高市内閣総理大臣の答弁の撤回に係る認識に関する質問主意書

外交・安全保障
国会情報(質問主意書)
【参議院】 219回 質問: 石垣のりこ 回答: 高市早苗 質問日:2025/12/03 回答日:2025/12/12

3行解説

POINT
  • 高市早苗内閣総理大臣の過去の発言が撤回されたかどうか、政府の見解に個人的意見が含まれていたかなどについて質問と答弁が行われました。
  • 石垣のりこ参議院議員が、高市早苗内閣総理大臣の台湾有事発言の扱いや、個人見解と政府見解の違いをどう認識しているのか質問しました。
  • 内閣総理大臣・高市早苗は、政府の従来見解(状況ごとに総合的判断する)が一貫していると答え、質問内容が明確でないとして一部には直接答えませんでした。

3分解説(くわしい説明)

質問と背景

このやりとりは、石垣のりこ参議院議員が、高市早苗内閣総理大臣の台湾有事に関連する発言について、「その発言が政府の正式な見解から外れているのではないか」「個人的な考えを述べてしまったのではないか」「その発言は撤回されたのか」など、細かな点について確認するために行われました。

質問の主な内容

  • ① 高市総理の発言「どう考えても存立危機事態になり得る」が撤回されたのか、政府も同じ認識か
  • ② 高市総理は無意識に個人の意見を答弁したのか、政府はどう判断するか
  • ③ 発言が「全ての情報から総合判断する」という政府方針と矛盾しない理由
  • ④ 総理大臣は個人の意見を政府方針と混同してはいけないと考えるが、政府の考えは?

高市内閣総理大臣の答弁の内容

高市内閣総理大臣は、この質問に対し、まず「どの発言がどう撤回されたのか」「政府の見解と違う個人的見解とは何か」など、質問の具体的な意味が明確でないと説明しました。そのうえで、政府としては「どんな非常事態(存立危機事態)に該当するかどうか」は、その時の国の状況ごとに、手に入る全ての情報をもとに客観的・合理的に判断するという立場を一貫して持っていると答えました。また、2015年の法律(いわゆる安保法制の改正)以降もその答弁をずっと続けていると説明しました。

一方、質問のうち「政府方針と違う個人の意見を表明しないべきと考えるか」「政府の見解とは異なる発言についてどう考えるか」といったものには、「質問の趣旨がよく分からないため答えるのは難しい」とし、直接の回答はしませんでした。

まとめ

つまり、議員さんは「総理が前に発言したことは、本当に政府の正式な考えなの?もし違ったら撤回したの?」と聞きましたが、総理は「いつも、みんなの安全を考える時は、その場その場でよく考えて決めているし、これが私たち政府の考えです」と答えました。そして、はっきりしない質問には答えませんでした。

この議論のAIによる評価

議論自体の評価

ChatGPTGeminiClaude
微妙な議論微妙な議論微妙な議論

本議論は、政府答弁の明確性やその一貫性に関する重要な指摘を含んでいます。しかし、質問者が複数回にわたり具体的かつ論理的な疑義を提示しているにもかかわらず、回答側は形式的な答弁に終始し、実質的な説明や具体的な見解に踏み込むことなく、質問の趣旨が明らかでない、という理由で答弁を避けています。そのため、国会審議としては論点整理や政策の透明性向上には結びついていないため、『微妙な議論』と評価します。

質問者が内閣総理大臣の答弁における「表現の不整合」を論理的に突こうとしているのに対し、回答者が定型的な政府見解の再掲と「趣旨不明」という形式的な拒絶で応じており、議論が全く噛み合っていないためです。国家の安全保障に関わる重要な定義(存立危機事態)についての議論でありながら、言葉の定義や解釈をめぐる「水掛け論」の域を出ておらず、新たな情報や建設的な見解が引き出されていません。

この議論の中核には重要な政策的問題が存在しますが、質問と答弁の間に大きな齟齬があり、実質的な成果に乏しい構造になっています。質問者(石垣のりこ議員)は、高市首相の台湾有事に関する答弁が政府の従来見解と矛盾しているのではないかという具体的で分析的な問題提起を行っています。しかし、回答者(内閣総理大臣)の答弁は、質問の具体的な指摘に対して「趣旨が明らかではない」「具体的に意味するところが明らかではない」という理由で実質的な回答を避けており、議論が噛み合わないままで終わっています。国会における説明責任という観点からすると、この状況は望ましくありません。

質問者の評価

ChatGPTGeminiClaude
良い質問まあまあ良い質問まあまあ良い質問

質問者は事実関係を時系列で明確に整理し、過去の国会答弁と現在の総理発言の矛盾点、および台湾有事を巡る政府見解の一貫性について、具体的な言葉や判断基準の説明を求めています。これは、議会質問として事実確認と政策曖昧性解消の両面において高評価できます。質問内容は専門的でありながら、国民や他議員にも論点が分かる形で合理的に展開されているため、『良い質問』と判断します。

質問者は、総理の「どう考えても(存立危機事態に)なり得る」という主観的・断定的な表現と、政府の公式見解である「個別具体的に総合判断する」という慎重な姿勢との間にある論理的な矛盾を的確に指摘しています。総理の個人的な見解が政府の統一見解を上書きしていないかを確認することは、議会による行政監視の観点から重要です。ただし、一部の質問項目が「撤回したと認識しているか」といった相手の主観を問う形式になっており、政治的な追い込み(いわゆる揚げ足取り)の側面も否定できないため、最高評価には至りません。

質問は以下の点で構造的に優れています。まず、質問者は当該の発言背景を時系列で明確に整理し、どの発言がどのような問題を引き起こしたのかを読み手が理解しやすい形で提示しています。次に、政府の従来見解(存立危機事態は「実際に発生した事態の個別具体的な状況に応じて、政府が全ての情報を総合して判断する」)と高市首相の答弁(「どう考えても存立危機事態になり得るケース」)の間に論理的矛盾があると指摘し、その矛盾の根拠を明確に説明しています。さらに、4つの質問をそれぞれ段階的に配置することで、①撤回の有無、②個人的見解か公式見解か、③矛盾の説明、④基本的な答弁倫理という層構造を作り出しており、体系的です。
ただし「完全に良い質問」とは言えない理由は、質問文の長さと複雑さにあります。特に第3問の「『どう考えても』と『全ての情報を総合して』が矛盾しない理由」という問い方は、質問者自身が既に矛盾していると判断している前提で質問しており、実は開かれた問いになっていません。より中立的な形式でもよかったと考えられます。

回答者の評価

ChatGPTGeminiClaude
あまり価値のない答弁あまり価値のない答弁あまり価値のない答弁

回答者は、質問内容の趣旨や具体的な意味が明らかでないと繰り返し指摘するものの、通常の国会答弁の範囲内で考えれば、質問者の趣旨は相当に明確です。従前の政府見解の繰り返しを行い、個別の事例や総理個人の見解の有無について明確な見解や説明を避けました。事実・科学的根拠に基づく議論というよりも、形式的対応や責任回避的な答弁となっているため、『あまり価値のない答弁』とせざるを得ません。

回答は、過去の答弁内容を繰り返すのみで、質問者が指摘した「表現の矛盾」に対する具体的な釈明を避けています。特に、問いの四において「趣旨が明らかではない」として回答を困難とする態度は、誠実な説明責任を果たしているとは言い難く、国を代表する人間としての真摯さに欠ける印象を与えます。論理的な矛盾を指摘された際、それを解消する説明を行うのではなく、質問の定義が不明確であるとして議論を打ち切る手法は、議会制民主主義における対話として極めて不十分です。

この答弁は、議会質問への誠実な対応という観点から大きな問題があります。具体的には以下の点が指摘できます。
まず、内閣は「御指摘の『答弁は撤回されたと・・・認識』並びにお尋ねの『政府の見解とは異なる個人的な見解』及び『範囲内と認識』の具体的に意味するところが必ずしも明らかではない」と述べていますが、これらの概念は質問文脈の中で十分に明確に定義されています。質問者は政府自身の従来見解と高市首相の発言を具体的に引用して対比させているため、「意味が明らかでない」という回答は、その読み込みの手間を避けたいという意図を感じさせます。
第2に、実質的な内容に関しては、政府は従来見解を繰り返すだけで、問われている矛盾について何も説明していません。高市首相の「どう考えても存立危機事態になり得るケース」という発言が、どのように「事態の個別具体的な状況に即して判断する」という従来見解と両立するのかという直接的な質問に対して、同じ従来見解を述べるだけでは、答弁になっていません。
第3に、第4問への回答も同様の手法です。「趣旨が明らかではない」「具体的に意味するところが明らかではない」として答えることを回避していますが、質問の趣旨は明白です。それは「内閣総理大臣は、政府の見解とは異なる個人的な見解について、個人的な見解であると表明せずに発言や答弁をすべきでないと考えるか」という、政治家の説明責任に関わる原則的な問いです。
このような答弁は、国会における説明責任の機能を著しく損なわせます。質問者が具体的で分析的な問い掛けをしているにもかかわらず、それを理解しないふりをして回避する答弁は、議論の停滞をもたらし、国民の理解と信頼を損ないます。


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