第219回国会 衆議院 災害対策特別委員会 第3号 令和7年12月4日(3/11)

災害対策
国会情報(会議録)
【衆議院】 219回 質問: 吉川元 回答: あかま二郎鳥井陽一小林豊伊澤知法 開催:2025/12/04

3行解説

POINT
  • 2024年11月に大分県佐賀関で起きた大規模火災について、災害指定や被災者支援の在り方を政府に質問した委員会でのやりとりです。
  • 質問者は吉川元議員で、火災の被害状況、空き家や強風の影響、激甚災害指定・支援金増額や能登半島地震の支援制度の適用可能性について質問しました。
  • 答弁者は防災担当大臣のあかま二郎氏、消防庁の鳥井陽一氏、気象庁の小林豊氏、厚生労働省の伊澤知法氏らで、災害指定や各種支援の現行制度や適用の難しさ等を説明しました。

3分解説(くわしい説明)

佐賀関の大規模火災と被害状況

2024年11月18日、大分県佐賀関(さがのせき)で大きな火災が起きました。この火災では、およそ4万8900平方メートルの土地が燃え、182軒の建物が焼けました。1人が亡くなり、1人がけが、そして12月3日時点で79人が避難所で生活しています。質問をした吉川元議員は、火災の被害や原因、今後の支援について国に詳しく聞きました。

空き家・強い風の影響

吉川議員は、空き家が多かったことや、当日にとても強い風が吹いていたことが火事の広がりに関係していないかを質問しました。消防庁の鳥井陽一氏は、「空き家は火事の発見が遅れたり、草木に火がつきやすかったりして火事が大きくなる原因になることがある」と答えました。また、気象庁の小林豊氏は「当日は強い北風が吹いていて、最大で一秒に16メートル以上の風が観測されていた」と説明しました。今後、焼失が広がった理由についても調べる予定です。

激甚災害指定と支援制度について

吉川議員は、これほど大きな被害なら「激甚災害(げきじんさいがい)」に指定して、より大きな国の助けがあってもいいのではと意見を述べました。防災担当大臣のあかま二郎氏は、「被害の金額などで基準に達していないため、激甚災害指定は難しい」と説明しました。一方で、今後できる最大限の支援は工夫していきたいと答えました。

生活再建支援金と特別な助成

吉川議員は、家を無くした人への支援金がまだ足りないのではないか、また能登半島地震のときに特別な交付金(お金の助け)が出た例を示して、同じような特別な支援ができないかも質問しました。あかま大臣は全国のバランスや公平さを考えなくてはならず、支援金増額は慎重に考えるべきだと述べました。厚生労働省の伊澤知法氏は、能登半島地震の交付金は地域の特別な状況を考えて出したものであり、佐賀関の火災には同じようには適用できないと説明しました。

まとめ

  • 2024年11月の大分県佐賀関の火災で大きな被害が出ました。
  • 質問者の吉川元議員は、被害の原因や国ができる支援について詳しく聞きました。
  • 政府側は現行の法律や制度の範囲でできることをしっかり行うと答えましたが、激甚災害指定や交付金の拡大には慎重でした。

この議論のAIによる評価

議論自体の評価

ChatGPTGeminiClaude
良い議論まあまあ良い議論まあまあ良い議論

本議論は事実関係に即した情報収集と政策提言が丁寧に行われており、議会質問としての適切性が高い内容でした。質問者は災害の実態把握、既存制度の適用理由の追及、基準や制度の見直し提案、局所災害への対応策の検討依頼まで、論点を明確にしつつ多角的・具体的に質問しています。回答者も管理状況や法律、現場対応、財政根拠といった観点から科学的・制度的な根拠に基づき誠実に答弁しました。特に政策の柔軟運用や見直しの限界と可能性、基準の持つ均衡性と公平性、財政負担、地域特性など多面的要素を説明できており、内容の質として全体的に良い議論だと評価できます。

佐賀関の大規模火災という具体的な災害事例を取り上げ、被害状況の確認から、激甚災害指定の是非、被災者生活再建支援制度の課題、そして他の災害で適用された新たな支援制度の適用可能性といった、被災者支援に直結する重要な論点について質問と回答が行われているためです。特に、空き家や気象条件といった災害拡大の要因分析、既存制度の適用条件に関する議論は具体的で価値があります。ただし、激甚災害指定や能登半島地震の交付金に関する議論では、政府側の回答が「基準に合致しない」「特殊な事情」といった現行制度・前例の枠組みに留まっており、質問者の提起した「柔軟な対応」「基準自体の見直し」といった政策論的な課題解決の方向性については、具体的な検討の姿勢があまり見られなかったため、より良い議論にはなりませんでした。

この議論は、具体的な災害事例に基づいた政策的課題を提示している点で価値があります。しかし、以下の限界があります。

質問者は被災地の実情を踏まえて、激甚災害指定の基準見直しと被災者生活再建支援金の拡充という二つの具体的な政策課題を提起しています。これは実務的な価値があります。一方、回答者の答弁は制度設計上の制約(都道府県負担、他災害との公平性、財源問題)を述べるに留まり、基準見直しの可能性や今後の検討方針について具体的な道筋を示していません。結果として、質問に対する実質的な応答が不十分なまま議論が終結しています。

また、質問者自身が「時間が来てしまいました」と述べて、予定していた質問を完結できていない点も、議論の充実度を減じています。

質問者の評価

ChatGPTGeminiClaude
良い質問良い質問まあまあ良い質問

質問者は、単なる事実照会に留まらず、被害の実態把握、火災拡大要因の科学的観点の指摘、気象情報による自然災害性の考察といった精度の高い論点設定を行っています。さらに、激甚災害指定の公的基準・適用の現実的運用、生活再建支援制度の金額や運用基準に関する政策提案、限定的交付金の適用可能性、制度間の合理性・公平性への問題意識の表明など、問うべき社会的・行政的意義が明確な内容です。主観的主張や誘導的批判に偏らず事実と政策の観点から問い、かつ論点ごとに誰にとってどんな価値があるか明確です。質疑内容は、被災者・住民支援、現場行政関係者、制度設計担当部局、立法政策関係者に極めて有用で、質問の質は高いです。

具体的かつ時事性の高いテーマ設定: 発生したばかりの大規模火災をテーマとし、被災者支援という喫緊の課題に焦点を当てています。

多角的な論点の提起: 被害状況の確認、災害拡大要因(空き家、強風)、激甚災害指定の是非、既存の支援制度(被災者生活再建支援制度)の金額的課題、他の災害での新たな交付金制度(能登半島地震での地域福祉推進支援臨時交付金)の適用可能性と、被災者支援の複数の側面を網羅しており、質問が立体的です。

地域の実情を踏まえた政策提言: 佐賀関の高齢化率の高さや地域コミュニティーの強さといった現地の実情を能登半島の交付金制度の趣旨と結びつけ、制度の弾力的な適用を求めている点は、現地の被災者にとって特に価値のある質問です。

質問者の強みは、現地調査に基づいた具体的かつ多角的なアプローチです。火災の規模(焼失面積、戸数)、気象条件(強風の科学的根拠)、地理的特性(蔦島への飛び火という視覚的証拠)を組み合わせて、この火災が「大規模自然災害」であるという論理的主張を構築しています。

また、能登半島地震での交付金制度と佐賀関の状況を比較する質問は、政策の一貫性を問う有効な手法です。「高齢化率が高く、地域コミュニティーの再生が課題」という共通点を指摘することで、回答者に論理的な説明を求めています。

ただし、弱点もあります。激甚災害指定の法的基準や制度設計についての踏み込んだ理解が不足しているようであり、「基準を見直すべき」という主張は掲げているものの、具体的にどのような基準値や仕組みに改めるべきかは明示されていません。また、時間管理の失敗により、予定していた総務省への質問が実現していない点は、質問戦略の不十分さを示しています。

回答者の評価

ChatGPTGeminiClaude
良い答弁普通の答弁微妙な答弁

各答弁者は、行政的・法的・財政的な根拠や現場での状況、専門組織の役割分担等を分かりやすく提示し、質問意図に沿って事実と論点ごとの論理的説明を行いました。例えば、空き家の火災拡大要因や気象条件という科学的説明から始まり、激甚災害指定や支援金制度の要件、交付金対象の限定根拠などを丁寧に説明しています。行政的判断・基準の根拠や限界も明示し、柔軟運用や見直しの検討意図も表示しており、単なる教科書的答弁ではなく、現実的・実務的観点も示せています。また、批判的質疑にも礼節を持って対応しており、回答内容は政策担当部局、国会議員、現場自治体、被災者等にとって価値の高いものでした。

  • 事実確認に関する回答(消防庁、気象庁): 焼失面積、棟数、死傷者数、避難者数や当時の気象状況(強風注意報の発表、観測された風速)など、質問された事柄について具体的なデータに基づき正確に回答しており、事実関係の確認という点では価値がありました。
  • 政策判断に関する回答(あかま国務大臣、伊澤政府参考人):
    • 激甚災害指定について: 「激甚災害の対象となる被害額の報告がなかった」ため指定は難しいという現行の基準に沿った回答に終始しており、質問者が提起した「規模」や「基準自体の見直し」といった政策論については、最大限寄り添うといった精神論的な言及に留まり、具体的な対応や検討姿勢を示すには至っていません。
    • 被災者生活再建支援金について: 「見舞金的な性格」「都道府県の基金活用」「他災害との公平の確保」といった制度の制約や構造を説明しており、拡充への消極的な理由を述べていますが、質問者が求めた「物価上昇を踏まえた金額の引上げ」といった具体的な課題解決への前向きな検討の姿勢は不十分でした。
    • 能登半島地震の交付金について: 佐賀関の状況が交付金の趣旨に合致するとの質問に対し、「能登地域は極めて特殊な事情を考慮して限定的・集中的に実施したものである」として、今回の局地的な火災への適用は難しいという、前例踏襲かつ制度の適用範囲を厳格に解釈した回答であり、柔軟な対応を求める質問者の意図に応えられていません。

全体として、事実確認はできていますが、政策判断や制度の柔軟な運用、基準の見直しといった政策課題に対する回答は、現行制度の制約を説明するに留まり、前向きな検討や具体的な対応策を示すことができなかったため、評価は「普通」といたしました。質問者が提起した課題の重要性から鑑みると、被災者や国民にとっての価値は限定的であったと言えます。

政防災担当大臣(あかま二郎氏)と厚労省職員の答弁には、政策的配慮とそれに伴う限界が表れています。

評価できる点として、被災者への同情と支援姿勢を明確に示し、単なる制度解釈に逃げていない点があります。「寄り添った形の支援をしてまいりたい」という表現は、制度外の支援可能性を示唆しているとも読めます。

しかし、根本的な限界があります。激甚災害指定について、「関係省庁から被害額の報告がなかった」という説明は、実質的な理由ではなく報告の欠如を述べているに過ぎません。質問者が提示した「平成以降、人家被害が最大」という規模の実績に対して、なぜ基準値に達しないのか、その具体的な数字や理由が示されていません。

厚労省の答弁も同様です。「能登地域の極めて特殊な事情」と述べながら、佐賀関が「地域全体が燃えてなくなった」という点では「同じ状況」であることを質問者に指摘されても、有効な反論ができていません。「広範かつ甚大」と「局地的」という区別は恣意的に見えます。

全体として、回答者は質問者の論理を直接的に反駁するのではなく、制度上の制約と先例の重視によって現状維持を正当化する構図が見られます。これは政治的現実かもしれませんが、「柔軟な対応」や「基準見直し」という提案に対する実質的な検討姿勢が示されていない点で、答弁の質が低いと評価されます。


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