大阪・関西万博における工事費等の未払被害等の救済及び責任糾明に関する質問主意書

人権・差別
国会情報(質問主意書)
【参議院】 219回 質問: ラサール石井 回答: 高市早苗 質問日:2025/12/09 回答日:2025/12/19

3行解説

POINT
  • 大阪・関西万博で、建設業者などの工事代金や給料が払われていない問題と、その救済や責任について政府とラサール石井議員がやり取りしました。
  • 質問者はラサール石井議員で、工事代金未払いの実態調査・関係者救済・再発防止策など幅広く政府の認識や対応を問いただしました。
  • 内閣総理大臣・高市早苗氏は、主に「個別の契約の問題は関係当事者間で解決されるべきであり、政府は全体への法令順守の周知や相談窓口整備などを行っている」と答弁しました。

3分解説(くわしい説明)

質問の背景とポイント

今回の質問は、大阪・関西万博でパビリオンを建設した業者や労働者に「工事費や給料の未払い」「短すぎる工期による無理な働き方」などの大きな問題が起きたことからスタートしています。こうした被害が訴訟にもなり、次の国際的イベント(アジア大会や横浜花博)で同じことが起きないようにとの問題意識から、質問が出されました。

  • 質問者はラサール石井参議院議員です。
  • 工事費未払いの防止責任、被害者救済の議論、今後の再発防止について幅広く問いました。
  • 加えて現場の安全や労働法違反の有無、外国企業担当とのやり取り問題、解体遅れの影響、今後の大規模イベントへの対応なども確認しました。

主な質疑と政府・高市早苗総理の考え

政府(答弁:内閣総理大臣・高市早苗氏)は、工事費の未払いなどは「参加した各国やそれぞれの事業者間の契約にもとづく問題」であり、基本的には当事者同士の話し合いで解決されるべきだとの立場でした。政府としては、法令順守の徹底を参加国に周知し、相談窓口の整備はしているものの、「工事費を国が肩代わりして支払う」「予備費を救済に回す」ことなどの積極的な介入は考えていません。どの現場でも日本の法律を守るようお願いしているとし、たとえば労働法違反などについても、具体的な対応内容は公表できないが関係機関が指導・巡回などの取組をしていると説明しました。

また、外国企業とのやり取りや通訳問題は、基本は当事者間で解決すべきものとされ、相談があれば必要に応じて支援を行うとの返答もありました。アジア大会など今後のイベントについても、関係する運営団体が適切に契約内容を管理・公開し、問題が起きないようにする方針が示されました。

まとめ

  • 工事費などのトラブルは、まずはそれぞれの契約した人同士(当事者間)が話し合って解決すべきという答えでした。
  • 政府としては、全体的なルールの周知や相談体制づくりでサポートしていく方針です。
  • 今後同じような問題が起こらないよう、運営団体ごとに適切な管理と対応が求められることが確認されました。

この議論のAIによる評価

議論自体の評価

ChatGPTGeminiClaude
普通の議論普通の議論微妙な議論

本議論は社会的にも関心が高い大阪・関西万博の未払工事費問題という具体的な事案を対象としているため、質問主意書として非常に現実的かつ実務的なテーマ設定となっています。質問は構成・論理の両面で事実や制度、科学的根拠に基づいており、今後同様の問題が発生しないための検証や制度面での改善提案も含んでいる点は評価できます。一方で、答弁が過度に一般論や形式的な内容で占められ、問題の核心的議論や実効的な施策の議論に踏み込みきれていないため、政策形成や実効的な解決策のヒントを国会として提示するという意味でやや物足りなさがあります。それゆえ、「普通の議論」としました。

本議論は、大阪・関西万博の閉会後も残る「工事費未払」や「過酷な労働環境」という具体的な社会問題を扱っており、事後検証および今後の国際行事(アジア大会、横浜花博)への教訓とする点で一定の意義があります。しかし、質問側が提示する具体的な「実害」や「法令違反の疑い」に対し、回答側が「一義的には当事者間の問題」という原則論に終始しており、解決に向けた具体的な踏み込みが見られません。国策としての責任を問う問いに対し、契約上の形式論で応じるという、国会における典型的な平行線の議論となっているため、この評価としました。

この質問主意書は重要な公的課題を扱っていますが、議会質問としての構造と有効性に複数の問題があります。
質問者は2025年大阪・関西万博のパビリオン建設における工事費未払や労働法違反に関する具体的な事例を提示し、その責任追及と救済を求めています。これ自体は妥当な関心事です。しかし、回答側は全12項目に対して、「意味するところが明らかではない」「詳細な事実関係が明らかではない」といった理由で多くの質問への実質的な回答を回避しています。
結果として、質問者が求めた政府の責任明確化や救済の法的枠組みといった核心部分について、何らの政策的進展ももたらされていません。質問が明確であれば回答も具体的になるはずですが、回答側の防御的な姿勢もあり、議会として機能する対話になっていないのです。

質問者の評価

ChatGPTGeminiClaude
良い質問まあまあ良い質問良い質問

質問者は、具体的な被害状況や背景、今後の制度設計の必要性を事実や関係法令を交えて系統的に質問しており、社会的価値と政策的意義の両面から見ても高い水準の質問です。現場の実情、被害者や業界関係者の立場、制度の運用上の矛盾・課題にまで踏み込んでおり、再発防止のための建設的な提起ともなっています。これは、被害を受けた事業者・労働者はもちろん、公共事業や博覧会運営に関わる側、国民一般にとっても意義があります。特定の揚げ足取りや稚拙さ、礼節に欠ける言動も見受けられず全体として優れた問いです。

報道や記者会見での被害者の声をベースに、未払金の総額、具体的な企業名(GL社)、予備費の残額、建設業法や労働安全衛生法との整合性など、多角的な視点から事実関係を質しています。特に、今後の国際行事における再発防止策を問う視点は、公共の利益に資するものです。ただし、一部の質問において、政府の「認識」や「方針」を問う抽象的な表現が含まれており、回答側が「意味するところが明らかではない」と逃げる余地を与えてしまっている点は、テクニカルな面で改善の余地があります。

質問者であるラサール石井議員の質問には複数の強みがあります。
第一に、被害実態の具体化です。工事費未払総額が明記され、GL社による複数国での同様事例(総額約6億7千万円)が示されており、単なる一事例ではなく構造的問題であることを示唆しています。
第二に、法令との対応です。建設業法第19条の5が「著しく短い工期」を禁止していることを引用し、労働安全衛生法第3条の遵守義務も指摘するなど、既存法制を活用した論理構成が見られます。
第三に、将来への拡張性です。2026年アジア大会、2027年横浜花博での同じ問題の再発防止を視野に入れており、一時的な救済ではなく制度構築を求めています。
第四に、調達コード等の協会自身の基準を引用し、協会が掲げた基準と現実のギャップを指摘する論理的な追及があります。
ただし、12項目の質問がやや多く、各項目の掘り下げが浅い部分もあります。特に第3項目の「代位弁済」の法的可能性についての記述は、質問側の法的整理が十分でない可能性を示唆しています。

回答者の評価

ChatGPTGeminiClaude
普通の答弁普通の答弁あまり価値のない答弁

回答は、主として現行法制と契約関係上の責任分界に終始しており、法的根拠や運用の一般論を説明する点は一定程度合理的かつ適切です。事実確認が不明確な部分への「お答えを差し控える」は議会答弁としての安全運転ともいえます。ただし、議論の焦点となっている被害実態の救済や再発防止策については積極的かつ具体的対策に言及せず、当事者間解決という従来路線の枠にとどまっています。このため、実質的な説明責任や国策事業のガバナンス問題、制度的改善に関する踏み込んだ見解を期待していた読み手や被害当事者にとっては物足りないものとなりました。とはいえ、形式上の礼節やフラットさは維持されており、稚拙さや揚げ足取りの要素は特段見当たりません。

政府の立場として、参加国との契約関係(参加契約書第一条)や国際的なルール(BIE特別規則)を根拠に、責任の所在が「参加国」や「契約当事者」にあることを論理的に説明しており、行政としての無謬性を維持する答弁となっています。予備費の残額(68億円)など、事実関係の照会には明確に回答しています。一方で、重大な権利侵害の指摘に対し「詳細な事実関係が明らかではないためお答えを差し控える」「意味するところが必ずしも明らかではない」といった定型句を多用し、実態把握への意欲や被害救済への積極性が乏しい印象を与えます。これは行政の対応としては標準的ですが、政治的な誠実さという観点では物足りなさが残ります。

内閣総理大臣名による回答ですが、実質的には責任回避に終始しており、以下の理由から答弁の質が極めて低いと評価します。
第一に、定型的な回避表現の多用です。「意味するところが明らかではないため」「詳細な事実関係が明らかではないことから」という表現が繰り返され、質問を実質的に受け止めず形式的に処理する姿勢が目立ちます。質問者は具体的な事案を引用しているのに、この回避は不誠実です。
第二に、責任主体の逃避です。ほぼすべての項目で「参加国の責任」「当事者間での解決」「協会の運営」といった他者への責任転嫁が行われており、政府自身の監督責任や支援責任に言及されません。政府が誘致・開催を推進した「国策」であるという質問者の指摘に対する実質的な反論がありません。
第三に、既存枠組みの繰り返しです。「相談を受け付ける体制を整備している」「法令遵守を周知した」といった内容が多くの項目で反復されますが、これらは新規の施策ではなく、既に実施されている(はずの)内容です。未払の実態が生じているのに、その改善策は示されていません。
第四に、金銭的救済の頑強な拒否です。第3項目で「代位弁済を積極的に行う立場にはない」と明言し、第4項目で68億円の予備費残額が示されながらも「充てることを積極的に行う立場にない」と述べています。これは当事者間での完全な解決が困難な状況下での政府の非協力を意味しており、被害者救済の優先順位が低いことを示しています。
第五に、労働法令違反への対応の曖昧性です。第8項目で労働基準監督署の指導内容を公開しない理由として「適正な遂行に支障を及ぼすおそれ」と述べていますが、これは透明性より秘密性を優先させる論理であり、立法府への説明責任を果たしていません。
第六に、将来予防への消極性です。第11項目ではアジア大会について「適切に対応してまいりたい」と述べるのみで、具体的な防止措置は示されていません。
国民や被害者にとって、この答弁は何の保証も支援ももたらしていません。関連事業者にとっても、同様の問題が繰り返されないという確証が得られていません。


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