指定病院等における不在者投票等に関する質問主意書

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国会情報(質問主意書)
【参議院】 219回 質問: 伊藤孝恵 回答: 高市早苗 質問日:2025/10/24 回答日:2025/11/07

3行解説

POINT
  • 指定病院などで入院している人などが投票できる仕組み(不在者投票)の実態や改善について、伊藤孝恵議員が政府に質問し、高市早苗内閣総理大臣が答えたやりとりです。
  • 伊藤孝恵議員は、体調不良で投票できなかった事例も踏まえ、投票機会の確保や制度の説明、ボランティア・ICT導入など多角的に改善策を政府に質問しました。
  • 答弁者の高市早苗内閣総理大臣は、投票の公正や現行法を踏まえながら、改善は地域や現場の判断を尊重しつつ今後も努力すると答えました。

3分解説(くわしい説明)

指定病院などでの投票の仕組みについての質問と政府の答え

今回の国会質問では、参議院議員の伊藤孝恵さんが「指定病院等における不在者投票」についてさまざまな疑問を出し、政府(高市早苗内閣総理大臣)が答えました。不在者投票とは、体調や障がいなどで普通の投票所に行けない人が、別の場所で投票できる仕組みのことです。

主な質問のポイント

  • 入院していたにもかかわらず、本当は投票したかった人が体調不良時の意思確認で投票できなかった例や、その対策について質問がありました。
  • 指定病院での不在者投票の詳しい実態(意思確認の回数、職員の選び方、実際の投票者数など)を国として把握しているか、または調査の必要があるかを尋ねました。
  • 不在者投票についての情報周知、ボランティアやICT(インターネットや電子投票)の活用による事務負担軽減の可能性についても質問されました。
  • 郵送投票の対象を広げたり、投票意思の確認を体調にあわせて複数回できるようにする柔軟さが必要ではないかという質問も出されました。

政府(高市早苗内閣総理大臣)の答え

高市総理大臣は、入院中の人や障がいのある人でも投票の機会を守ることは大切だと答えました。ただし、

  • 投票機会を増やすことと同時に公正な選挙のためにルールも大事にしています。
  • 意思確認のしかたや投票事務の進め方は、それぞれの病院など現場の判断も尊重したい、全国一律に決める予定は今のところありません。
  • 国は指定病院での投票者数など一部のデータは把握していますが、細かく調査や記録はしていません。
  • 郵送投票やインターネット投票をもっと広げることには公正さや運営コストの課題があるので、関係者で議論が必要だと考えていると説明しています。
  • 電子投票(機械などを使う投票)は今の法律だと指定病院ではできない決まりです。

このように、政府は現場の工夫や現行法を重んじながら、地域や病院ごとの状況に応じて柔軟に対応してもらうことを重視しつつ、今後もこまめな説明や対応に努力すると答弁しています。

この議論のAIによる評価

議論自体の評価

ChatGPTGeminiClaude
良い議論まあまあ良い議論まあまあ良い議論

今回の議論は、指定病院等における不在者投票制度の実態や課題、改革の方向性、技術的な選択肢、運用面の留意点など、現場実態や選挙権保障という観点から多角的・多層的に問いと答弁が応酬されております。主観的な意見や感情的表現は抑制されており、議会質問として必要な具体性や公益性、課題意識が十分に提示されている上、政府側答弁も現行制度の根拠や運用例、課題、今後の議論の必要性をバランス良く記述しています。ただし、政府答弁の一部は「質問の趣旨が明確でない」と繰り返されており、やや抽象的返答が目立つ部分がありますが、事実と根拠、現状認識や制度論的背景も踏まえて回答されているため、議論全体としては良質だと言えます。

本議論は、民主主義の根幹である「選挙権の行使」について、入院患者や高齢者という「投票弱者」が直面している実務的な課題(病院側の負担と投票機会の確保のジレンマ)に焦点を当てた有意義なものです。 質問者は、報道された具体的な事例(投票意思があったのに棄権させられたケース)を起点に、制度の不備や運用の限界を鋭く指摘しており、現場の実態に即した議論を展開しています。一方、政府側の答弁は現行法の解釈と「各施設の判断」という原則論に終始しており、問題解決に向けた踏み込んだ姿勢が見られなかったため、議論としての深まりは限定的でした。しかし、指定病院等における「一括投票日後の個別投票」が可能であるという法的確認を引き出した点などは、実務上の価値があるため「まあまあ良い議論」と評価します。

この議論は、指定病院等における不在者投票という具体的で重要な制度上の課題を扱っており、民主主義の基盤である投票権の保障という観点から意義があります。質問者は毎日新聞の報道事例を起点に、体系的な10項目の質問を提示しており、問題意識は明確です。
ただし、議論としての深化には限界があります。回答側は「意味するところが必ずしも明らかではない」という表現を繰り返し使用しており、質問の具体性や明確性に課題があったことを示唆しています。また、多くの回答が「各施設において判断されるべき」「各党各会派における議論が必要」という形で、政府としての具体的な方向性や改善策を示すことを避けています。これは質問に対する正面からの応答としては不十分であり、議論が建設的な政策論議に発展しきれていません。
実質的な政策変更や具体的な改善策の提示には至っていないものの、投票機会の保障という重要なテーマについて問題提起がなされ、現状の課題が記録に残されたという点で、一定の価値は認められます。

質問者の評価

ChatGPTGeminiClaude
良い質問良い質問まあまあ良い質問

質問者は新聞報道と法令、現場事例に基づき、選挙権保障の視点から具体的かつ多面的に現状分析と課題の抽出を行っております。また、現実にあり得る複雑なケース(体調の波、不在者投票意思確認の難しさ、事務軽減、制度の周知・啓発、電子化検討、投票立会いのあり方等)まで掘り下げており、実態改善に寄与しうる視点が多く含まれています。抽象的、恣意的、不正確な指摘や個人攻撃等はなく、事実ベース・公益志向の建設的な質問となっています。質問は制度設計者・選挙管理者・医療機関・障がい者本人・国政の多くの関係者にとって有益な内容です。

質問者は、単に理念を問うだけでなく、以下のように極めて具体的かつ建設的な提案を行っており、質の高い質問と言えます。 ・東京都の事例(一括投票日後の投票可否)を引き合いに出し、政府の公式見解として「可能である」旨の言質を引き出した点。 ・病院の負担軽減のために、医療ソーシャルワーカーやボランティア、ICT(電子投票・オンライン立会い)の活用を提案するなど、多角的な解決策を提示している点。 ・要介護区分の拡大など、既存制度の具体的改善点を指摘している点。 これらは、入院患者やその家族、また病院関係者にとって非常に価値のある問いかけであり、現場の課題をよく調査した上での質問であると見受けられます。

質問者(伊藤孝恵参議院議員)の質問には以下の長所があります。
まず、具体的な報道事例を起点として問題提起を行い、指定病院等における不在者投票という特定の制度に焦点を当てている点は評価できます。10項目の質問は体系的に構成されており、実態把握(質問二)、周知啓発(質問三、四)、制度拡充(質問五)、運用改善(質問六、七、八)、負担軽減(質問九、十)という論理的な流れになっています。
東京都選挙管理委員会の手引きや日本ソーシャルワーカー連盟の倫理綱領など、具体的な資料や事例を引用している点も、質問の説得力を高めています。また、郵便等投票の対象拡大やインターネット投票の導入検討など、より広い視野からの制度改善も提案しています。
一方で、課題もあります。回答側が5回も「意味するところが必ずしも明らかではない」と指摘していることは、質問の表現や意図が不明瞭だった可能性を示唆しています。例えば「全国的な実態」「特化した周知・啓発活動」「積極的に利用する事例」といった表現は、より具体的に定義すべきでした。
また、質問が広範囲に及ぶため、個々の論点が深掘りされていない印象があります。例えば質問六の「意思確認を複数回行う必要がある」という提案は重要ですが、具体的にどのような仕組みやガイドラインを想定しているのかが不明確です。
全体として、重要な問題を提起し体系的な質問を構成した点は評価できますが、質問の精緻さや具体性において改善の余地がありました。

回答者の評価

ChatGPTGeminiClaude
まあまあ良い答弁普通の答弁微妙な答弁

答弁は総じて現行法や運用、政府・総務省の対応、制度趣旨、今後の政策課題(現場の実情・選挙公正・コスト・システム上の課題・立法経緯等)について根拠を示しつつ丁寧に返されています。ただし、質問の意図に対して「意味するところが明らかでない」と枕詞を繰り返す傾向があり、一部は質問意図を積極的に汲み取って具体的な今後の方向性や不足している点、制度改善に向けた前向き提案などを明示するまでには至っていません。そのため「良い答弁」とまでは言いがたいですが、客観的事実に基づき現行制度の説明責任を果たしており、政府の立場及び法運用の限界を明示する点では十分水準に達しています。

政府の答弁は、現行の公職選挙法および関連法規に基づいた正確なものではありますが、官僚的な「ゼロ回答」に近い部分が多く見受けられます。 ・「全国的な実態は把握していない」「調査は考えていない」「各施設の判断である」という回答を繰り返し、国として積極的に環境改善に取り組む姿勢が希薄である点。 ・ボランティア活用やICT活用等の提案に対し、「意味するところが必ずしも明らかではない」等の定型句を用いて、提案の意図(負担軽減)を汲み取ろうとせず、形式的な法解釈で却下している点。 ・一方で、一括投票日後の投票可否や、現在のインターネット投票に関する法的課題については明確に回答しており、行政実務としての整合性は保たれています。 総じて、法的な正しさはあるものの、国民の権利行使における課題解決への熱意には欠けるため「普通の答弁」と評価します。

回答者(内閣総理大臣名義、実質的には総務省等の作成)の答弁には以下の問題点があります。
最も顕著な問題は、実質的な回答の回避です。「意味するところが必ずしも明らかではない」という表現を5回使用し、質問の不明瞭さを理由に正面からの回答を避けています。しかし、質問の趣旨は文脈から十分に理解可能なものが多く、この対応は形式的な逃げの姿勢と受け取られても仕方ありません。
また、「各不在者投票施設において判断されるべき」という回答が質問六、八、九で繰り返されていますが、これは中央政府としてのガイドラインや支援策を示すことを放棄していると言えます。特に質問六の「意思確認を複数回行う必要がある」という具体的な提案に対して、「できる限り配慮して行うことが望ましい」としながらも具体的な方法は各施設任せにしており、政府としての積極的な姿勢が見られません。
質問二の実態調査について「全国的な調査は考えていない」と明言している点も問題です。投票権の保障という重要な権利に関わる制度の実態を把握しないという姿勢は、政策立案の基礎を欠くことを意味します。
質問五の郵便等投票の対象拡大については「各党各会派において御議論いただく必要がある」、インターネット投票については「各党各会派における議論も踏まえる必要がある」と、政府としての見解や方向性を示すことを避けています。これらは確かに議員立法の領域に関わる部分もありますが、行政府として現状の課題認識や技術的な検討状況を示すことは可能であり、それを避けるのは不十分です。
肯定的な点としては、質問一については民主主義の根幹として投票機会確保の重要性を認識している旨を明確に述べています。また、質問七については法令の規定を示しながら、一括投票後でも投票可能であることを確認しています。質問十の電子投票については、現行法制度との関係を詳細に説明しており、この点は丁寧です。
しかし全体として、質問が提起した問題に対して政府として何をするのか、あるいは何ができないのか、その理由は何かという説明が不十分です。「要請している」「承知している」という表現が多用されていますが、これらは具体的な行動や成果を伴わない形式的な対応である可能性があります。
民主主義の基盤である投票権保障に関する重要な問題提起に対して、より積極的で具体的な答弁が期待されるべきでした。


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