍基地に立ち入りたいのに10年も入れず、県が費用を払うのはおかしい」と問い、国の負担や米軍の責任をただしました。
  • 答弁者:防衛大臣・小泉進次郎、外務大臣・茂木敏充、防衛省地方協力局長・森田治男は「米軍が原因とまだ言えないので費用負担には答えられない」「米軍には必要なことは求めていく」と説明しました。

3分解説(くわしい説明)

今回の議論は、沖縄県の北谷浄水場(ちゃたんじょうすいじょう)で見つかった「PFAS」という化学物質による水の汚れの問題についてのものです。
PFAS は、体に悪い影響が出る可能性があるとして、県民の不安が続いています。

この汚染の原因として、近くにある米軍嘉手納基地との関係が疑われています。
しかし、沖縄県が「原因を調べるために基地の中に入らせてほしい」と10年間お願いしても、米軍が協力せず、一度も立ち入り調査ができていません。

その一方で、北谷浄水場では PFAS を取りのぞくための特別な活性炭を使っていますが、数年ごとに更新が必要で、更新費用だけで16億円以上になるとされています。
ところが今の制度では、この費用は国が出せず、「県がぜんぶ払うことになるかもしれない」と報じられました。

赤嶺政賢議員(日本共産党)は、

  • 原因調査を米軍がさせないのに、県民が費用を負担するのは不公平
  • 汚染者負担の原則に照らせば、原因者(米軍)が払うべき
  • 立ち入りできないなら、国が原因が分かるまで費用を負担すべき
    と強く主張しました。

これに対し、防衛省の森田治男地方協力局長は
「米軍に立ち入りをお願いしているが、まだ調整中」とし、
さらに「PFAS が米軍由来かどうかは分からないので費用負担には答えられない」と説明しました。

小泉進次郎防衛大臣も同じ立場で、

  • 米軍が原因と断定できない
  • 活性炭の更新費は施設の維持管理にあたり、通常は施設の管理者が払う
    としつつ、飲み水の安全は重要なので政府全体として取り組むと述べました。

赤嶺議員はこれに納得せず、
「自衛隊施設で PFAS が出たときは、防衛省自身が責任を持って対策をしている。米軍基地でも同じだ」と指摘しました。

最後に赤嶺議員は外務大臣・茂木敏充に対し、
「そもそも米軍基地に立ち入りできないのは、日米地位協定の問題。改善する気はあるのか」と質問しました。
茂木外務大臣は

  • 米軍が日本で活動するために必要な権限はある
  • 同時に公共の安全に配慮すべきとも書かれている
  • 日本として言うべきことは米側に伝える
    と回答しました。

総じて、
「原因を調べられないのに、県民が費用を払うのはおかしい」という赤嶺議員の主張と、
「米軍が原因とまだ言い切れない」とする政府側の説明がぶつかる形になった議論でした。

この議論のAIによる評価

議論自体の評価

ChatGPTGeminiGrok
まあまあ良い議論まあまあ良い議論微妙な議論

PFAS 汚染は住民の健康に直結する重要問題であり、質問者・回答者ともに真面目に取り組もうとする姿勢が見られました。
赤嶺議員は、原因調査が10年間進んでいない実態、費用の負担構造、日米地位協定の限界、米軍基地の責任問題など、明確な問題意識を持って論点を整理していました。議論としてのテーマ設定は明瞭で、国会で扱う価値が高い内容でした。

一方、答弁側は、制度上の制約(米軍の協力が得られない、米軍原因と断定できない、補助の規定がある)を繰り返し説明するにとどまり、問題の核心に近づく深い議論や、解決へ向けた具体策は限定的でした。
そのため、議論としての質は一定レベルを保っているものの、踏み込み不足が残り、「まあまあ良い」に留まると評価します。

本議論は、沖縄県民の健康と生活に直結するPFAS汚染という具体的な危機を、日米地位協定の構造的な問題に結びつけて議論した点で、論点の質は非常に高かったです。質問者は、約10年間立ち入り調査が実現せず、浄化費用を県民が負担しているという「理不尽」な状況を明確に指摘し、問題の根源である地位協定のあり方を外務大臣に問いました。

これに対し、外務大臣は、地位協定の必要性という政府の基本姿勢を守りつつも、協定内の「公共の安全に妥当な考慮を払わなければならない」という条文に言及しました。これは、協定の解釈と運用改善の余地を公式に認めた点で一定の価値があります。しかし、肝心の基地への立ち入り調査浄化費用の負担という具体的かつ切実な問題については、「引き続きアメリカと真剣に話し合っていく」という従来の姿勢に留まり、具体的な解決へのコミットメントが得られなかったため、議論の結論としての満足度は限定的でした。

質問者は沖縄県民45万人の飲料水に直結する極めて深刻な問題を提起し、自衛隊と米軍基地の対応差や過去の予算措置事例を具体的に挙げて追及しました。しかし、政府側は「因果関係不明」「制度上できない」「米側と調整中」を繰り返すのみで、10年来進展がない状況に新たな事実や方向性を一切示せませんでした。結果として、感情的な対立が目立つだけで議論として前に進まず、議会審議としての生産性が極めて低かったため「微妙な議論」となります。

質問者の評価

ChatGPTGeminiGrok
良い質問良い質問まあまあ良い質問

赤嶺議員の質問には以下の特徴があり、国会質問として質が高いと評価できます。

・PFAS 汚染という、住民の生活・健康に直結する緊急性の高いテーマを扱っている
・汚染源と疑われる基地への立ち入りが10年間認められないという事実を提示し、問題点を具体的に指摘している
・費用負担が県に集中する構図の不条理性を、制度面(補助基準)と原則(汚染者負担)から丁寧に説明している
・比較対象として「自衛隊施設では立ち入り調査と対策が行われている」ことを示し、整合性の欠如を指摘している
・日米地位協定の問題にまで論点を発展させ、国としての対応姿勢を問うている

また、質問態度に礼節を欠く様子や揚げ足取りは見られず、落ち着いて論点を積み上げているため、「良い質問」と判断できます。

質問者は、以下の点で議会質問としての適切性が非常に高いと評価できます。

  1. 具体性と時事性: PFAS汚染という具体的な公衆衛生の問題を、発生から約10年経っても解決しないという時間軸と、16億円以上という具体的な費用を提示し、問題の深刻さを浮き彫りにしました。
  2. 論点の構造化: 汚染の原因究明ができない、浄化費用を県民が負担するという二つの理不尽な事実を、日米地位協定の特権(米軍の管理権)に直接結びつけました。これにより、個別の環境問題ではなく、日米関係における法的な構造の問題として議論を深めることに成功しています。
  3. 強いメッセージ性: 「理不尽極まりない」「無法」といった強い言葉を使うことで、地元選出議員として、被災当事者の代弁者としての役割を力強く果たしています。
  • 誰にとって価値があったか: PFAS汚染の被害を受け、地位協定の改正や運用改善を求める沖縄県民、日本の法的な主権に関心を寄せる国民。
  • 誰にとって価値がなかったか: 特に価値がなかった人はいません。

良い点:16億円という具体的な金額、10年間の立入り拒否、自衛隊基地での積極対応との比較、再編交付金の山口県事例など、事実と数字を正確に使い、政府の論理の矛盾を鋭く突きました。県民の健康と負担という最重要課題を強く訴えた点は議会質問として価値が高いです。
減点点:感情的な表現(「しらばくれている」「卑劣な制度」「絶対に納得できない」など)が多く、冷静な論理追及というより非難に終始する場面が目立ちました。また「大臣の決意一つでできる」と繰り返すのは現実の法制度や日米関係を過度に単純化しており、国会議員としての質問の品位と説得力をやや損ないました。それでも提起した問題自体は極めて重要であり、まあまあ良いレベルです。

回答者の評価

ChatGPTGeminiGrok
普通の答弁普通の答弁微妙な答弁

答弁者(小泉進次郎防衛大臣、茂木敏充外務大臣、森田治男局長ら)は、制度の範囲内で誠実に説明しようとする姿勢は見られましたが、内容としては以下の特徴があり「普通」の範囲にとどまります。

良かった点:
・質問の主旨を理解し、事実と制度に基づく説明を行っている
・PFAS 汚染への認識を示し、「水は命に直接かかわる」と危機感を共有している
・米軍に必要な申し入れを行っていることを明言している
・外務大臣は、地位協定の構造と「公共の安全に最大限の配慮」という条文を踏まえた整理を行っている

足りなかった点:
・「米軍が原因と断定できない」「米軍の判断」「調整中」といった回答が中心で、具体的な打開策が示されなかった
・県民負担が発生する可能性への明確な対応方針を示せなかった
・立ち入り調査が10年進んでいない問題について、原因や改善の見通しが提示されなかった

これらの点から、丁寧ではあるが政策的に踏み込みが弱く、議論を前進させる答弁にはなりきれていないため、「普通の答弁」と評価します。

回答者(茂木外務大臣)は、政府の基本方針を維持しつつ、質問の論点の一部にのみ応答するに留まりました。

  1. 評価できる点: 外務大臣として、日米安全保障条約上の義務を履行するために地位協定第三条が必要であるという政府の長年の基本認識を明確に示しました。同時に、協定の同条項に「公共の安全に妥当な考慮を払わなければならない」という米軍側の義務も規定されていることを引用し、米軍の行動に制限があることを示唆しました。これは、単なる拒否ではなく、今後の運用改善に向けた論理的な足がかりを残したという点で評価できます。
  2. 評価を下げた点: 質問の核心である「なぜ10年間も立ち入り調査ができないのか」という具体的な事実や、「なぜ16億円もの費用を県民が負担しなければならないのか」という財政的な理不尽に対しては、直接的に解決策を示しませんでした。「引き続きアメリカと真剣に話し合っていく」という答弁は、問題が長期化している現状において、具体的な進展を期待させる力に欠けているため、「普通の答弁」という評価に留まります。
  • 誰にとって価値があったか: 日米安全保障体制の現状維持を優先する人々、政府の地位協定に関する公式見解を改めて確認できた人々。
  • 誰にとって価値がなかったか: 汚染源の調査と対策費用負担の解決という具体的な成果を求めていた沖縄県民。

森田参考人は制度の限界(周辺整備法第8条は施設整備のみ対象)や過去の交付金事例を正確に説明した点は評価できます。しかし、小泉大臣・茂木大臣を含め、全体として「因果関係不明」「制度上困難」「米側と調整中」の繰り返しに終始し、以下の核心質問に一切答えませんでした。

  • 10年間立入りを実現できない具体的な理由と今後の見通し
  • 因果関係が不明なまま県民に負担を強いることの妥当性
  • 自衛隊と米軍基地で対応が違う理由
  • 予算措置による特例対応の可能性 実質的な情報提供がほぼゼロで、県民の不安を解消するどころか増幅させる結果となったため、答弁としての価値は極めて低く、微妙なレベルです。

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