第219回国会 衆議院 災害対策特別委員会 第3号 令和7年12月4日(10/11)

災害対策
国会情報(会議録)
【衆議院】 219回 質問: 櫛渕万里 回答: あかま二郎横山征成牧野たかお 開催:2025/12/04

3行解説

POINT
  • 能登半島地震などの被災地で人口・自治体職員が減少している問題や被災者支援団体の登録制度、官民連携のあり方についての質問と政府答弁のやりとりです。
  • 質問者は櫛渕万里議員(れいわ新選組)で、被災地の実情や現行制度の課題、支援の強化、中間支援団体やNPOとの連携の在り方、防災庁設置準備の状況を尋ねています。
  • 答弁者は防災担当大臣あかま二郎、国土強靱化担当大臣牧野たかおおよび内閣府政策統括官横山征成で、登録制度の趣旨・運用状況、ボランティア支援や今後の防災庁像について説明・検討姿勢を示しています。

3分解説(くわしい説明)

能登半島地震後の被災地人口・自治体職員減少について

櫛渕万里議員(れいわ新選組)は、能登半島地震などによる奥能登地域での人口や自治体職員の減少について問題提起しました。石川県の統計では、輪島市や珠洲市などで1年間で人口が1割以上減り、自治体職員も1割減少しています。櫛渕議員は「高齢の人も本当は地元を離れたくないのに、被災者支援が足りないせいで人口が減った」と指摘し、政府の自覚と責任を求めました。さらに、災害時には自治体職員自身も被災者であり、この構造そのものが東日本大震災以降から課題になっていると述べました。

被災者援護協力団体の登録制度・官民連携の課題

櫛渕議員は2024年5月に改正された「被災者援護協力団体の登録制度」についても質問しました。この制度は、被災者を助けるNPO等を事前にリスト化し自治体と共有するものですが、半年でわずか10団体しか登録がなく、その内容も現場経験が豊富な主要団体が必ずしも含まれていません。政府(内閣府防災)が独自に選定基準を設けず書類さえ揃えば登録する現状への懸念や、申請手続きの負担、登録のメリットが伝わっていないことも指摘しました。櫛渕議員は、この運用を顔が見える現場の中間支援組織やNPOに任せてはどうか、全国でバラツキがあるので都道府県ごとにマッチングを国が支援してはどうかと提言しました。

これに対し防災担当大臣あかま二郎は、登録団体の情報を全国で共有し質の高い被災者支援を実現するのが制度の目的であり、今後もNPOなどに丁寧に参加を呼びかけると説明しましたが、櫛渕議員は「現場の声を聞かず制度設計したから機能しない」と疑問を呈しました。

支援ネットワークの予算や防災庁設置の考え方

櫛渕議員は、被災者支援ネットワーク構築のための補正予算(4億4千万円)にNPOや中間支援組織の事務経費・人件費が含まれるかを質問しました。内閣府政策統括官の横山征成は「直接的な財政支援は様々な論点があり計上していないが、ボランティア団体への交通費補助事業を始めている」と答えました。櫛渕議員は「災害ボランティアやNPOの知恵や技術を政府がもっと取り入れて支援も充実させないといけない」と主張しました。

防災庁設置の準備については、国土強靱化担当大臣の牧野たかおが「予算や組織の骨格はまだ決まっていないが、ボランティアとの連携は重要なので今後具体的に検討する」と述べました。また、NPOや民間団体の意見を閣法提出前にアドバイザー会議のメンバーに相談するかについても「検討する」との答えにとどまりました。

まとめ

  • 被災地では人口と自治体職員の減少が深刻で、支援のあり方が問われています。
  • 被災者支援団体登録制度の運用や、民間・NPO・中間支援組織との連携の方法や実効性が議論になっています。
  • 防災庁設置準備については連携強化を目指しつつも詳細は未定であり、現場の声の反映・官民協力の形を今後どう工夫するかが課題となっています。

この議論のAIによる評価

議論自体の評価

ChatGPTGeminiClaude
良い議論まあまあ良い議論普通の議論

本議論は、被災地の人口減少・職員減少という事実に基づき、政府の復興支援策の実効性、被災者援護協力団体制度の課題、官民連携やボランティアの現状など、複数層から問題提起がなされています。質問者は現場の実態や法改正後の運用実績、制度設計や補正予算の趣旨等について具体的なデータや現場の声を提示しており、課題を抽象的に指摘するだけでなく、実効性や今後のあるべき運用、制度改革の方向性まで踏み込んでいます。これに対して回答者側は、所掌範囲と現行制度の枠組み、今後検討の余地等について丁寧に説明を加えています。一部、要請への回答が曖昧にとどまる場面や「検討する」のみで終わる答弁も見られましたが、両者の発言に明確なファクトや政策的根拠が示されており、議会質問の手本となる資質を備えています。

奥能登の人口減少や自治体職員の疲弊といった具体的な現場の課題を提示し、それに対する大臣の認識を問うところから議論が始まり、被災者支援における公助と共助の関係、特に災害NPOや中間支援組織との連携という具体的な制度設計(被災者援護協力団体登録制度、ネットワーク構築予算、防災庁の骨格)に関する具体的な提言や質問が行われています。この点は評価できます。

一方で、質問者が具体的な提言をしても、回答者が一般論制度の概要説明に終始したり、「検討する」という回答にとどまったりする場面が多く、質問と回答の深さや具体性が釣り合っていない点があります。特に、防災庁の骨格に関する最後のやり取りは、質問者の懸念を解消するに至っていません。このため、「良い議論」とまでは評価できません。

この議論は、能登半島地震の被災地における深刻な人口流出と、その根本原因としての被災者支援体制の不十分さに焦点を当てています。質問者が提示するデータ(輪島市で15%、珠洲市で17%の人口減少、自治体職員の1割減)は具体的で説得力があり、問題の現実性を示しています。

しかし、議論としての実質的な進展が限定的です。質問者は制度設計の問題点を指摘していますが、回答者からは制度自体の改善策や根本的な政策転換の提示がありません。また、質問者が複数の具体的提案(中間支援組織への権限委譲、NPO事務局経費への予算配分など)をしていながら、それらに対する直接的で実質的な回答が不足しています。質問と回答が相互に噛み合わず、平行線のままで終わっている傾向が強いです。

質問者の評価

ChatGPTGeminiClaude
良い質問まあまあ良い質問まあまあ良い質問

質問者は能登半島地震被災地の人口・職員減少という具体的な根拠を示しつつ、従来の被災者支援策の限界、被災者援護協力団体制度の課題点、現場重視の対応の必要性を多面的に指摘しています。また、「自治体裁量とNPOの自主性・実績」「運用数値」「現場の声」「補助金の枠組み」「法制度の運用実態」など、具体的な事実や比較可能な指標を用いて課題を提起しており、議会質問としての質が非常に高いです。現場(被災者、NPO、自治体職員)当事者の利益を代弁している点も意義があり、政策運営や今後の制度設計の責任者にとって価値の高い質問となっています。他方、質問が時に広範・多段階で、回答者が一問一答で対応できない場面もやや見受けられました。

  • 論点の具体性: 能登半島地震後の奥能登地域の人口・職員減少という具体的なデータから議論を始め、被災者支援の決定的な不足という問題提起を行っています。
  • 制度への踏み込み: 被災者援護協力団体の登録制度について、登録数の少なさ、実効性のある団体が必ずしも登録されていない現状、手続の煩雑さといった制度運用上の懸念を具体的に示し、JVOADや中間支援組織への委任という具体的な改善案を提案しています。
  • 予算の活用に関する質問: 補正予算に計上された「官民連携による被災者支援のネットワーク構築」の予算(四億四千万円)に、中間支援組織の事務局経費・人件費が含まれているかという、活動実態に直結する具体的な質問をしています。
  • 将来への提言: 防災庁設置の議論に対し、中間支援組織や災害NPOとの連携を重要な柱として位置づけるべきだと提言し、閣法提出前のアドバイザー会議への相談を求めています。

ただし、大臣の答弁に対し、提言の内容や意図を理解させようとするあまり、やや詰問調となる場面が見受けられますが、これは回答者が質問の核心に具体的に答えていないことの裏返しとも言えます。質問自体は具体的で論理的であり、国民の生命と生活を守る災害対策の核心をついています。

櫛渕委員の質問は複数の強みを持っています。第一に、統計データを基盤にした立論が堅実です。人口統計に基づく15~17%の減少率、職員1割減という具体数字は、抽象的な議論ではなく現実の危機を浮き彫りにします。

第二に、問題の系統性を示しています。単に「人口が減った」ではなく、その原因が被災者支援の不十分さにあること、そしてそれが行政の自力不足に起因すること(避難所運営、ブルーシート張付、土砂撤去などの技術的ノウハウの欠如)を論理的に繋いでいます。

第三に、実現可能な代替案を提示しています。被災者援護協力団体の登録制度の問題を指摘するだけでなく、中間支援組織やJVOADへの権限委譲、都道府県単位でのマッチング体制構築など、具体的な改善案を示しています。

ただし、質問が長く、複数のテーマが混在していることで、回答者が焦点を絞りにくくなっている側面もあります。

回答者の評価

ChatGPTGeminiClaude
まあまあ良い答弁微妙な答弁あまり価値のない答弁

回答者は制度の現状や創設根拠、現在の登録団体数、活動共有の目的等を誠実に説明しつつ、今後の協力団体拡充の必要性、今後の検討方針についても前向きに言及しています。現法令の仕組みを順守しつつ現場の声を反映する努力姿勢も見られました。補助金や公的予算の運用についてはファクトベースで回答しつつも「多様な論点」など曖昧な理由に流れた点や、骨格・方針に関する質問には「検討」と繰り返すだけ、現時点での具体的立場表明が明確とまではいえない点も見られます。ただし制度運営上当然の範囲であり、不誠実な答弁や事実誤認等は見受けられません。

  • 具体性・当事者意識の欠如: 奥能登の人口・職員減少という深刻な事態に対し、あかま国務大臣は「地域が持続可能となるような復旧復興、創造的な復興にこれから更に取組を強くしなければならない」という一般的な所感を述べるにとどまり、事態に対する政府の具体的な責任や反省について言及していません。
  • 質問への応答不足: 質問者が提案した「中間支援団体等への登録事務の委任」について、あかま大臣は「これから様々な団体に協力いただけるよう、またNPO等にも数多く登録していただけるよう、努力、丁寧にまた説明をしてまいりたい」と述べるに留まり、提案された具体的な改善策への是非については回答していません。
  • 制度・予算に関する答弁: 横山政府参考人は、ボランティア団体への直接的な財政支援には「いろいろな論点がある」として予算計上していないことを説明しており、交通費補助事業から始めているという回答はしていますが、質問者が求めた「事務局経費、人件費」がなぜ含まれないかという点や、その経費をどこから捻出するのが適当かという問いへの直接的な回答にはなっていません。
  • 防災庁に関する答弁: 牧野国務大臣は、防災庁の「予算の骨格、組織の骨格は、まだそこまで至っておりません」と具体的な情報開示を避けており、「これからどういう形で連携をしていくかということをしっかり検討をしていきたい」という抽象的な回答に終始しています 。閣法提出前にアドバイザー会議のメンバーに相談することについても「これから検討をさせていただきたい」と明言を避けています

回答全体を通じて、質問者の示す現場の切実な問題具体的な制度改善の提言に対し、具体的な事実や前向きな検討状況を示す回答が少なく、一般論や抽象的な「検討」に終始しており、責任ある行政の説明責任を果たしているとは言い難い側面があります。

あかま大臣とその他政府参考人の答弁に幾つか問題があります。

第一に、質問への直接的対答が不足しています。特にあかま大臣は「丁寧に説明をしてまいりたい」「様々な団体に協力いただけるよう努力してまいりたい」といった抽象的で行動指標のない回答をしており、質問者が指摘する具体的な問題点(十団体しか登録していない理由、実績団体が参加しない構造的問題、ホワイトリスト化の失敗)に対して実質的な対応方針を示していません。

第二に、質問者からの再質問「質問に答えてください」という指摘にもかかわらず、その後の答弁も同様に抽象的な内容に留まっています。これは国会質疑としての最低限の責任性を欠いています。

第三に、横山政府参考人の答弁は「ボランティア団体等に対する直接的な財政支援に関しては論点がある」と述べるにとどまり、その「論点」が何かを説明していません。質問者が「この日本では災害が激甚化して頻発化しているのに悠長なことを言っている場合ではない」と指摘している緊急性に対応していません。

第四に、牧野大臣に対する質問についても、大臣は「法案の中身についてはまだ示されていない」と述べていますが、通常国会提出予定の法案について12月時点で具体的な検討内容が示されていない状況自体が問題です。また「これから検討させていただきたい」という回答は、民間との連携を謳いながら、準備段階で民間の声を聞く気がないことを暗に示しています。


原文はこちら