第218回国会 参議院 予算委員会 閉会後第1号(2/9)

外交・安全保障
国会情報(会議録)
【参議院】 218回 質問: 古賀之士 回答: 赤澤亮正武藤容治小泉進次郎加藤勝信 開催:2025/09/12

3行解説

POINT
  • テーマ:アメリカの「トランプ関税」が日本の会社や暮らしにどう影響するか、政府に確認したやりとりです。
  • 質問者:古賀之士(こが・ゆきひと)議員
    → 関税の裁判結果への備え、車の関税交渉の経緯、スマホ部品の価格転嫁、アメリカ産米の増加、為替の考え方などを質問しました。
  • 答弁者:赤澤亮正 経済再生担当大臣、武藤容治 経産大臣、小泉進次郎 農水大臣、加藤勝信 財務大臣
    → それぞれの分野で、現状の対応や考え方を説明しました。

3分解説(くわしい説明)

◆ 1. アメリカの関税と裁判の状況(赤澤亮正 大臣への質問)

古賀議員はまず、「アメリカが日本の自動車などにかけた関税(かんぜい:税金)が裁判で争われているが、日本はどうするのか」と質問しました。
この関税は日本の企業に大きな負担があり、車会社の中には「1時間で1億円の損」という声もあると説明しました。

赤澤大臣の答え(ポイント)

  • 関税はすでにかけられており、日本としては被害を減らすために急いでアメリカと話し合い、大統領令によって関税率を25%→15%に下げてもらった。
  • 裁判でアメリカ政府が負ける可能性は報道で知っているが、「もし負けた場合どうするか」という仮定の質問には答えにくい。
  • 日本としては、今後の動きをよく見ながら、必要に応じて対応していく。

さらに古賀議員は、もともとアメリカの車の関税は将来0%にする話もあったが、今回の交渉でどう扱われたのかを質問しました。

赤澤大臣の説明(ポイント)

  • 古賀議員が説明した「以前の関税の状況」はそのとおり。
  • 交渉に入った時は「相互関税は下げられるかもしれないが、アメリカ側の自動車関税は下がらない」と言われていた。
  • しかし日本側は粘り強く「関税を下げてほしい」と交渉し、一定の引き下げを得た。
  • 今回の了解覚書(MOU)や共同声明には法的な力はなく、これまでの日米貿易協定の権利義務は変わらない。

◆ 2. スマートフォン部品などの価格への影響(武藤容治 経産大臣への質問)

古賀議員は、iPhoneの新機種が価格据え置きになったことから、トランプ政権の関税を気にして値上げをしなかったのではないかという報道を紹介しました。
iPhone には日本の部品も多く使われており、日本企業が関税や最低賃金の高さによって不利になるのでは、と心配が示されました。

武藤大臣の答え(ポイント)

  • iPhoneに限らず、多くの製品で日本企業が部品を作っており、中小企業が関税や最低賃金の影響を受けていると認識している。
  • 国としては、相談窓口を全国1000か所に設け、事業者から不安や意見を聞いている。
  • 「価格に関税をのせられない」「賃上げが続けられない」という声がある一方、「新しい市場に挑戦したい」という声もある。
  • 中小企業が稼ぐ力を高めるため、下請法の運用、補助金の優先採択、商工会などによる支援を強化していく。

◆ 3. アメリカ産の米の割合を増やすことについて(小泉進次郎 農水大臣への質問)

古賀議員は、ミニマムアクセス米※のうち、アメリカの米の割合を増やすと値段が高くなり、国民負担が増えるのではないかと質問しました。
また、国同士で割合を決めることがWTOルール違反とされる可能性がないかも質問しました。

※ミニマムアクセス米:WTOのルールで、一定量の米を海外から輸入する仕組み。

小泉大臣の答え(ポイント)

  • ミニマムアクセス米の輸入は、WTOルールに基づき、国内外の需給を見て入札で決めている。
  • 今年は中粒種(アメリカ産に多い)の量を増やしており、結果的にアメリカ産が75%になることは十分あり得る。
  • アメリカ産は値段が高いこともあるが、加工用への販売を増やしたり、保管費を減らす努力で財政負担を抑えていく。
  • WTOルールとの関係は、説明をていねいに行い、理解を得られるよう努める。

◆ 4. 為替(かわせ)に関する日米共同声明(加藤勝信 財務大臣への質問)

古賀議員は、今日出された財務省の共同声明について、「自由な市場で為替が決まるべきだ」という考えと、「アメリカ大統領がドル高を嫌う」という話の両方が含まれているかを確認しました。

加藤大臣の答え(ポイント)

  • 今回の共同声明は、日米で並行して議論していた成果としてまとめたもの。
  • 為替レートは市場で決まるべき、過度な変動はよくないという点は、日米でこれまでも共通理解として確認してきた。
  • それを今回、文書として改めて確認した点に意味がある。

◆ 5. 最後のやりとり(赤澤大臣)

古賀議員は最後に、「課題が多いので、ぜひ引き続きしっかり取り組んでほしい」と述べました。

赤澤大臣の答え(ポイント)

  • 合意は日米双方にとって大事だと考えている。
  • しっかり後任にも引き継ぎ、米国との信頼関係を維持したい。
  • 残りの期間も責任をもって務める。

この議論のAIによる評価

議論自体の評価

ChatGPTGeminiClaude
まあまあ良い議論まあまあ良い議論まあまあ良い議論
  • 多角的なテーマを扱い、関税・為替・サプライチェーン・農政など複数分野に具体的な質問が行われているため、情報量は多いです。
  • 質問は、実際に国民生活や企業活動に影響する論点(関税負担、価格転嫁、米輸入割合、為替の安定性等)に基づいており、公益性が高いです。
  • 各大臣も現状の制度、交渉状況、リスクの認識、政府の対応方針を事実ベースで説明しており、答弁が一定の説明責任を果たしている点は評価できます。
  • 一方で、大臣側は「仮定の質問には答えられない」など、具体性を避ける部分もあり、議論が深掘りしきれていない箇所も見られます。
  • 時間が限られていたため、質問が広範囲になり、1つ1つの論点の議論が短くなったことも、議論の質を多少下げています。

総合的に、政策理解には有用だが深掘りは不足気味という点から「まあまあ良い議論」と評価できます。

この議論は、アメリカとの関税問題という国民の生活や日本経済全体に直結する重要なテーマを扱っており、複数の大臣に対して具体的な懸念(最高裁判決の影響、関税交渉の経緯、中小企業への影響、農産物の財政負担、為替の共同声明)を質問しています。

  • 価値があった点(国民・日本企業・政府):
    • 国民や企業(特に自動車・部品メーカー、中小企業)にとって、関税による具体的な損害の状況や、政府の対応策(補助金、下請法徹底など)が示され、不安払拭の一助となる可能性があります。
    • 政府にとっては、現行の政策(関税交渉、中小企業支援、MA米対応、為替政策)に対する懸念や論点を洗い出す機会となり、今後の施策に活かすための材料を提供しました。
    • 交渉の経緯(二・五%からゼロへの交渉の困難さ、法的拘束力のない合意)について、ある程度具体的な説明を引き出せた点は、国会での監視機能として一定の価値があります。
  • 価値がなかった点(質問者):
    • 質問は多岐にわたりましたが、一つ一つの質問に対する深掘りが時間制約のためか限定的となり、特に「もし最高裁で敗訴したら」という質問に対しては、具体的な対応を引き出せませんでした。

重要な論点を網羅的に提起しているため「良い議論」に近いですが、大臣の答弁が「一般論」や「今後の努力」に留まる部分があり、具体的な踏み込んだ回答や進展が見られなかったため、「まあまあ良い議論」と評価します。

価値があった点

  • 国民生活への具体的影響を多角的に扱った: 自動車産業、電子機器部品メーカー、農業、為替という複数の分野を横断的に質問し、関税政策が経済全体に及ぼす影響を立体的に浮き彫りにしました
  • タイムリーな論点を捉えた: アメリカ国内での司法判断という進行中の事態や、実際に発売されたiPhoneの価格据え置きなど、現実に起きている事象を題材にしたことで、具体性がありました
  • 中小企業への影響に焦点: 大企業だけでなく、サプライチェーンに組み込まれた中小企業の賃上げや価格転嫁の困難さという、より広範な労働者・事業者に関わる問題を取り上げました

限界があった点

  • 仮定の質問への回答制限: アメリカの最高裁判決という重要な論点について、「仮定には答えられない」という答弁で実質的な議論が深まりませんでした。しかし、これは行政府の立場としてはやむを得ない面もあります
  • 数値的根拠の不足: 関税による具体的な財政負担増加額、中小企業への影響規模、米価への影響額など、定量的なデータに基づく議論が少なく、政策効果の検証が困難でした
  • 時間制約による表面的議論: 短時間で複数テーマを扱ったため、一つ一つの論点が深掘りされず、「問題提起→一般的な方針回答」で終わる構造になりました

誰にとって価値があったか

  • 一般国民: 関税政策が自分たちの暮らし(物価、雇用、賃金)にどう影響するかの概要を知ることができました
  • 中小企業経営者: 政府の支援策(相談窓口、補助金、価格転嫁対策)の存在を確認できました
  • 農業関係者: ミニマムアクセス米の運用変更について情報を得られました

誰にとって価値が限定的だったか

  • 専門的判断が必要な人: 具体的な数値データや法的分析が不足しており、実務的な意思決定には情報が不十分でした
  • 政策立案者: 代替案の提示や具体的な改善提案がなく、政策改善のための建設的示唆に乏しい内容でした

質問者の評価

ChatGPTGeminiClaude
良い質問まあまあ良い質問まあまあ良い質問
  • 全質問が現実の政策課題(米国関税・日本企業の負担・MA米の価格影響・WTO整合性・為替政策など)に基づいており、国民生活や経済政策に直結する内容でした。
  • 複数の大臣に対し、それぞれの所掌に沿った問いを行っており、役割に応じた適切な質問構造になっています。
  • 事実(裁判中の状況、iPhone価格、MA米割合の変化など)をベースにしており、憶測を煽る構造になっていません。
  • ただし時間が限られる中で論点が多岐にわたったため、1つ1つの議論を深める余裕がなかった点はやや弱みです。

全体として、政策課題を的確に指摘した質問であり「良い質問」と判断できます。

古賀之士議員の質問は、単に政策の是非を問うだけでなく、トランプ関税という国民の不安に焦点を当て、多角的な影響(自動車関税の法的背景、中小企業の価格転嫁と賃上げ、ミニマムアクセス米の財政負担・WTO整合性、為替政策)について質問を構成している点で、論点が網羅的かつ重要性の高いものでした。

  • 価値があった点:
    • 国民・中小企業にとって: 価格転嫁賃上げの懸念、MA米の国民負担といった、暮らしに直結する懸念を明確に提起し、政府の具体的な支援策や考えを引き出しました。
    • 政治監視の観点から: 米国司法の動向関税交渉の法的拘束力の有無といった、政策の土台やリスク要因に関する質問を含んでおり、政府の説明責任を追求しています。
  • 価値がなかった点:
    • 時間的な制約もあるためか、各質問に対して深掘りが足りず、「仮定の質問」に対しては大臣に「お答えが難しい」とかわされるに留まりました。

重要論点を広く網羅している点、国民の懸念を代弁している点は評価できますが、時間配分や詰めの甘さから「まあまあ良い質問」と評価します。

優れていた点

  1. 国民目線の問題設定
    • 冒頭で「国民の皆様の不安を払拭する」という明確な目的を示し、一貫してその視点から質問しました
    • 抽象的な貿易政策論ではなく、具体的な製品(iPhone、自動車、お米)を例に出したことで、一般の人にも理解しやすい議論になりました
  2. 複数の省庁にまたがる包括的質問
    • 関税交渉担当、経済産業省、農林水産省、財務省と、関連する複数の大臣に適切に質問を振り分け、問題の多面性を示しました
  3. 具体的な懸念の指摘
    • WTOルール違反の可能性、中小企業の価格転嫁困難、補助金申請の複雑さなど、実務上の具体的な問題点を挙げました
  4. 先行議論の参照
    • 決算委員会での総理答弁に言及するなど、過去の議論との連続性を意識していました

改善の余地があった点

  1. 代替案の不在
    • 問題点の指摘にとどまり、「では政府はどうすべきか」という具体的な政策提案がありませんでした
  2. 数値的根拠の欠如
    • 「価格転嫁の50%しか賃上げに結びついていない」など数字に言及しましたが、出典が不明で検証可能性がありませんでした
    • 「ミニマムアクセス米の財政負担増」について具体的な試算を求めることもできました
  3. 質問の深掘り不足
    • 各テーマに対して1往復の質問で終わることが多く、答弁の曖昧な部分を追及する場面が少なかったです
  4. 時間配分の課題
    • 「時間がない」と急ぐ場面が複数あり、計画的な質問構成だったか疑問が残ります

誰にとって価値があったか

  • 一般有権者: 関税問題の全体像と生活への影響を知る入口になりました
  • 中小企業: 自分たちの懸念が国会で取り上げられていることを確認できました

誰にとって価値が限定的だったか

  • 政策実務者: 具体的な改善案がないため、政策変更の根拠として使いにくい内容でした
  • 専門家: 法的・経済的分析が浅く、専門的議論の材料としては物足りませんでした

回答者の評価

ChatGPTGeminiClaude
普通の答弁普通の答弁普通の答弁

良かった点

  • 赤澤大臣:関税交渉の背景と法的枠組み(MOUの非拘束性、日米貿易協定との関係)を事実に基づいて整理して説明しており、内容の正確性は確保されています。
  • 武藤大臣:中小企業支援の実績・相談窓口・補助金の運用など、具体的な政府の施策を挙げた点は有用です。
  • 小泉大臣:MA米の入札方式、財政負担、WTO整合性について、制度の仕組みに即して答えています。
  • 加藤大臣:為替政策の共通認識(市場決定・過度な変動回避・透明性)を簡潔に整理しています。

改善点

  • 一部の質問に対し、「仮定の質問には答えられない」「動向を注視する」といった答弁にとどまり、政策判断やシナリオ分析に踏み込んでいない点は弱みです。
  • 全体的に、政府方針の説明はあるものの、具体的な数値目標・評価指標・リスクシナリオは示されず、質問者が求めた「見通し」への回答としてはやや不十分です。

以上より、

  • 内容の正確性・事実説明は良好
  • 具体性や踏み込みはやや不足

という総合判断から「普通の答弁」と評価しました。

各大臣は質問に対し、概ね正面から答えていますが、その内容は「これまでの報道内容の確認」や「一般的な努力目標の提示」に留まる部分が多く、特に不確実性の高い論点に対する具体的な言及を避ける傾向が見られました。

  • 赤澤亮正大臣(関税交渉担当):
    • 関税交渉の意義について「一定の効果はあった」と認めつつ、米国裁判敗訴時の対応については「仮定の質問」として具体的な言及を避けました。
    • 一方で、今回の合意が法的拘束力を持たないMOU・共同声明であり、既存の日米貿易協定の権利義務関係は変えていないことを確認した点は、外交上の立場を明確化した点で評価できます。
  • 武藤容治大臣(経済産業担当):
    • 中小企業への支援策として、下請法の執行徹底補助金の要件緩和・優先採択伴走支援の強化といった具体的な手段を挙げました。問題意識を共有し、一定の対策を示した点は評価できます。
  • 小泉進次郎大臣(農水担当):
    • MA米の財政負担増の懸念について、「加工用販売の増加」や「保管経費の節減」で対応する方針を示しました。また、WTO整合性については、「丁寧に説明し理解を得る」と述べるに留まり、具体的な根拠の提示には至りませんでした。
  • 加藤勝信大臣(財務担当):
    • 為替の共同声明の内容は、これまでの日米共通認識を文書で再確認したという説明に留まりました。

全体として、具体的な問題解決や新たな情報開示につながるような踏み込んだ答弁が少なく、一般論や努力目標の説明に終始したため、「普通の答弁」と評価します。

評価できた点

  1. 交渉経緯の率直な説明(赤澤大臣)
    • 「1時間に1億円の損失」という具体的な数字で緊急性を説明しました
    • 「関税は下がらないと言われていたが一定の成果を得た」と、交渉の困難さと成果を率直に述べました
    • MOUと貿易協定の法的関係について明確に説明しました
  2. 具体的な支援策の提示(武藤大臣)
    • 1,000か所の相談窓口、1万件超の事業者対話など、数値を示して政府の取り組みを説明しました
    • 下請法改正、補助金の要件緩和など、具体的な施策名を挙げました
  3. 技術的な説明(小泉大臣)
    • WTOルールとの整合性について、「中粒種を増やす」という具体的な方法論を示しました
    • 輸入米の種類変更という実務的な対応策を説明しました
  4. 文書化の意義の説明(加藤大臣)
    • 為替に関する共同声明が、既存の認識を文書化した意義を明確に述べました

不十分だった点

  1. 仮定の質問への回避(赤澤大臣)
    • アメリカの最高裁判決という重要なリスク要因について「仮定には答えられない」として実質的な議論を避けました
    • シナリオプランニングの有無すら示さず、リスク管理体制への不安が残りました
  2. 数値的根拠の不足(複数の大臣)
    • 武藤大臣:価格転嫁がどの程度進んでいるか、賃上げへの影響の定量データがありませんでした
    • 小泉大臣:「財政負担が増える」と認めながら、具体的な増加額の試算を示しませんでした
    • 「保管経費の節減」など、抽象的な対策のみで効果の見通しが不明でした
  3. 実効性の不透明さ
    • 武藤大臣の説明した支援策(補助金、伴走支援)について、どの程度の企業が実際に利用できるのか、効果の見通しが示されませんでした
    • 古賀議員が指摘した「100ページの申請書類」問題への具体的改善策がありませんでした
  4. 長期的展望の欠如
    • 15%の関税が続く場合の産業構造への影響、企業の海外移転リスクなど、中長期的な視点での分析が示されませんでした
  5. 曖昧な表現の多用
    • 「適切に対応」「しっかり取り組む」「十分に精査」など、具体性に欠ける表現が多く、実際に何をするのかが不明確でした

誰にとって価値があったか

  • 一般国民: 政府が問題を認識し、何らかの対策を講じていることは確認できました
  • 交渉の正当性を知りたい人: 赤澤大臣の説明で、緊急性と交渉成果の一定の妥当性を理解できました

誰にとって価値が限定的だったか

  • 企業経営者: 具体的な数値予測や支援策の利用条件が不明で、実務判断の材料になりにくい内容でした
  • リスク管理をしたい人: 最悪シナリオへの対応策が示されず、不確実性への備えができません
  • 政策評価をしたい人: 定量的なデータがなく、政策の費用対効果を検証できません

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