第219回国会 衆議院 予算委員会 第2号 令和7年11月7日(7/11)

外交・安全保障
国会情報(会議録)
【衆議院】 219回 質問: 岡田克也 回答: 高市早苗小泉進次郎 開催:2025/11/07

3行解説

POINT
  • 内容:日米同盟の呼び方、日本外交の「取り戻す」という表現、集団的自衛権(存立危機事態)、在日米軍基地の運用、不正発注問題についての質疑応答です。
  • 質問者:岡田克也議員
    日米同盟を「世界で最も偉大」と言う根拠、日本外交を「取り戻す」の意味、集団的自衛権の範囲、台湾有事の発言の問題点、米軍基地の出撃協議、潜水艦関連の不正問題について質問しました。
  • 答弁者:内閣総理大臣・高市早苗、内閣法制局長官・岩尾氏、防衛大臣・小泉進次郎
    表現の理由と政府見解の継続、存立危機事態の判断は厳格であること、訓練は憲法・法律に沿って行うこと、不正発注問題は深刻だが再調査は不要という説明をしました。

3分解説(くわしい説明)

● 日米同盟を「世界で最も偉大」と呼んだ理由

岡田議員は、高市総理が会見で「世界で最も偉大な日米同盟」と言ったことに疑問をもちました。
一般的には「米英同盟」や「NATO」の方が軍事的に強いと言われるため、その根拠を質問しました。

高市総理は、かつては敵だった日米が今は強い信頼関係にあり、インド太平洋地域の平和に重要な役割を果たしていると説明しました。

● 「日本外交を取り戻す」とは何を取り戻すのか

岡田議員は、政権交代したわけではないのに「取り戻す」という言い方は、前の総理(菅・岸田・石破など)を否定しているように聞こえる、と指摘しました。

高市総理は、過去の首相の外交努力を認めつつ、国際情勢が変化しているので、日本が存在感を高めるため再び積極外交を強めたいという意味だと説明しました。

● 集団的自衛権(存立危機事態)の扱い

岡田議員は、限定的な集団的自衛権(存立危機事態)以外の武力行使は憲法違反だという政府の従来の立場を確認しました。

高市総理と岩尾法制局長官は、
従来どおり、限定された場合以外の集団的自衛権は認められない(=憲法上できない)
という立場に変更はないと答えました。

● 台湾有事と「存立危機事態」発言について

岡田議員は、高市総理が過去に「台湾周辺の海上封鎖は存立危機事態になり得る」と発言した点を問題視しました。
海峡が封鎖されても日本の物資が完全に止まるわけではなく、軽々しく言うべきではないと主張しました。

高市総理は、想定される武力行使の様子(戦艦・ドローンなど)や米軍の動きを含め、状況次第で判断されると説明しました。

岡田議員は、判断基準が広すぎると政府の裁量が大きくなりすぎ、危険だと警告しました。

● 在日米軍基地からの「直接出撃」について

米軍が日本の基地から直接出撃するとき、日本政府との事前協議が必要という取り決めがあります。

岡田議員は、日本政府がこの協議で「イエス/ノー」を迫られるのは非常に重大であり、国会も関与すべきだと提案しました。

高市総理は、
「この協議は国際約束であり、国会承認は必要ない」
とし、手続きを増やす予定はないと答えました。

● 川崎重工と海上自衛隊の不正発注問題

岡田議員は、
・架空発注で約17億円
・潜水艦の乗組員に物品提供(靴、冷蔵庫、私物のゲーム機など)
・監督官が架空の書類を作成
という重大な問題を指摘し、処分が軽すぎる(訓戒のみ)と批判しました。

高市総理は「深刻な事案」と認めつつも、金額を正確に確認できない状況などを説明しました。

小泉防衛大臣は、防衛監察本部が大規模な調査を行っており、再調査は不要と述べました。ただし、公文書偽造に当たるかどうかは警務隊が調査中だと説明しました。

岡田議員は、
「これは国の予算制度を揺るがす問題であり、公文書偽造に当たる可能性も高い。もっと厳しい対応が必要だ」
と述べて質問を終えました。

この議論のAIによる評価

議論自体の評価

ChatGPTGeminiGrok
良い議論まあまあ良い議論まあまあ良い議論

・国家安全保障、日米同盟、集団的自衛権、在日米軍基地運用、防衛装備の不正問題と、いずれも国家の根幹に関係する重要テーマを多角的に取り上げており、公共性が非常に高い議論だったためです。
・質問者は複数テーマにわたり深く掘り下げ、政府解釈の曖昧さや法的な根拠を問う姿勢を貫いており、立法府として適切なチェック機能を果たそうとする意図が明確でした。
・回答側も、政府見解、法制局の立場、防衛大臣の調査結果など、それぞれの役職に応じた説明を行い、一定の説明責任を果たしていました。
・一方で、一部の答弁は抽象度が高いまま繰り返され、質問者が求めた「基準の具体性」や「判断の範囲」に十分答えていない場面も見られました。そのため、議論としては高い公共性があった一方で、論点の深堀りがやや噛み合わない部分もありました。

外交における言葉遣いの適切性前政権への敬意といった点から、安全保障における存立危機事態の限定的な運用の厳格性、そして防衛予算をめぐる不正事案への政府の対応まで、国の根幹に関わる重要なテーマが議論されました。

特に、存立危機事態の運用について、従来の政府見解(限定的・厳格な運用)が現在も維持されているか内閣法制局長官(岩尾政府特別補佐人)の答弁を引き出しながら確認した点は、憲法解釈の継続性政府の責任を明確にする上で、極めて高い価値があります。これにより、抽象的な安全保障法制の限定性を再確認するという成果が得られています。

一方で、外交表現存立危機事態の具体的な想定(台湾有事など)に関するやり取りでは、質問が理念や感覚的な違和感に留まる部分があり、答弁も具体的な基準の提示ではなく、抽象的な判断の説明に終始する傾向が見られました。しかし、全体として重要な論点を網羅し、内閣法制局長官の見解維持という具体的な成果を引き出したため、「まあまあ良い議論」と評価します。

国会質疑として、外交・安全保障の重要事項(日米同盟の位置づけ、存立危機事態の運用基準、川崎重工不正事件の責任追及)について具体的に掘り下げており、国民が知りたいポイントをほぼ網羅しています。質問と答弁の両方が長めの時間を使って行われたため、表面的なやりとりではなく、ある程度の深さがありました。ただし、存立危機事態の判断基準については双方とも「個別具体的な状況による」と繰り返すにとどまり、国民が求める明確な線引きは示されませんでした。

質問者の評価

ChatGPTGeminiGrok
良い質問良い質問良い質問

・質問は大きく5テーマ(外交表現/外交継承性/存立危機事態の解釈/米軍基地の事前協議/潜水艦関連の不正発注問題)に整然と分かれ、いずれも重要で、国民にとって政策判断の根幹に関わる内容でした。
・過去の政府答弁、法制局の公式見解、条文の内容に基づき、誤読の余地が少ない形で論点を特定している点は、質疑の質として非常に高いです。
・また一方的な攻撃ではなく、「前任者の努力への敬意が必要ではないか」など、政策継続性への議論も含めており、公平性が保たれています。
・存立危機事態の運用、在日米軍基地の事前協議、巨額不正問題など、国会でなければ問えない論点を提示しており、公共性の高い質問でした。
・揚げ足取りや情緒的表現はほぼなく、法的根拠に基づいた実務的な質疑だった点も評価できます。

  • 論点の網羅性と重要性: 外交限定的集団的自衛権の運用在日米軍基地からの直接出撃(事前協議)、防衛産業の不正(裏金・公文書偽造)といった、国政上の最重要課題を高い解像度で取り上げています。特に、外交表現の違和感から入り、前任者への敬意を欠く発言態度を問うた点は、総理の資質と政治的礼節を問う側面があり、国を代表する人間としての発言の重みを認識させる点で重要です。
  • 安全保障法制の限定性の追求: 抽象的な存立危機事態の定義に対し、限定を逸脱すれば憲法違反となる認識や、公明党・安倍総理当時の答弁(武力攻撃事態とほぼ重なり合う)の現在の政府・法制局長官の見解維持を明確に引き出した点は、法運用の厳格性を担保する上で極めて実効性のある質問です。
  • 行政監視の徹底: 川崎重工事件において、架空発注への公務員の関与裏金の慣例化という予算制度の根幹を揺るがす事実に対し、訓戒という軽い処分で済ませた判断の甘さを厳しく追及し、公文書偽造の可能性上司の責任まで言及し、再調査の必要性を迫ったことは、行政監視の役割を強く果たしています。
  • 懸念すべき点: 一部の発言(例:「世界で最も偉大」という言葉への違和感)は、理念や言葉のニュアンスにフォーカスしすぎており、質問の核心から逸れる揚げ足取りと捉えられかねない部分もありました。

・過去の発言や国会答弁を正確に引用し、政府見解の継続性・一貫性を厳しく追及しており、質問の準備と論点整理が非常に高いレベルでした。
・「存立危機事態」の運用が曖昧すぎることや、川崎重工事件での処分が甘すぎることなど、国民が不安に感じている点を的確に突いています。
・礼節は保たれており、揚げ足取りではなく政策の本質を問う姿勢が一貫していました。
・ただし、台湾有事などで「軽々しく言うべきではない」と感情的に批判する部分は、政策議論としてはやや感情的すぎる印象も与えました。

回答者の評価

ChatGPTGeminiGrok
普通の答弁まあまあ良い答弁普通の答弁

良い点:
・総理、法制局長官、防衛大臣がそれぞれの権限範囲に沿って回答し、過去答弁・条文・原則を踏まえた説明を行っていました。
・特に法制局長官の答弁は、過去の国会答弁の引用も含め明確であり、法的観点に基づいた安定した回答でした。
・防衛大臣は不正問題について、調査手続や現状の捜査に基づき事実を説明し、役割の範囲で誤りのない答弁をしていました。

不十分な点:
・総理の答弁の一部は抽象度が高く、質問者が求めた「基準の具体化」には十分応えていませんでした。特に「存立危機事態は個別具体的に判断」という趣旨の回答が繰り返され、規範としての明確さは提示されませんでした。
・外交表現の理由については説明は可能であるものの、客観的基準よりも主観的評価が中心で、質問者が求めた論理的根拠としては弱い部分がありました。
・在日米軍基地の事前協議と国会関与については、「国会承認は不要」という形式的説明のみで終わり、深い議論を避けた印象が残りました。
・不正問題については「深刻」と述べた一方で、積極的関与の姿勢や再発防止への具体策への踏み込みはやや弱く、危機感の実効的な示し方としては限定的でした。

以上から、答弁は事実として誤りはなく安定していましたが、論点の核心に対して抽象的な回答にとどまる場面が多かったため、「普通」と評価しました。

  • 外交表現の明確化: 「世界で最も偉大な日米同盟」という表現について、かつての敵国同士が和解し、インド太平洋の平和の礎となっているという感情的・理念的な背景を説明し、安倍総理のFOIP提唱国際情勢の厳しさを理由に「取り戻す」という表現の意図(発展・強化の決意)を説明しました。これは言葉の意図を説明する上では、一定の役割を果たしています。
  • 安全保障法制の継続性の確保: 限定のない集団的自衛権の行使は認められないという従来の政府見解に変更がないこと、および内閣法制局長官(岩尾政府特別補佐人)が過去の答弁(武力攻撃事態とほぼ重なる)を維持していることを確認させた点は、政府としての基本姿勢の継続性を明確にした重要な答弁です。
  • 行政監視への対応の不足: 川崎重工事件については、不正の深刻性は認めたものの 、慣例的であった側面を理由に訓戒処分を擁護する姿勢は、公金不正使用公文書偽造の疑いという事態の重大性から見ると危機感が不十分であり 、国民の信頼回復という観点から、行政監視に対する答弁責任を十分に果たしているとは言えません。特に小泉国務大臣が、再調査の必要性について監察本部の調査が十分であったとして否定した点は、政治的な決意を示すという点で、消極的と評価できます。
  • 抽象的な説明: 存立危機事態の具体的な判断基準(台湾有事の想定など)について、「全ての情報を総合して判断する」「蓋然性や深刻性から判断する」と繰り返し、具体的な線引きの明確化を避け、政府の裁量の余地を広く残す抽象的な答弁に終始しました。これは、抽象的な法文の限界を認めつつも、国会に対する説明責任としては不十分です。
  • 政治的礼節: 「日本外交を取り戻す」という表現について、前任者への敬意が足りないという指摘に対し、最終的に「よく承りました」と受け止め、「前任の首相も受け継いできた」と努力を認める答弁に修正したのは、政治的対話における礼節を回復した点で評価できます。

・政府の従来見解(存立危機事態は厳格に限定、憲法解釈に変更なし)を崩さず、繰り返し説明しており、法的な整合性は保たれていました。
・川崎重工事件については「深刻に受け止めている」と明言し、再発防止に取り組む姿勢を示した点は評価できます。
・しかし、存立危機事態の具体的な判断基準については「個別具体的な状況による」「すべての情報を総合的に判断する」という従来の答弁を繰り返すだけで、新しい説明や国民が納得しやすい線引きは示せませんでした。
・「世界で最も偉大な日米同盟」という表現の根拠も感情的な説明にとどまり、客観的な比較基準は示されませんでした。
・結果として、国民が最も知りたがっている「どこまでがセーフで、どこからがアウトか」という核心部分は曖昧なまま残されました。


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