東京二十三区の高額な火葬料金に関する質問主意書

公的資金
国会情報(質問主意書)
【参議院】 219回 質問: 山添拓 回答: 高市早苗 質問日:2025/11/12 回答日:2025/11/21

3行解説

POINT
  • 東京23区の火葬料金が高いことについての質問と政府のやりとりです。
  • 質問者の山添拓議員は、都市部の火葬料金が高額な理由や、区が条例で料金を決められるか、誰が監督できるかなどを問いかけました。
  • 内閣総理大臣高市早苗は、法令や通知に沿った回答を行い、火葬場は誰もが利用できるようにすべきであり、条例や監督権限についても説明しました。

3分解説(くわしい説明)

火葬場の料金に関する問題提起

この国会の質問は、東京23区の火葬場の料金がとても高くなっていることについて出されました。質問したのは、参議院議員の山添拓さんです。東京では民間の火葬場が多く、特に東京博善株式会社が経営する火葬場の料金が近年値上げされていることに疑問が持たれています。一方で、同じ東京都内でも多摩地域の火葬場は無料や格安です。このような現状について、山添議員は、火葬料金が高すぎてみんなが利用しにくくなるのは問題だと考え、政府に対して意見と対応を求めました。

どんな質問がされたのか

  • 火葬場の経営は利益だけを追い求めてはいけないのでは?
  • 火葬は社会のために必要なことだが、誰がその「受益者」なのか?
  • 火葬料金が高い場合に、地方自治体の区長などはどんな権限で対応できるか?
  • 区が独自に条例を作って火葬料金を決めてもいいのか?
  • 自治体が東京都に権限を委託することはできるか?
  • 東京都や特別区から国に対して要望や質問がこれまであったか?
  • 火葬場を運営する会社が他の事業をしているとき、お金の流れは分けておくべきか?

政府(高市早苗内閣総理大臣)の答え

政府の答弁は、まず火葬場の経営はみんなが利用できることが大事で、利益を追い求め過ぎて利用者が困るべきではないということでした(厚生労働省の通知にもそう書かれています)。また、火葬場や火葬は社会や公衆衛生のためにも必要なことで、利用しやすくする考えが示されました。火葬料金について区や自治体が独自に条例で決めることは、法律や憲法に特に反しない限り、可能だという見解です(ただし、詳しい内容や場合によっては慎重な検討が必要です)。

また、火葬場の監督や報告に関する権限は区長が持っていますが、必要なら東京都に委託することも法律上できます。これまで東京都から国へ火葬場や料金について情報提供の要請はあったものの、正式な回答はしていません。また、火葬場が他の事業もしているとき、お金の流れ(収支)を分けることも通知で促されています。

この議論のAIによる評価

議論自体の評価

ChatGPTGeminiClaude
まあまあ良い議論良い議論まあまあ良い議論

この議論は、東京二十三区における火葬料金の高額化という社会的影響が大きいテーマについて、法制度や行政運用の観点から多面的な質問がなされています。質問は実務上・法律上の論点を具体的に精緻に突いており、地方自治法や墓地埋葬法に関する理解を前提としたうえで、行政の現状および法令運用の限界・改善可能性に迫る内容となっています。一方で、答弁は全体としては法令や通知等の現行制度を正確になぞる形が多く、個別具体への踏み込みや実態的な解釈にはやや消極的です。従って、議論としては十分な社会的意義があり、大きな礼節の欠如や揚げ足取りもないものの、一歩踏み込んだ政策提案や実行的合意形成には至っていない点から、「まあまあ良い議論」と評価します。

公共性の極めて高い「火葬」という事業において、東京23区特有の民間依存と料金高騰という具体的な社会問題を扱っています 。質問者は現状の法解釈や行政の権限を詳細に問い、回答者は既存の通知や法理に基づきつつ、自治体が取り得るアクション(条例制定や事務委託)の可能性を示唆しており、実務的・建設的な情報の引き出しが行われているためです 。

この議論は、東京23区における火葬料金の高額化という具体的な社会問題を取り上げ、法的根拠と行政権限の所在について体系的に質問しています。質問者は事実関係(民間火葬場が9箇所中7箇所を占め、料金が9万円に達する一方、多摩地域では無料または1万円)を明示し、東京都知事の答弁を引用して政府の対応を求めています。
議論の構造は論理的で、火葬場経営の公共性(質問一・二)、現行法の解釈(質問三・四)、地方自治体の権限(質問五・六)、今後の対応(質問七・八)と段階的に掘り下げています。これは立法府による行政監視機能として適切な問題提起です。
ただし、回答側が多くの質問に対して「一概にお答えすることは困難」「必ずしも明らかではない」と具体的な見解を避けており、実質的な政策議論には至っていません。質問者が求める「火葬料金が法外に高い場合の行政措置の可否」について明確な回答が得られず、問題解決に向けた具体的な道筋が示されていないため、「まあまあ良い議論」に留まります。

質問者の評価

ChatGPTGeminiClaude
良い質問良い質問良い質問

質問者は、現行制度の条文や政府発出の通知文書を的確に引用し、制度運用上の限界や改善点、行政解釈の曖昧さを鋭く問うています。特に、火葬場事業の公益性・非営利性への疑問、自治体の規制権限、法的担保の不足等、現状の課題を整理のうえ具体的な事例を挙げて質問しており、議会質問としての適切性は高いです。また、広く自治体・遺族・利用者・事業者など多様なステークホルダーに問題提起を行う内容となっています。質問の質が総合的に高いものと判断します。

まず、多摩地域との料金比較や、特定の民間企業による市場占有といった事実関係を明確に提示し、問題の所在を具体化しています。その上で、墓地埋葬法の各条文(18条、19条)の解釈や、地方自治法に基づく事務委託の可否など、行政が動くための「法的根拠」をピンポイントで確認しており、単なる批判に留まらない質の高い政策提言的なアプローチとなっています。

質問者・山添拓議員の質問は以下の点で高く評価できます。
第一に、具体的なデータと事実関係の提示が優れています。東京23区で9箇所中7箇所が民間経営、うち6箇所を同一法人が経営、料金が9万円に達する一方、多摩地域では無料または1万円という比較により、問題の深刻さを定量的に示しています。
第二に、法的根拠を丁寧に確認しています。1968年の厚生省通知、墓地埋葬法の条文、2022年の厚生労働省通知、そして福岡大臣(当時)の記者会見発言など、関連する法令と政府見解を網羅的に引用し、その解釈と適用可能性を問うています。
第三に、質問の構成が体系的です。理念的な問い(火葬場経営の非営利性、受益者の概念)から始まり、現行法の解釈、地方自治体の権限範囲、東京都からの要望への対応、会計の透明性確保まで、問題解決に必要な論点を包括的にカバーしています。
第四に、実務的な解決策を視野に入れています。質問五では区が独自に条例を定める可能性、質問六では都知事への事務委託の可能性など、現実的な対応策についても確認しています。
一点、質問二の「受益者を誰と考えているか」という問いは、やや抽象的で哲学的な側面があり、具体的な政策議論につながりにくい面があります。しかし全体としては、住民負担の軽減という明確な目的のもと、法的・制度的な課題を整理する優れた質問です。

回答者の評価

ChatGPTGeminiClaude
普通の答弁まあまあ良い答弁微妙な答弁

回答者(内閣)は、通知文書や法令の規定内容を忠実に説明しており、一定水準の事実性・正確性は保っています。一方で、質問の細部(例えば「法外に高い火葬料金」に具体的に該当する場合の基準、条例制定の可否、都区事務委託の実際の運用可能性、国としての具体対応例の明示等)には逐一「一概にお答えできない」「個別事案による」として抽象的な答えにとどめる傾向が目立ちます。議会質疑の趣旨である政策解釈・指針の示し方としては踏み込みに欠き、議論の進展にはやや物足りなさが残るため、「普通の答弁」と評価します。

「一概にお答えすることは困難」という定型的な回避表現は含まれるものの、重要な論点に対して前向きな解釈を示しています。特に、火葬料金の規制に関する条例制定について、憲法94条(法律の範囲内)に触れつつ「必ずしも反するものではない」と一歩踏み込んだ見解を示した点や、事務委託が可能であると明言した点は、自治体の判断を後押しする実効性のある回答と言えます。一方で、大臣の過去の発言の法的根拠については「具体的に念頭に置いたものではない」と曖昧さを残しています。

高市早苗内閣総理大臣名義の答弁書は、以下の理由で「微妙な答弁」と評価します。
まず肯定的な点として、答弁一では2024年10月31日付の新しい指導監督通知を引用し、「火葬場の経営が利益追求の手段となって、利用者が犠牲になるようなことがあってはならない」という政府の基本姿勢を明示しています。また答弁八では、火葬場経営以外の事業を行う場合の会計区分の必要性を指導監督通知に基づいて確認しており、これらは一定の価値があります。
しかし、核心的な質問に対する回答は不十分です。答弁三では、福岡大臣の「現行法の運用で可能」発言について、「具体的に念頭に置いたものではなく」と述べ、結局どの条文に基づいてどのような権限行使ができるのか明示していません。「火葬料金の設定の考え方や根拠等について明らかにするよう求めること」や「一定の指導を行うこと」が可能としていますが、その法的根拠が曖昧です。
答弁四では「火葬料金が法外に高い場合」の行政措置について「一概にお答えすることは困難」と回避しています。9万円という具体的な料金が示されているにもかかわらず、これが「法外に高い」かどうかの判断基準すら示していません。
答弁五でも、区が条例で火葬料金を規制することの可否について「一概にお答えすることは困難」としつつ、一般論として憲法94条に「必ずしも反するものではない」という二重否定の曖昧な表現を使っています。さらに「営業の自由との関係で、必要性や合理性の面から慎重に検討されるべき」と述べ、事実上地方自治体に判断を委ねる姿勢です。
答弁七では、東京都からの要望に対して「特段の回答は行っていない」と認めており、小池都知事が都議会で法改正を国に求めると明言した重要な要望に政府が応答していない実態が明らかになっています。
全体として、この答弁は「できない」とも「する」とも明言せず、「一概に言えない」「必ずしも明らかではない」という留保表現を多用し、実質的な政策判断を回避しています。住民負担が重いという現実的な問題に対し、政府としての明確な方向性や解決策を示していない点で、答弁の質は低いと言わざるを得ません。


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