第219回国会 衆議院 災害対策特別委員会 第3号 令和7年12月4日(8/11)

災害対策
国会情報(会議録)
【衆議院】 219回 質問: 田中健 回答: 古田裕志清水真人あかま二郎 開催:2025/12/04

3行解説

POINT
  • 南海トラフ地震の発生確率の新しい予測方法と、台風15号・竜巻被害に関する支援についての質問と政府の答えのやりとりです。
  • 質問者は田中健議員で、南海トラフ地震の発生確率が二つの計算モデルで併記された理由や、防災対策への考え方、台風・竜巻被害への支援の公平性を問いかけました。
  • 気象庁古田裕志審議官・文部科学省清水真人政務官・防災担当大臣あかま二郎が答弁し、2モデル併記の科学的理由、防災の重要さ、支援範囲拡大や基準見直し検討について説明しました。

3分解説(くわしい説明)

南海トラフ地震の発生確率に関するやりとり

田中健議員は、南海トラフ地震の30年以内発生確率について、以前は1つの確率だけが示されていたのに、今回から2つの確率(20~50%と60~90%)が並べて書かれるようになった理由を質問しました。これまでは主に「時間予測モデル」が使われてきましたが、今回は「単純平均モデル」とあわせて2つのモデルが本文で紹介されています。

この質問に、気象庁の古田裕志審議官は「新しい科学的な調査やデータ解析の結果、2つの計算方法での発生確率をどちらが正しいか決めることは今はできないため、両方を併記することになった」と説明しました。どちらの確率も地震が起きる可能性はとても高いランクに入っていることも強調しました。

また、文部科学省の清水真人政務官は、「地震がいつ起こるかをピッタリ当てるのはとても難しいが、みんなに注意や防災の大切さを伝えるため、確率でしっかりと説明するようにしている」と答えました。今後も分かりやすく伝える工夫をしていくと述べました。

台風や竜巻被害に対する支援の範囲と基準の見直しに関するやりとり

田中健議員は、台風15号と竜巻の被害について、静岡県で2つの隣の町でも片方には被災者支援制度が適用され片方には適用されなかったこと、竜巻特有の被害で現状の制度が十分ではないと指摘しました。

この点について、防災担当大臣のあかま二郎は、「もともと地方自治体が住民に近いところで支援するのが原則だけど、大きな災害では国による広い支援制度が使われる。けれども、全ての場所を対象に広げるには財政の問題や役割分担の課題もあるので、慎重に考える必要がある」と答えました。

また、竜巻の家屋被害認定については、現行の調査基準が地震や普通の水害向けにできていて、竜巻だと判定が難しいことが分かりました。あかま大臣は「被害に早く支援ができるよう、新しい基準の検討を始めたい」と前向きな姿勢を示しました。

この議論のAIによる評価

議論自体の評価

ChatGPTGeminiClaude
良い議論微妙な議論微妙な議論

この議論は、国会の災害対策特別委員会において、地震発生確率の科学的根拠や発表方法、また被災者支援法の適用範囲や被害認定基準など、非常に実務的かつ科学的なテーマを扱っております。質問と答弁の双方が概ね事実と科学的根拠に基づいており、社会的影響や政策実務に直結する内容となっています。特に、単なるイデオロギー対立や感情的なやりとりに陥らず、制度改善を志向した質疑がなされている点で価値が高いと判断できます。

南海トラフ地震の発生確率の議論では、質問者は科学的根拠に基づく政策決定の重要性を指摘し、モデル併記の背景にある科学的な優劣の課題に切り込もうとしました。しかし、回答者が主に「評価の高さは変わらない」という防災対策の必要性に焦点を当てたため、議論の核心である「なぜ二つのモデルの優劣がつけられないのか」「科学的予測の限界と政策への反映」という点について深く掘り下げることができませんでした。結果として、質問者が求めた「地震予測の必要性の再検討」という問題提起に対する政府の明確な考えを引き出せませんでした。また、二点目の災害支援に関する議論は具体的な政策課題を指摘していますが、時間切れで十分な掘り下げに至っていません。全体として、論点が交錯したり、深まる前に終わったりしており、議論としては消化不良な印象です。

この議論は複数の問題を指摘しており、質問者の問題意識は妥当な側面を持っています。しかし、総体として以下の理由から評価は限定的です。

第一に、南海トラフ地震確率の議論では、質問者が提起する懸念(確率モデルの不確実性と政策への影響)は正当ですが、その後の議論が不完全です。質問者は「科学的根拠が軽んじられることが問題」と述べながら、同時に「確率よりも起きるという前提とした政策シフト」を提案しており、これは科学的根拠を重視する立場と矛盾しています。この矛盾が明確にされないまま、質問時間切れで終了しています。

第二に、台風15号の被害認定については、具体的な問題(竜巻の被害が市町村単位で不均等に扱われている)が指摘されており、実務的改善の提案も提示されています。しかし回答側が詳細に応答する機会がないまま、別の論点に移行しています。

全体として、質問者が複数の重要な論点を提起しているものの、各々の論点が十分に掘り下げられず、政策改善に向けた具体的な合意形成には至っていません。

質問者の評価

ChatGPTGeminiClaude
良い質問まあまあ良い質問まあまあ良い質問

田中健議員は、地震予測モデルの使い分けの科学的正当性、数字の出し方における誠実性、支援法の適用範囲の合理性、被害認定の実効性など、極めて重要かつ時間的・社会的に意味あるテーマを選択して質問しています。しかも、過去の経緯や関連する施策、現場の課題意識も押さえており、制度改善や科学的透明性の問い直しにつながる優れた質問です。科学的根拠や行政プロセスに踏み込んでおり、議会質問としての質は高いです。この質問は、防災行政の透明性を求める市民や被災への備えを真剣に考えるすべての国民、及び政策担当者にとって価値があります。一方、現状変更を望まない一部の担当役所や、災害対策に関心の低い層には相対的に価値が伝わりにくい可能性があります。

質問者は、南海トラフ地震の発生確率の算出方法が「時間予測モデル」と「単純平均モデル(BPTモデル)」の併記に変わった点を捉え、これまで政府が時間予測モデルを主たる評価としてきた前提が崩れたのではないか、という重要な問題提起をしました。これは、科学的根拠の変更が防災政策のコミュニケーションに与える影響という、議会で取り上げるべき価値の高い論点です。 また、二点目の被災者生活再建支援制度の適用区域の不均衡や、竜巻被害における被害認定調査の簡易判定基準がないことの指摘は、具体的な被災者支援の課題に焦点を当てた、国民にとって価値のある質問です。 しかし、一点目の議論では、回答者の「評価の高さは変わらない」という一般論的な回答に対して、より科学的根拠や予測の限界に焦点を絞って再質問を試みましたが、「確率論と発生確率の危険度を一緒に議論している」と指摘しつつも、結局は明確な回答を引き出せず、結論として「確率なんて関係なくて、それよりも、もう起きるということを前提とした、さらには起きた後のこととか、そういったことに政策をシフトしていった方がいいんじゃないか」という、当初の「科学的根拠」の議論からやや離れた、個人的な意見に近い論調で締めくくってしまった点は、質問の質を低下させました。

質問の強みとしては、以下の点が挙げられます。

質問者は政府の公式見解と科学的知見のギャップを指摘しています。南海トラフ地震確率について、かつて政府は「時間予測モデルの方がより精度が高い」と述べながら、現在は「優劣がつけられない」として2つのモデルの確率を併記している点は、重要な矛盾です。この矛盾を丁寧に質問履歴の引用により指摘した点は、議論の質を高めています。

また、台風15号の被害における市町村単位の不均等な支援適用について、具体的地名(牧之原市、吉田町)を挙げて問題化し、改善提案(竜巻被害の簡易判定基準の検討)を提示しているのは、実務的価値があります。

一方、弱点としては、南海トラフ議論の終盤で、質問者自身が科学的根拠と政策の位置付けについて混乱を示しています。「確率は関係なく、もう起きるという前提とした政策シフト」という提案は、それまでの「科学的根拠を重視すべき」という指摘と整合していません。この議論の内的矛盾が明確にされないまま終了している点は、質問としての説得力を損なっています。

また、時間が限定されている中で、非常に異なる性質の2つの論点を同時に扱おうとしており、各論点の掘り下げが不十分です。

回答者の評価

ChatGPTGeminiClaude
まあまあ良い答弁普通の答弁普通の答弁

政府参考人および大臣政務官等の答弁は、いずれも基本的には事実や制度の根拠説明、現行施策の意義説明に徹しており、立場上できる範囲で科学的根拠や行政制度に言及しています。ただし、特に地震確率に関してはやや一般的・形式的な説明にとどまり、質問者が求めた『なぜ今まで主文併記しなかったのか』『併記を避けてきた背景は何か』等の行政運用の本質には踏み込まず、部分的に論点のすり替えや曖昧化も見受けられます。支援法の適用に対する答弁でも、『慎重に検討』や『速やかな支援』といった行政定型句が目立ち、政策上の課題に対する踏み込んだ対処方針は明示されていません。そのため、現場や被災者にとって実質的な価値は部分的ですが、制度の趣旨や現行枠組みの限界に一定の説明責任は果たしています。

古田政府参考人の答弁は、二つの計算モデル(SSD-BPTモデルとBPTモデル)を併記した科学的な理由(観測値の誤差や計算モデルの見直し等)を説明し、「現時点では科学的に優劣がつけられない」という事実を述べています。これは科学的事実としては正確です。

しかし、質問者が掘り下げようとした「なぜこれまでの『時間予測モデルの方がより精度高く予測できる』という前提が崩れたのか」という点や、「科学的根拠の不確実性」が政策決定にどう影響するか、という核心部分については、「見直し前と同じく、地震発生の可能性が最も高いランクに分類される」という、主に防災意識の喚起リスクの高さの継続に焦点を当てる形で終始し、肝心の科学的・政策的な課題への回答は避けられた印象です。

清水大臣政務官の答弁は、「地震の発生は不確実な自然現象であり、各国でも確率が求められている」という一般論を述べ、「引き続き、有識者の御意見も賜りながら、分かりやすい周知、広報の在り方について検討してまいりたい」と述べるに留まり、質問者の「地震予測の必要性の再検討」という具体的な問題提起に対する、政府としての明確な政策的な考えを示すには至りませんでした。

二点目のあかま国務大臣の答弁は、支援の原則(自治体対応)と課題(相互扶助、財政負担等)を指摘し、竜巻被害の調査については「速やかな支援につなげるように、調査が迅速にできるように検討してまいります」と述べており、迅速な検討を約束した点は評価できますが、適用区域の不均衡の解消という質問の核心には、慎重な検討が必要という従来の立場を繰り返すのみでした。

全体として、回答は事実に基づき、政府の従来の姿勢や基本的な考え方を述べてはいますが、質問者の問題提起の核心を深掘りする意図や、それに対する新たな政策的洞察を示す点に欠け、やや紋切り型で、質問者が期待する価値ある情報を国民に提供するには至りませんでした。

回答側の対応を評価すると、以下が指摘できます。

古田政府参考人(文部科学省)の回答は、技術的・説明的には適切です。2つの計算モデル(SSDBPTモデルとBPTモデル)の説明、科学的に優劣がつけられない理由、過去の公表資料との関連性について、事実に基づいた説明を行っています。ただし、質問者が指摘する根本的な問題(なぜかつて一方のモデルを優先し、今は並列化したのか)に対して、正面から答えるというより、技術的な説明に終始しているという点があります。

清水大臣政務官(文部科学省)の回答は、より一般的・抽象的な枠組みに基づいています。「確率は各国で採用されている」「全国地震動予測地図の公表」「情報発信の改善」といった回答は、質問者の具体的な懸念に対しては、やや迂回的です。特に質問者が提起する「2つのモデルで異なる確率値が出ているのに、どちらが科学的根拠として妥当なのか」という核心的問いに対して、直接的な応答がありません。

あかま国務大臣(防災担当)の台風15号に関する回答は、一般的な原則(「まず自治体対応」「国と自治体の役割分担」「財政負担」)を述べており、これは政策判断の背景にある考え方を示している点では意味があります。しかし、質問者が指摘した「同じ災害で異なる市町村が異なる扱いを受けている不均等性」という実務的問題に対して、問題を認識した上での改善策を示していません。後半の被害認定調査に関しては「検討する」との言及がありますが、具体性が不足しています。

総じて、回答は技術的には正確ですが、質問者の問題提起の本質に正面から向き合い、政策改善への道筋を示すには至っていません。


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